関東大学対抗戦(対抗戦)を3位で締めくくった早大。ここから始まる全国大学選手権(大学選手権)は、対抗戦とは異なったトーナメント形式であり、ひとつも落とすことは許されない。前節の黒星で見つかった課題を修正することが『荒ぶる』への道に必要不可欠だ。
前節の明大戦は、得意とする展開ラグビーにより、大外で待つWTB槇瑛人(スポ4=東京・国学院久我山)、 FB小泉怜史(文構4=東京・早実)らへとパスをつなぎトライを獲得したものの、素早い攻撃展開と強固なディフェンスの明大を前に、一歩届かず。
しかし、相良昌彦主将(社4=東京・早実)など第一線の選手たちがコンディション不良により離脱する中、チームの連携で得点を取れたことは収穫であろう。また、ルーキーであるSO野中健吾(スポ1=東海大大阪仰星)やフランカー栗田文介(スポ1=愛知・千種)も存在感を示し続けた。
数々の強豪校と対戦してきた早大は、ここまで着実に成長を見せている。ゲームキャプテンを務めるCTB吉村紘副将(スポ4=東福岡)らが引き出す強みの展開力、そしてプロップ井元正大(文4=東京・早実)を中心に奮闘するスクラムなど、洗練されたプレーで相手にプレッシャーをかける。
他にも、SH宮尾昌典(スポ2=京都成章)の素早いテンポに始まり、初スタメンを勝ち取ったロック藤井将吾(スポ3=大阪・早稲田摂陵)、NO8村田陣悟(スポ3=京都成章)らFWのインパクトある攻撃やブレイクダウンは、東洋大にとって脅威となるに違いない。
また今試合は、ケガからの復帰を果たすBK伊藤大祐(スポ3=神奈川・桐蔭学園)もリザーブメンバーとして名を連ねた。途中出場から伊藤の持つダイナミックさで相手を翻弄することだろう。FW、BK双方が持ち合わせた強力な武器で、80分間圧倒できるか。
一方の東洋大は、いま勢いに乗っている。今年度29年ぶりに関東大学リーグ戦1部へ昇格し、その勢いのままに大学選手権初出場を決めた。逆転勝利を収めた東海大戦、日大戦で目立った、規律ある粘り強いディフェンスが東洋大の強みのひとつである。
また、高さとインパクトを兼ね備えた外国人留学生を擁するFWのセットプレーからのアタックにも注意が必要だ。早大と東洋大のAチームは今季は初の対戦。相手の戦力が未知数であるため、明大戦で課題となった「試合の入り」が勝利のカギとなることもあり得るだろう。
絶対に負けられない戦い。選手たちの緊張と勝利への執着はさらに加速していく。かつてない勢いで迫り来る、新進気鋭の東洋大に対し、早大の意地を最後まで示すことはできるか。大学選手権第一戦目、チーム全員が目標とする『荒ぶる』に向けた早大の全身全霊を止めることはもはやできない。
文=長野恵治 写真=谷口花(早稲田スポーツ新聞会)