レジェンド・『佐々木組』は『東芝前』、『東芝後』。発展途上・『東条組』は『三洋前』、『三洋後』? 95-0と100-0。経たプロセス、結果は瓜ふたつ。リーダーの色がくっきり出た戦いぶりで、ワセダはまた一歩、次のステップへと歩みを進めた。
この日のテーマは、『ターンオーバーからのアタック』、『ディフェンスからの切り返し』。「ただ止めるのではなく、ボールを奪うところまで。そこからの『反応』で一気にトライまで持っていこう!」(中竹監督)。これが野武士軍団との遭遇で痛感し、今週強く意識してきたことのひとつ。ダラダラ守っていても意味がない。一発で仕留めて、アタックに転じる(結果、常にボールを支配し続ける)『ディフェンディフェングラグビー』の根幹にターゲットは絞られた。
まずは6分、11分とFWがじっくりモールで攻め立てると、そこからは一瞬(いや、かなり?)テーマを忘れてしまいそうなほどのトライラッシュ。ついに出た!、ザ・『エース』今村雄太の相手を交わし、仕掛けながらのキラーパス(前半22分、この日1番の喜び?)、『ヨコヅナ』畠山健介の尋常ではない手先の器用さ、キャプテンの素晴らしき仕事の数々…。充実の『キング』・曽我部佳憲の軽快なタクトに乗って、どこかマッタリした雰囲気の中、「しれ~っと」得点を積み上げた。このアタック力、果たして本物か? 「個人技だったり、たまたまだったり、意図したものは少なかったので、まぁ…」(FB五郎丸歩)。
そして話を戻し、肝心のターンオーバーからの切り返しはと言えば、目に見える機会こそ少なかったものの、「ボールを奪い取る」、「ラックを超えていく」意識は間違いなく向上。「前に出られるようになってきたし、ミスへの反応もよかった」(主将・東条雄介)。「超えるべきところでみんなしっかりと意識できていた」(ロック寺廻健太)。加えて何とも嬉ことに、80分間途絶えることなくセービングの嵐。恐れず前に出る。強く一発で相手を仕留める(ここはまだまだですが…)。イーブンボールを完全に支配する―。かなりの時間を要したかもしれないが、今シーズンの新たな形、『中竹ワセダ』『東条組』の色が、ようやくハッキリと映し出せるようになってきた。
最重点懸念事項?ムラの大きさも、SH伊勢昌幸人(タックルに開眼?この日も秀逸!)、フッカー種本直人(スーパートツ連発!臼井との争いは超熾烈!)ら途中出場組の奮闘でひとまずは封印し、スコア的には100―0の完全勝利。 「80分集中を切らすことがなかったし、代わりに入ったメンバーも持ち味を発揮して、安心して見ていられた。次に繋がる試合だったと思う」(主将・東条雄介)…。そう、大切なのはこの状態を続けていくこと。3試合連続で完封することは確かに喜ばしい(と、いうか素晴らしい)。でも、もっと重要なのはムラを失し、強い相手に通用するのか、しないのかをしっかりと見極めていくこと。「もっとゲームの組み立てをしっかりしていかないと、これから先の強い相手には厳しいですからね。とにかく強い相手に対してどれだけできるか。帝京戦までに、しっかりとチームとして仕上げていきたいです」(FB五郎丸歩)。春にもあった、ライバルに79-0、43-5。タイトなゲームこそが、すべてにおいての判断基準(例年のごとく、その試合に対する細かい戦い方を落とし込むのは帝京戦から。この日も色々と試しながらでした…)。ワセダが必要としているのは、本物の強さ、ただひとつ―
<三洋練の成果! 3試合連続完封を評価する中竹監督>
「今日のテーマはターンオーバーからのアタックだった。まずディフェンスから仕掛ける。そのディフェンスというのは、ボールを取るところまで。そういう意味では、ターンオーバーからのトライもあったし、理想的な試合ではあった。それに後半はノーペナルティ(前半の5つだけ)、試合を通してラインアウトは100%。FWは昨年のチームと比べたら~というところもあって、課題もあったけれど、ディフェンスのセット、意識、徐々に力をつけているかなと。アタックに関しては、大外のブレイクダウンなどでペナルティがあったし、簡単なミスもあったけれど、そこは恐れずにチャレンジしろと言っての結果だし、修正できるミスであると思ってる。もちろんミスを放っておくわけではないけれど、誰が見ても分かるミスだし、学生たちが1番分かっているだろうから。今日の試合のテーマは三洋練で出た課題を踏まえてのものだった。ディフェンスのセットにしろ、切り返しにしろ、ブレイクダウンにしろ。練習からみんな意識してできていたし、成果が出た感じかな」
<やはり大黒柱! 先頭に立ちチームの飛躍を誓う主将・東条雄介>
「今日は80分集中を切らすことがなかったし、代わりに入ったメンバーも持ち味を発揮して、安心して見ていられる試合だった。全員でしっかりと声を出して集中しようと言っていたとおりできてよかった。普段あまり声を出さない奴も意識があったし、次に繋がるいい試合だったと思う。内容的にもテーマどおり。前半などブレイクダウンでまだまだなところもあったけど、ターンオーバーからチャンスを作ることができましたし、大外のところもよかった。そこそこ評価できる試合という感じです。後半は相手の集中が切れてましたね。アタックに関しては、モールで崩してトライを取れたし、BKだけに頼ることもなくて、よかったと思います。完封できたことはこの先への自信につながりますし、みんな集中を切らさなかったことが一番です。ただ、3試合連続で完封できたのはいいことですけど、ここから相手が強くなってくると、1点、ワンプレー、そういったところが勝負を分けると思うので、もっともっと拘りを持っていきたいです。それができればもっと強くなる。3連続完封の要因は、ディフェンスが前に出られるようになってきたことと、敵陣に長くいれていること、エリアマネジメントがしっかりできていることだと思います。今日もミスへの反応が遅れて走られるとか、そういったところがなかったので、その意識は続けていきたいです。先週の三洋練で出た課題、ブレイクダウンであったり、コミュニケーションであったり、これまでより全然コールが出ていたので、今日はやりやすかった。でももっとコールは出せるし、一人ずつもっと声を出さないと。今日の試合からまた新たなステップ、ワンランク上を目標にやっていきたます。やっと戻ってくることができました。ここからは休まず、グラウンドで先頭に立ってチームを引っ張っていきます」
<今やチームに欠かせぬ存在! この日もしぶーく仕事したNO8林徹>
「まず、最後の場面についてみんなに謝ります…(STする気満々だったフロント陣からは総スカン!)。伊勢くんのコールが聞こえたので…(周りからは嘘つくなと…)。キープも何とか、かろうじで(笑)。いつもタネや矢富が練習に付き合ってくれるおかげです。下手な自分を助けてくれるみんなに感謝です。チームとしては、何度か抜かれたところはありましたけど、みんなしっかりと追って、完封できたのはよかった。FWは前に出るディフェンスができましたし、キックチェースもよかったかなと。あとは強い相手にどれだけやれるかですね。立教戦と違ったのは、みんながボールをもらう気だったとところだと思います。そうすればどこかが空きますし、SHも捌けるようになる。ワセダのNO8にはものすごい責任があって、それに負けそうになることもありますけど、逆にそれを感じられるのは今この位置にいられるからこそだと思ってます。その責任を感じられるのは素晴らしいこと。いいシーズンです。人生で1番充実した時間を送れるように、このチームまで最後までいって、最後はトップリーグを倒します。僕自身、三洋練で外国人を2回かちあげられたことが自信になりました。チームとしても通用するところ、課題が見えて、ステップアップできたと思います」
<キレ復活? 大勝もキックの精度を反省するFB五郎丸歩>
「いやぁ、キックの精度が悪過ぎでした…。もっともっと練習しないとダメですね…。感覚がどうこうというか、練習していないんでしょうがないです。試合の内容に関しては、トライはたくさん取れましたけど、個人技だったり、たまたまだったり、意図したものは少なかったので、まぁ。もっとゲームの組み立てをしっかりしていかないと、これから先の強い相手には厳しいです。BKもよくなってはいますけど、裏表を使い分けてないですし、まだまだですね。大外のブレイクダウンに関しては、一発で倒れなくなってますし、いいんじゃないかなと。ディフェンスは…、どうですかね。相手にアタックさせていないので何とも。まだ修正点はたくさんあります。夏を過ぎて対抗戦も中盤、昨年のような落ち着いた試合はできていないですけど、このチームが機能していけば、昨年と同じような、昨年より上の試合ができるんじゃないかと思ってます。三洋練を経て、みんなで意思統一しようとしているところはたくさんあるんですけど、まだ試合で集中しきれていないところだったり、ミス、意識の低さを見せてしまうところがある。そこです。最近体がキレてる?、まぁ3週間のフィットネス強化期間で体重が少し落ちてますから(強さ、重さ、キレのバランス。BKは難しいところです…)。みんなも疲れてるんじゃないかと思います(笑)。とにかく強い相手に対してどれだけできるか。帝京戦までにチームとしてしっかりと仕上げていきたいです」
<4,5できるのは超貴重! 初スタメンでトライも挙げたロック寺廻健太>
「今日は緊張はしなかったんですけど、やっぱりスタートということで、感覚的にいつもと違う感じはありました。全体としては0点に抑えての100ということで、いいゲームだったとは思いますけど、個人的には彰友さんがいなくなったとき(ワセダのフッカーは危険です…)にミスが続いてしまったのが…。みんなで締めようって言ってたんですけど。あとは課題のキックオフでもミスが多くて心残りです。最初の2つをモールでいったのは、試す意味もありました。自分たちがどれくらいいけるのか。あれ以降、曽我部さんにはモールはいつでもいけますと伝えて。ディフェンスについては、ブレイクダウンの超えるべきところでターンオーバーできたのがよかったですね。みんなそこの意識があってよかった。あのトライですか?、仕方が分からなくて困りました(笑)。ブレイクダウンもだいぶ改善されてきてますし、練習からラインを深く、深くとやってきたことがしっかり出せて、FWもいけるようになってきた。最初は様子見なところはありましたけど、僕は一応4,5両方できるんで。健介も強くて楽ですから。あいつに任せていけば問題ないというくらい。今日はいい意味で課題も出たので、またビデオを見てしっかりと反省します」
<本日の『極賞』今村雄太 仕掛けてからのキラーパス!!!>