「できれば半分位現役を入れてやりたかった。これだけシーズンが長くなってしまったからしょうがないですけど…」(ゲームキャプテン・SH月田伸一)。代替わりの節目に行われる全早慶戦。つい先日シーズンを終えたばかり、束の間の充電期間で体を休める現役に変わり、この日は歴戦のOBが主役となった。
極寒の秩父宮。相手の圧力をモロに受け、開始早々の3分にあっさり先制を許したものの、体の温まりとともに反撃開始。学生時代キラ星のごとく輝いた『天才』HB団の華麗なトライを皮切りに、若造たちを手玉に取った。
完全にゲームを支配しての4連続トライには、ベテラン(OBのみなさん、すいません…)の老獪さが集約。まったく危なげない戦いぶりで前半を折り返した。(28-14)。
しかし、「ゲームが落ち着かずバタバタしてしまった」(月田)と言う後半は完全に失速。SH田原耕太郎のため息の出るような捌きも実らず(スタンドで観戦した新主将・諸岡省吾も「あの人やっぱりやるなー」と賞賛)、50メートルを事も無げに切り返したFB横井寛之のカウンター1本に留まった。
最後はゴチャゴチャ。練習時間1時間、ぶっつけ本番の弊害が顔を覗かせたものの、最大目標である「勝利」はしっかりと確保(35-26)。「次はいい試合をしたいですね」(月田)。頭にあるのはメイジを倒しての優勝のみ。いかなる状況でも、赤黒ワセダに「敗北」の二文字は許されない。
<SH、SOとして奮闘したゲームキャプテン月田伸一>
「いいリズムの時間帯もあったけれど、そこで一気に畳み掛けられず、ああいう展開になってしまった。練習したのは昨日1日、1時間だけ(於:所沢キャンパス)で、スタメンのメンバーも3,4人来れなかった。今日はぶっつけ本番。前半はよかったけれど、後半はゲームが落ち着かず、こっちもバタバタしてしまった。OBはみんな赤黒っていい物だと改めて思ったんじゃないですかね。僕たちOBと現役が交流できる場はここしかないから、できれば半々位の割合でやりたかった。まぁこれだけシーズンが長くなってしまったからしょうがないですけど…。次は明治も吉田義人の引退試合で気合も入っているでしょうから(選手間での話によれば、超豪華メンバーとか…)、ワセダもいいゲームしないとダメですね。今日は負けなくてよかったです。SOのこと(後半20分過ぎからSOとして再登場)は聞かないでください(笑)」
<久々の赤黒に大感激のFB横井寛之>
「今日は赤黒を着ることができ、本当に幸せでした。あのケガも(ハイパントをキャッチした際に空中で足元にタックルを受け、一時退場。相手はシンビン)赤黒じゃなかったら戻ることはできなかったと思う。豊田自動織機には申し訳ないですけど(笑)。赤黒にはそんな力がある。現役の学生はいい環境でラグビーができてうらやましいです。今日の慶應は若いなあって(笑)。社会人ではあんなにタックルしてこないですから。伝統を見せてくれて嬉しかったです。現役は少なかったけれど、後半は池上、豊山と一緒にできてよかった。こいつらが来年はやるんだと思うと感慨深いというか…。絶対『荒ぶる』歌って欲しいです。今日は現役と同じファーストジャージーを着れて本当に嬉しかった。最高の1日になりました。OBにとっては赤黒を着れるのはこの日しかないですから。一生の思い出です。次も出たいですけど、NZ留学に出発するので残念です。スピード磨きに行ってきます」