「今日はいい攻めもたくさんあったし、お互い見所も随所にあって、内容的にも評価できる試合だった」(清宮監督)。まざまざと見せつけた『ワセダのプライド』。迸るラグビーへの熱い想い。日本のワセダからアジアのワセダへ。誇り高き赤黒軍団が、またひとつ新たな『創造』の歴史をスタートさせた。
栄えある第1回定期戦。何事も初めが肝心、「先んずれば人を制す」を地で行くかのようにキックオフからエンジン全開。まったく前に出てこない相手ディフェンスに対し仕掛けに仕掛け、あっさりと、そして完璧にゲームの流れを掌握した。
革命がリアルタイムで進行中…。この日の核弾頭も、もちろん破天荒なFW陣。ロック桑江崇行の絶妙な組み立てが織り成す美しいラインアウトに、コラプシングも物ともしない激しいドライビングモール(この日もモールで3トライ)。フッカー青木佑輔、NO8佐々木隆道の3年コンビもその強さで相手を次々と跳ね飛ばし、力で相手を捻じ伏せた。こちらも新たなる歴史の『創造』。日々進化を続ける赤黒FWが『最強』の名を手に入れる日もそう遠くはないだろう。
そしてこの日忘れてならないのが、初めてのスタメンにも物怖じせずに自分を出した新時代のルーキートリオ。元気の源・畠山健介(この日もハッスルしまくり。ファンクションでも大活躍でした…)、嗅覚の権上太郎(堅実に仕事してます…)、安定感の五郎丸歩(キック処理とカウンターは最高です…)。「チャレンジの場・国際試合が選手を一回り大きくしてくれる」(清宮監督)。3人揃ってトライも記録し(後半34分のトライは内橋とアナウンスされましたが、実は畠山のトライです)、ワセダに新たな風を吹き込んだ。
「ちょっと積極性が足りなかった…」(古庄コーチ)、「あとはBKのトライですね…」(佐々木隆道)。チャンスフェーズでのミスも多発、まだまだBKに課題が残るものの、全体ではまったく危なげない戦いぶりで、永遠に歴史に刻まれるであろうファーストウィナーの栄冠をしっかりとゲット。
「大学日本一ワセダ」対「韓国NO1高麗大」。日韓のプライドを賭けた熱き戦い。日本のワセダからアジアのワセダへ。アジアNO1の称号は絶対に譲らない…<早大ラグビー蹴球部広報 疋田拡>
<ルーキートリオの活躍に目を細める清宮監督>
「今日はいい攻めもたくさんあったし、お互い見所も随所にあって、内容的にも評価できる試合だった。見に来てくれたお客様も楽しんでもらえたと思う。今日は1年生3人のお披露目試合となり、皆さんもこの3人のデキに注目していたと思うけど、それぞれよくやった。3人揃ってトライもしたし、大したもんです。まず畠山は高校時代とは違う組み方をする中で、どうスクラムに対応できるかがポイントだったけれど、ここ2試合くらいで十分上で通用することが分かったので使った。彼には運動量を期待している。ターンオーバーに絡む場面もあったし、今日もよくやってくれた。権丈は嗅覚のある選手。今日も隆道が抜けたところにフォローしてトライしたように、毎試合必ずああいった場面に絡んでくる。フィジカル面でも勝つというところにまではいっていないけど、既に相手に負けないレベルには来ている。まだまだ上に上がったばかりで、自分の仕事を分かっていない面もあるけど、これからもっとよくなっていくと思う。五郎丸に関してはやはり安定感。今日もキック処理がよかったし、タッチキックの飛距離も出ていた。カウンターも積極的でよかった。60メートルを切り返して、そこからトライに至った場面もボールを繋ぐのがうまかった。彼にはそういった面も期待している。今日見に来たお客さんの中には、谷口?松澤?誰?と思われた方もいるかと思うが、初めて出た谷口も期待している選手のひとり。スッーと裏に出るスピードはチームでも1番か2番。無名の公立高校から入ってきて、努力でここまで上がってきたのも頼もしい。今日はチャレンジする場という点で非常に意義のある試合だった。組織でやられるのではなくて、個々で抜かれる。そういった状況ではワセダとしては2人目がうまく対応して止めなくてはいけないけれど、前半の最後の方はまずいところがあった。後半にその部分をうまく修正できたのはいい経験。国内の大学とやった場合では、1対1で抜かれるということはほとんどなく、外側で余るという形以外ではトライを取られないので、こういった相手と試合ができたのはいい経験になる。高麗はフィジカルも強いし、ひとりひとりは十分通用するレベル。必ず強くなるチームだと確信している。来年は高麗大が100周年ということもあって、ラグビー以外にもサッカー、野球、バレー、バスケ、アイスホッケーなどに声が掛かっている。これから両校の交流をどんどん発展させていきたい」
<更なる高みを望む主将・諸岡省吾>
「今日は清宮さんにもコンタクト、フィジカルの部分で絶対に負けるなと言われていて、みんなそれを意識して前にでることができた。ブレイクダウンもよかったけれど、後半に少しバテてしまって、プレーが雑になってしまったのが反省点。ただ走るだけでなく、コンタクトして、起き上がるというフィットネス。それが意識できているときはいいディフェンスもできていた。ただ、もう少しジャッカルできればと。ディフェンスはよくなってきているけど、相手がミスした場合でしかターンオーバーできていないので、もっと攻撃的なディフェンスをしなくてはいけない。前に出てはいるけれど、取りきれない場面がまだまだ多い。練習の成果を試合で出せるように、次からはそこを意識していきたい。FWはアタックはまったく問題なかった。強いて言えば後半、ブレイクダウンのところで相手をしっかりと捕まえきれずに、矢富が捕まってしまう場面があったこと。ああいったところはしっかりとSHを守ってあげなくてはいけない。スクラムは相手が変則的というか、日本にはないような組み方をしてきたので、対応力が問われたけれど、前半組むうちに慣れてきて、後半はターンオーバーをすることができた。そこは評価できるけれど、点数で言えばまだ70~80点。全体として見ると、まだまだチャンスフェーズで取り切れていない。みんなそれは意識していて、気がついてもいるし、どういうプレーを選択すればいいかも分かっているけれど、まだそれにスキルがついていってない状態。この点はもう少し時間をかけて仕上げていきたい。高麗は個々の能力が高かったし、球出しも早くて、うまくセットすることができなかった。ワセダとしてはひとりひとりがもっとがんばって、球出しを遅らせるようにしなくてはいけなかった。今回、遥々来て頂いた高麗大の皆様には本当に感謝しています。大学日本一と、延世大戦での勝利。お互いに最大の目標を達成し、再戦できればと思います」
<激しさと冷静さでチームを引っ張る副将・桑江崇行>
「ラインアウトは頭で勝負です。今日も寺山、青木の2人が練習どおりいいボールを投げてくれたので、安心してサインを出すことができた。高麗はコンタクトしてこなくて、背走させられてばかりでかなりきつかった。ショートステップを踏んできたり、パスでコンタクトを避けてきたので、なかなか捕らえきることができなかった。もっとガツガツくると思っていたけれど、イメージと違いました。ワセダとしてはピラーのセットが遅く、特定のゾーンに人が多すぎて、ムダ走りが増えてしまった。そこを意識して改善することができれば、もっと安定したディフェンスができるようになると思う。今日も2人目のタックルで相手を殺すことができずに、継続を許してしまった。まだまだ反省することだらけです。ただBKの仕留めはだいぶよくなってきたと思う。抜けたところへの2人目のフォローがよくなってきている。これから明治、同志社、関東と続くけど、とにかく精一杯やっていきたいです。楽しみです」
<その強さを見せ付けたNO8佐々木隆道>
「今日のデキはまあまあよかったと思います。途中でディフェンスを修正できたのがよかった。前半の最後の方は1対1で負けていたけれど、ハーフタイムで清宮さんが言ったように、ひとりでいくのではなくて、組織でスペースを守る。そこができたのがよかった。個人的には復帰明けということもあって、フィットネスがもたなかった。ミスもあったし、僕のせいでトライも取られたし、よくはなかった。ただチームとして勝てたのはよかったと思う。FWは今日もよかった。三角が崩している場面もあったけれど、基本的に崩してたのは全部FW。FWはこのままの形でいって、細かいところを修正していければと思う。あとはディフェンスで前に出て、いかに気を利かせられるかですね」
<初Aチームに緊張しまくりのCTB谷口拓郎>
「今日はとにかく緊張しました。上井草での練習からあがってました(笑)。前半は自分のよさを出せたけれど、後半は足が動かず、CTBとしての仕事ができなかった。BKのアタックがよくなかったのは僕がしっかりしていなかったからです。進んでコールすることもできなかったし、サインをだすこともできなかった。インターセプトからトライもされてしまいましたし…。あれはかなりへこみましたけど、隆道さんがすぐに声を掛けてくれて、気にせずといったら言い方は悪いですけど、次取り返してやろうという気になれました。トライは三角さんがくれただけです。昨年の今頃はコルツだったけれど、今までやってきて本当によかった。今年はもちろん上を目指します。ライバルは多いですけど、自分には足があるので、アウトやスピードで勝負していきたいです。今日は楽しかったし、いい勉強になりました」
<監督よりお褒めの言葉を頂戴したフランカー権丈太郎>
「今日は緊張しすぎて最初からバテバテでした。落ち着いてできると思っていたんですけど、秩父宮に着いたら鳥肌が立って、そこからずっとあがりっぱなしでした。トライはただのごっつぁん。走っていたら隆道さんからパスがきただけです。大学でもフィットネスはついていけると思っていたんですけど、今日の試合でまだまだダメだということが分かりました。コンタクトも課題です。もっと痛いプレーを進んでできるようにならないといけないです。ディフェンスのセットも全然できなかったし、ミスもしまくって、自分のせいでいかれてしまったので反省してます。ワセダのフランカーはタックルが1番大切だと思うので、これからもっともっと練習します。今はチャンスをもらっている感じなので、次からはもっと自分を出して、先輩に負けないようにがんばります。東条さんに負けないように」