「とにかく意識が低すぎる。このままだと関東に負ける…」(主将・諸岡省吾)。再び犯した同じ過ち。繰り返されるあのときの光景…。後半開始の5分間。一瞬の気の緩みが、この試合のすべてを台無しにした。
前日夜のミーティング、大型スクリーンに映し出されたのは昨年の大学選手権準決勝、後半開始のキックオフからゲームを壊した一連の緩いプレー。「明日は絶対にこういうことがないようにしよう」(主将・諸岡)。同じ轍は二度と踏まない。圧倒的な力の差を見せ付け、Final・関東学院大戦につなげる。誰もがそう、心に誓ったはずだった。
しかし…。強烈な風下をものともせず(前半22mの内側に入られたのは終了間際の一度だけ)17-0で迎えた後半開始早々。相手ゴール前に攻め込んだ場面で、余りにも不用意(不適切)なディフェンスミス。ブラインドサイドを一気に80メートル切り返され、やらずもがなのトライを献上した。そしてこれだけに留まらず、直後の5分にも相手CTB仙波智裕のロングゲイン、WTB平浩二の華麗な個人技に屈し、連続失点(17-14)。「あれだけ言っていたのに…」(主将・諸岡)。絶対にしないと誓ったはずのあの光景が、大一番・関東学院大戦を前に、再び繰り返された。
この5分間の緩みで、その後立て続けに奪った6連続トライ、NO8佐々木隆道の強烈な8単も、両ロックの激しいドライブも、BK陣のチャンスフェーズでの確実な仕留めも、プロップ伊藤雄大のスーパープッシュ(途中出場するとスクラムで魅せまくり、相手を粉砕!)も、どこかむなしさが残るばかり。「トライを取れるのは当たり前。もっと厳しいところ、立ち上がりからいかないと」(WTB内藤慎平)。「ああなるのは初めから分かっていたこと、あの入りをしてしまった時点で、その後のトライはまったく意味がない」(主将・諸岡)。トライラッシュは初めから描いていた当然の展開。あってはならないあの5分…。力の差を見せ付け、大勝こそ収めたものの、大きな課題が浮かび上がった。
まだまだ完成型には程遠いものの、次週はいよいよ、この1年の趨勢を決めると言っても過言ではないほどの大一番、カントー王朝への壮大なチャレンジ。「この一週間、本当に全員に意識してやらせます」(主将・諸岡省吾)。ULTIMATE CRUSHER・『諸岡組』にぬるい試合はもういらない…<早大ラグビー蹴球部広報 疋田拡>
<春の総決算・関東学院大戦での勝利を誓う清宮監督>
「SOの(久木元)孝成もいいところが増えてきたし、FWも相変わらずの安定感で圧倒できたし、次の関東学院大戦はいい形で臨めると思う。この春やってきたこと、練習でやってきたことをいかに出せるか。もちろん楽しみの方が大きい。ずっとこんな点数の試合を続けていても困るでしょ。次の関東戦はこれまでとは違った本当の戦いになると思う。今日1番注目していた伊藤と畠山の3番争いは、お互いいいプレーをして、プレッシャーを掛け合ってくれてよかった」
<同じ過ちに猛省の主将・諸岡省吾>
「今日は全然ダメ。このままだと来週関東に負ける。そこで取れていれば全然違う展開になっていたのに、前半のチャンスフェーズで3~4回ノックオンしてしまったし、昨日のミーティングで絶対にしてはいけないと、話したのにも関わらず、昨年の(大学選手権準決勝)ような入りをしてしまい、ああいう展開にさせてしまった。とにかく意識が低すぎる。他に言うことは何もない。後半はいけると思っていたのに、相手に先に2本いかれてしまって、本当に昨年と同じ。後半ああいう風に取れることは分かっていたので、その後立て続けに取ったトライはまったく意味はない。とにかく後半どう入るか、そこが大事だった。あんなことをしていたら関東には勝てない。あと一週間目の色を変えて、全員で変えていかないとまた負ける。この一週間本当に全員に意識してやらせます」
<相変わらずの強さを見せたWTB内藤慎平>
「今日はチームとしても個人としてもいいデキではなかった。後半は相手も切れて、緩くなっていたので、トライが取れるのは当たり前。最初の厳しいところ、立ち上がりからきちっといくことが大事。今日はミスも多くて、自分たちで厳しいところ、苦しいところを作ってしまった。特にBKのミスが課題です。WTBはFBと違ってボールに絡むところが少ないので、自分のよさを生かすために、もっと自分からもらいにいかないといけない。後半はコールも出るようになって、ボールも回り、絡めるようになってきたけど、もっともっと自分からいけるようにしていきたい。今までと全然違う一週間を過ごさなければ、次の試合はダメだと思う。関東とはこれまでとは別次元の戦いになる。もっと厳しく、もっと激しく、意識を高めて、この一週間を過ごしていきたい」
<不甲斐ないデキに浮かない表情のフッカー青木佑輔>
「今日は全然ダメ。チームとしてはミスが多くて、チャンスを物にすることができなかったし、個人としてもフィールドプレーが全然ダメだった。ラインアウトは桑江さんがいいところに出してくれているから安定しているだけ。スクラムに関してはだんだんよくなってきてるし、手応えもでてきた。次の関東戦でもセットを安定させて、FWが前に出て、とにかく勝ちたい。3年目は1番楽しめると言うので、いっぱいボールをもらって、もっともっとフィールドプレーに参加していこうと思っているんですけど、ここまでは最悪です…。来週もFWで崩しにいくことになると思います。しっかり調整して、いい形で臨みたい」
<Cチームから突然の大抜擢 一躍シンデレラボーイとなったフランカー松田純平>
「遠征参加は突然のことで本当にビックリしました。昨日の試合(Cチーム)、前半が終わったところで交替と言われたときは、そんなにダメだったのかとショックだったんです。そうしたら、いきなり遠征メンバーに選ばれていて夢みたいでした。本当に自分なのかと一瞬耳を疑いました。夜はよく眠れましたけど、ホテルに着くまでは緊張で汗ばかりかいてました(突然のことで何の準備もしていなかったため、ブレザー等、遠征に必要な物は同郷の先輩・安藤栄次より拝借。素晴らしき後輩愛です…)。試合に出たのは後半の途中からだったので、緊張することもなく、自分にできることをやってやろうと思ってました。ただ、タックルにいっても弾かれてしまい、まだまだ自分は通用しないということがよく分かった。とにかく今日感じたのはコンタクトの差。アップの段階で既に周りの人に飛ばされていたくらいですから。Aチームはやっぱりスゴイです。憧れの赤黒は4年間で一度着れるか、着られないか位に思っていたんですけど、今日こうして体験できて、自信になりました。夢であった赤黒が、今日で目標になったという感じです。自分はタックルするプレーヤー。高校のときみたいに止まった状態でタックルするのではなく、こちらから相手を倒しにいけるようになりたいです。どんな相手でも倒せるように、これからもウェイトをしっかりやろうと思います。既に上のチームにいる3人は、一緒に試合をして実力があるのは分かっていたので、同級生として負けていられないと言うよりは、尊敬の念の方が強いですね。今はまだ勝負できる段階ではないですけど、この先追いつけるようにがんばります」