2002/3/11
ケンブリッジ大戦・観戦記
『激戦』、『死闘』…。そんな言葉ですらちっぽけなものに感じてしまうほどの戦いだった。タックル、コンタクト、ブレイクダウン。その熱い攻防のひとつひとつが見る者の心を惹きつけた。ボールを大きく、そして早く動かす小気味よいアタック。低く刺さるタックル。小さな日本人が大男たちを脅かすには十分過ぎる、実にスペクタクルなラグビーを展開した。「技術、経験、そして何より観客を楽しませるところが素晴らしい」(ケ大ラグビー部長)。「今シーズン1番タフなゲーム」(ケ大主将・ダンカン)。試合後にはワセダに対する賞賛の声が止むことはなかった。 そして、このゲームで強烈過ぎるインパクトを与えたのがCTB山下大悟。独特のステップで相手を置き去りにするランニングはもはや異次元。眩いばかりの輝きを放ち、ピッチを完全に我が物とした。 点の取り合いとなった展開のなかで勝負を分けたのは、ターンオーバーの回数。手足が長く懐の深い相手からボールを奪い返すことがなかなかできず、逆に勝負ところで相手にターンオーバーを許してしまった。密集戦はこの遠征、更にはシーズン中にも常に見られた最重要課題。タックル、サポート。2人目の動きがこれからのワセダの命運を握っていると言っても過言ではない。 終わってみれば、3連敗。天候、レフリング、強力FW。様々な壁にぶつかり、Aチームはこの遠征でひとつも勝利を挙げることはできなかった。しかし、「得るものがたくさんあった」と清宮監督は満足気。この3試合、そして遠征で経験したことひとつひとつがワセダラグビーにとって有意義なものになったに間違いない。
<アフターファンクションでは見事な英語でのスピーチを披露した辻主将> 「オックスフォードに比べてBKが強かった。個に強い選手が多く、いいチームだった。アタックでやりたいことができず、ハーフとして責任を感じている。最後の方は大きくて強いFW相手に消耗してしまって、こっちの人数が減ってしまった。負けてしまったけれど、みな体を張っていてよかったと思う。得るものたくさんあった。自分は社会人になって、冷静な選手だったけれど、赤黒を着ると気持ちがワーッとなる。やっぱり何かが違う。久しぶりに着ることができてよかった。現役はうまくなったというか、むしろ今回はOBを引っ張っている感じだった。よく考えてラグビーをしている。Aチームは3連敗してしまったけれど、このチームがすごく好きになった。やっぱりワセダはいいチーム。改めて好きだなあと。現役は大悟と康太(上村)に頼りすぎてはいけないけれど、最後はあの2人についていって間違いない。今日も2人がチームを引っ張ってくれているのを見て、(来年のチームについて)安心した。素晴らしい。大悟は色々と悩んでいたけれど、小さいことで悩まずに大きな芯を決めればいいとアドバイスした。ワセダのラグビーは世界に通用すると今回改めて実感した」
<ケ大関係者も大絶賛の山下> 「今日は近場のディフェンスはよく止めていたけれど、ボールに絡めず、ターンオーバーできなかったのが敗因。できればもう1試合やりたかった。外国人相手だと自分は体が小さい方なので、ボディーコントロール、基本プレーがとても重要だと感じた。相手は強かったけれど、そのなかで通用する部分とまだまだな部分があって、新たな発見というかいい経験になった。主将経験者と色々と話したことで、それぞれ色々な考えがあるということが分かったし、あの時はああいう風に考えていたんだということが学べてよかった。今やっているラグビーは世界に通用することも分かったし、このラグビーでなければここまでやれなかったとも思う。この時期に強くて大きな相手と試合ができて、今後の糧になった。今までになかったものを得て、来シーズンへの自信になった」 |
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