秋晴れの下、早大Cは東海大Cとの一戦に臨んだ。会場には選手を見守るチームメイトの姿も。前半は決定力に欠け、14-17と相手にリードを許して試合を折り返す。後半は一進一退の攻防で両者譲らぬ展開の中、試合終了間際のトライで逆転。チーム全員の諦めない姿勢が実を結び、38-36という僅差で勝利を収めた。
試合開始直後、ハイパントで高く上がったボールを保持することができず、ディフェンスの隙を突かれると、先制トライを奪われる。何度も敵陣でのラインアウトから展開を試みるが、なかなか好機を生かせない。しかし23分、NO8永井新之助(スポ2=東京・早実)が東海大ボールのラインアウトからこぼれた球を奪い返すと、インゴール下へと駆け抜ける。
32分には、敵陣でのスクラムからSH糸瀬真周(スポ1=福岡・修猷館)が持ち出すと、FB平田楓太(スポ4=福岡・東筑)、WTB鈴木陽結(政経3=東京・早大学院)へとつなぎ、サポートに回った糸瀬がトライを決めた。
しかしそれ以降はラインアウトモールがうまく機能せず、さらに相手のグラウンドを端から端まで使った相手の巧みなパスに終始苦しめられる展開となった。14-17と東海大に3点ビハインドで前半を折り返した。
後半も拮抗した試合を繰り広げることとなる。後半6分、マイボールスクラムからボールを左へと展開。相手のディフェンスを振り切って、大きくゲインを切った鈴木陽からパスを受け取ったFB福島秀法(スポ1=福岡・修猷館)がグラウンディング。
その後は、フランカー植野智也(法4=東京・早実)やプロップ山口湧太郎(スポ1=神奈川・桐蔭学園)らの堅固なディフェンスが光る。互いに得点を取り合う状況が続き、33-36で迎えた40分。自陣ゴール前の相手スクラムから出たボールを奪い取り、素早くBK陣へ展開するが、相手に再びボールが渡ってしまう。
そんな自陣での緊迫したプレーが続く中、フランカー中島潤一郎(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がターンオーバー。そこから大外右付近でパスを受けた鈴木陽が見事なランでゴール手前へ前進。敵陣22メートルラインに食い込むと、中島、永井らのサポートを受けて最後はCTB金子礼人(法1=福岡・西南学院)が逆転トライを挙げた。選手やチームメイトらの大きな歓声に包まれ、最終スコア38-36で激戦を制した。
「チームとして攻めきれなかった」と平田が振り返るように、スキル面ではまだまだ課題の残る試合となった。それでも勝ち切ることができたのは、ひとえに選手らの諦めない心があったからだろう。どんな状況下においてもボールを追いかけ前進する姿は平田も掲げる「赤黒を着て『荒ぶる』をとること」への貪欲さにつながっていく。そんな彼らが赤黒へと着実に近づいていることを示す一戦でもあった。秋の戦いは始まったばかり。さらなる成長に期待したい。
文=永留琴子 写真=川上璃々(早稲田スポーツ新聞会)