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2024
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対慶大 『東条組』才能爆発で次なるステージへ


 「今日は昨日話していたようにワセダらしく全員で戦えたと思います。苦しいときも、部員席からのみんなの声がしっかりと聞こえましたから」(主将・東条雄介)…。死ぬ気で挑んでくる慶應に対し、ワセダは絆、全員の力で。第83回早慶戦。一歩ずつ、でも確実に進化を続ける『東条組』は、苦しみながら、雰囲気に飲まれながら、またひとつ殻を破った。
 選手たちの胸に秘められていた思いは、春夏のリベンジ、そして「圧倒」。すべてで上回って強さを見せる! しかし…、そんな思い(願い?)とは裏腹に、前日練習ではミスを連発。新体制最初のビッグゲームによほど緊張したのか、試合が近づくにつれ明らかに固くなっていったワセダは、案の定最初の40分グラついた。
 「1発で取ろうとしてBKが仕掛けすぎて、FWを疲れさせてしまった。精度も低かったです…」。大黒柱・五郎丸歩もそう嘆いたように、前半はあっちへいったり、こっちへいったりのバタバタワイドアタックが、自分たちを苦しめた大きな要因。キックオフからのファーストプレー、いきなりの展開で「今日はいきます!」の意思表示までは◎も、その後ただ外に振るのが目的かのようなアタックに終始したのが問題だった。相手の足を止めることができず、きれ~に引いて流され煽られる。外にボールを運ぶのは目的ではなく、あくまでもトライを取るための手段(のひとつ…)。それでも、そんな状態でも、相手を崩す形は再三作っていたものの、チームとして「有機的」に機能することはなく、「ゴール」ラインには至らなかった。「全部曽我部に頼ってしまった感じです。もっとFWで近場にいくなり、ランナーになるなり、選択肢を増やしてあげてないといけなかった。そうすれば、もっと楽になったはずですから…」(主将・東条雄介)。挙句、コミュニケーションミス、緩いプレーからトライを奪われ6点のビハインド。秩父宮は久々に?異様な熱気に包まれた。雰囲気は、虎、虎、虎…。
 ビッグゲームでは長らく経験していなかったリードを許してのハーフタイム。それでも、勝ち続けてきた誇り高き『赤黒』たちは決して沈むことはなかった。「おい、全然問題ないやろ!後半やり返すぞ!」。「もっと相手を切っていく動きを入れていこう」。「立ってプレー。ドライブ、ハンマー。後半一発目で絶対にトライ取るぞ!」―。誰よりも勝ち方を知っている男たちは、ガッチガチ?の状態からようやく解き放たれ、その真価を発揮する。
 全員が意識して臨んだファーストアタック。誓い合ったとおり立ってボールを繋ぎ前に出ると、それまで牙を剥いていた虎の群れは意外なほどあっさり退散。『エース』今村雄太が本気の走りで相手を振り切り、超大事な時間帯、瞬く間に逆転に成功した。「見ている方は冷や冷やしたでしょうけど、あのトライでいけると思いました…」(SO曽我部佳憲)。このトライで勢いに乗ると、あとは意図どおりのものあり(19分、曽我部のトライがこの日のベスト?)、泣く子も黙る『スターバックス』の輝きあり(本気の五郎丸はすごいの一言…)と、一気の猛攻。FWがゴール前で引いてトライを許す失態、イーブンボールへの働きかけ、ディフェンスセット等々、課題もたくさん出たものの、危なげなく一番大切な勝利はしっかりと手に入れた。ビッグゲームの10分間で変われたことは、チームとっては大きかったか。「後半はシンプルに。接点に早く寄ること、モールから外に展開して取ろうって。立ってプレーすること、敵陣でラグビーができてよかったです」(主将・東条雄介)…。
 ホッと胸をなで下ろす『早慶戦』の価値ある勝利。しかし、これまでとは少し様相が違ったのもまた事実。ビッグゲームでこそ力を発揮した『レジェンド』たちの目に映ったものとは…。「前半はちょっと逃げていた感じだね。でもタレントたちがみんなトライを取ったし、よかったんじゃないかな。(胸を指し)ここよ、ここ。まぁ早慶戦はこれでいいんですよ」(前監督・清宮克幸)―。「FWはもっと落ち着いてやれば違っていたかなと。特に前半。もっと拘ってもよかったかもしれないですね。みんながんばっていたと思います。楽しかったですよ」(前主将・佐々木隆道)―。
 毎年チームを変えてくれる『早慶戦』。83回目のこの日も色々なものが透けて見えた。課題も甘さも改めて身に沁みた。この先を考え、チームとしてどう崩すのか、全体のデザインを描き、浸透させ、共有することが今一度必要に思われた。もう後戻りはできない。このチームには前進あるのみ。先輩たちよろしく、ビッグゲームを経て『東条組』も絶対に強くなる。冷や冷やしながら、ときにナイーブさも見せながら、全員で1歩ずつ、一戦ずつ…。そして、ワセダは勝ち続ける―


<ひとつの山を乗り越えチームの成長を口にする中竹監督>
「慶應さんの激しいディフェンス、プレッシャーのなか、自分たちのやりたいプレーができずにミスばかりしてしまった。ただ、後半は選手自身がしっかりと引き締め直して、ボールリリースのところだったり、よくなかったところを修正することができた。とは言え、ディフェンスのセットであったり、まだまだ課題があるので、そこはなくしていかないといけない。今日は空いているところにボールを運ぼうとしたけれど、ちょっとプレッシャーを受けて浅くなってしまったり、いつものスピードが出なかった。結果相手のいるところにいってターンオーバー。チェンジアングルだったり、もっとタテを突く意識が必要だった。後半は意識の薄いところにかましてリズムが出たかなと。今日で引き分けを挟まない連勝タイ記録(対抗戦42連勝)ですか?、連勝記録とかまったく意識していないです。一戦一戦目の前の敵を倒す。出し切っていく。それだけです。意識はしているけれど、筑波戦からずっとFWのところでいかれてトライを取られてしまっている。明治は当然そこに拘ってくるので、立て直さないといけない。逆にここを乗り越えればチームとして成長できる。舞台は用意されたので、しっかりとやっていきたい。みんな昨日からちょっと固かったね。今日のこのビッグゲームを経験したことで、選手たちは成長してくれると思うよ」


<全員の力で! 大舞台を経験し更なる飛躍を誓う主将・東条雄介>

「前半はやりたいことができず苦しい試合になりましたけど、後半自分たちのやるべきこと、ファーストプレー、しっかりと修正できてよかったです。トライを取られてしまった後も、次に向けてみんなで声を掛け合っていけたのが勝因だと思います。ラインアウトに関しては、しっかりとイメージがありましたし、スクラムも夏のことがあって、フロントはみんな気合が入ってましたね。今日はそこで勝てた試合です。慶應はラインアウトからBKに展開してくると思ったので、球出しを遅らせること、上でプレッシャーをかけることを意識しました。特にSHにプレッシャーをかける。それがよかったかなと。競るところとプレッシャーを懸けるところの使い分けがしっかりできた。でも最後にモールで取られてしまったのは恥ずかしいです…。前半はブレイクダウン、イーブンボールへの反応が悪かったし、モールもダメでした。ミスボールにもいけず、順目にも走れずで。自分たちから相手を振ろうとして、自分たちがついていけずにプレッシャーを受けてしまった感じです。なので、後半はシンプルに。接点に早く寄ること、モールから外に展開して取ろうって。後半のファーストアタックでトライが取れたので楽になりました。立ってプレーすること、敵陣でラグビーができたことが、後半は大きかった。アタックは全部曽我部に頼ってしまった感じなので、もっとFWで近場にいくなり、ランナーになるなり、選択肢を増やしてあげてないといけなかったです。そうすれば、もっと楽になったはずなので。慶應は強かったです。その中でいいパフォーマンスができた部分もあったかなと。トライは個人技的なところもあったけれど、そこに2人目の寄り、例えばハンマーだったりを、絡めていけばもっともっとよくなると思う。いつもであればトライの場面でもディフェンスが止めにきていたし、そこは慶應の強いところ。このプレッシャーのなかでやれたことは、チームにとって絶対にプラスになる。今日の試合を経験したことで、このチームはまた成長できる。次の明治はFWでとことん来るので、まずセットプレー。そこがイーブンであれば間違いないですから。今日は昨日話していたようにワセダらしく全員で戦えたと思います。苦しいときも、部員席からのみんなの声がしっかりと聞こえましたから」


<舘さんも大満足? セットの安定でチームに勝利をもたらした後藤彰友>
「今日は試合の入りがよくなかった。普段しないミス、簡単なミス、ディフェンス…。気持ちが入ってないとかでなく、早慶戦の雰囲気はやっぱり違ったというか、飲まれてしまったところがあった。最初に取られたトライは、コールがなくて人数も少なくなって、普段はいかれないところをいかれてしまった。うまくいかなかったです…。トライの取られ方は予想外というか、こぼれ球からだったり、そこはチームの意識がまだまだ甘いということだと思います。今日はセット勝ち?、そうですね。スクラムは…、昨年のことを言うのはあれなんですけど、イメージが近づいてきたというか、セットすらままならない状態だったところから、しっかり組めるようになってきましたかなと。ラインアウトに関しては、塚田、相手をしてくれたBチームのおかげです。Bチームのみんな、いつもいつもありがとう―。ブレイクダウンで煽られていたのはやっぱり人数が少ないとき。フェーズが重なって、いないのに外に振ってしまったり、もっとFWが内でプレーすることも必要でした。BKのブレイクダウンどうこうでなく、FWの責任です。それに取った後取られてしまうのは、今年のチームの悪いところ。モールも甘かったです。あのキックのトライは、気にしなかったというか、別に言っても変わらないから次のキックオフいこうってみんなで。毎試合課題が見えるのは、まだ強くなれる証拠だし、このビッグゲームを経験してまたチームも変われると思う。もちろん、同じ課題を持ち越しているのはすぐにでも修正しないといけないですけど。明治はスクラムとモールに拘ってくる。とにかくそこだけ。FWにとってはきつい1週間になりそうですね。(試合前にはあの舘ひろしさんがワセダを激励しにロッカーへ!)舘さんですか?、僕は舘さんに誘われてラグビー始めたんです。嬉しかったですね」


<有言実行! スクラム、ラインアウトで相手を制圧したフッカー種本直人>

「昨日の決意表明で言ったように、今日はとにかく1列で、スクラムで圧倒しようと思ってました。夏はスクラムがイーブン以下で、BKにきつい思いをさせていたので、まずセット、こんどはやってやろうと。1回だけ回されてしまったのは相手もなあなあだったというか、レフリーが組み直しを命じてくれるかと思って顔を上げたら続いてて、ビックリでした(笑)。今日はセットで勝った感じです。ラインアウトのディフェンスもよかったですし、マイボールのテンポもよかった。彰友、豊田には感謝です。林とも合いましたし(笑)。練習どおりできました。ブレイクダウンに関しては、集散、2人目が速かったりと、慶應も拘っていた。そんななか試合ができたのは自分たちにとってプラス。ワセダとしては、1人目の強さ、2人目の寄りにもっともっと拘っていかないといけないです。前半はみんな固かったですね。でも山田くんのあの逆転トライでひとつになれました。ディフェンスも分かっていましたけど、慶應の継続の意識は素晴らしかった。ディフェンスのセットはまだまだ課題です。ブレイクダウンの超える意識、イーブンボールへの働きかけ、そういうところにも拘って。慶應と試合ができてプラスになることがたくさんあった。次の明治はFWに拘ってくるチーム。スクラム、ラインアウト。向こうはうまいですけど、うちがいかに先手をとれるかです」


<さらに大人に? パスの精度を悔やむも手応えを口にするSO曽我部佳憲>

「ホッとひと安心って感じです。危なかったですね。前半BKがちょっと欲を出してしまったというか、無理して攻めすぎでした。そこは反省点。ちょっと焦った感があった。前半外に振り気味だったので、後半はタテ系のムーブを入れて。そっから流れがきた。それと夏からずっとやってきたセットアタック。何本か取りきれましたし、結構できたんじゃないかなと。まだまだ課題はありますけど、勝ててよかったです。慶応は他のチームと全然違いますね。何で僕らのときだけって思ってしまうくらい(笑)。ディフェンスに関しては、まあまあいけた方かなって。狙ってくるのは分かっていたので、まぁ無事に終わってよかったです。見てる方はヒヤヒヤしたでしょうけど、自分たちは後半最初のトライでいけるって思いました。今日はこの雰囲気の中、いい経験ができたというか、こういうゲームを物にしていくのは大きいんだと思います。チームにとって絶対にプラスになりますから。昨年は大勝続きでしたけど、今年はひとつひとつこうして勝っていきます。今日の自分のパスは反省です…。きちんと放っていれば、イマムがトライというシーンがたくさんありましたから。早明戦ですか?、BKには自信を持っているので、BKでいけるってところをみせます。もちろんFWもがんばってますけど、ワセダのアイデンティティを。中竹さん、後藤さんに教わっているように直向きに。がんばります。こうして変われたのも中竹さん、後藤さんのおかげです。試合後も慶應のみんなと楽しく話ができました。みんなメッチャいい奴です」


<抜群の存在感! セットだけでなくフィールドでも魅せたプロップ畠山健介>
「いやぁ、疲れました。慶應強かったです。ただ、今日は自分たちからの軽いミスで取られてしまったというか、精度に問題がありました。前半最後のトライはまさにそう。これを教訓にしないといけないです。スクラムに関しては、タッキー側から煽れましたし、ラインアウトも成果が出たと思います。けど、モールのトライはいらなかった。筑波戦から取られているのは、ずっとモールとFWサイドで同じ。明治もそこに拘ってくるので、変えないといけないです。チームとしては、後半修正できたのはよかったかなと。東条組らしく、後半突き放すことができた試合でした。そこは強みです。スクラムの借りは…、まぁまぁ返せたくらいです。対面の石津さんは強かったですけど、タッキー側は完勝でしたし、全体で見ても勝ってた。まずまずいいイメージと言うか、このセットの制圧をスタンダードにしていきたいです。もっとペナルティが欲しかったかですか?、そこはレフリーとのコミュニケーションをあるので言いません。ワセダはもっとできますから。今日早慶戦に勝って、次は早明戦。このチームは1試合ごとに強くなっている。今日は『東条組』が『荒ぶる』を取るための分岐点というか、また変わっていく試合だったと思います。明治とはスクラム勝負。それにモール。そこを潰せば明治は逆に何もできないと思うので、FWで勝ちます。チームが変わるのが今日だとしたら、FWが変わるのが早明戦。そんな試合にしたいと思ってます。絶対に勝ちます」


<ビッグプレー連発! 大黒柱としてチームを引っ張ったFB五郎丸歩>
「いやぁ、やっぱり簡単には勝たせてくれないですね。前半は1発で取ろうとしてBKが仕掛けすぎて、FWを疲れさせてしまいました。BKの精度も低かったです…。後半は組織で動き始めたというか、そこが変わったところ。後半の最初も1発で取るサインではなかったんですけど、取れてよかったです。前半はFWを下げるようなプレーをしてしまっていたので、後半はとにかくそこを直そうと。前半ちょっとチーム全体が雰囲気に飲まれてしまったようなところがあったんですけど、後半修正できたのはチームにとって大きかったと思います。1戦1戦、モチベーションも上がってきている感じですから。清宮さんの言葉ですか?、僕はタレントじゃないですよ(笑)。ただ、個人技のところもあったので、もっと展開して取りたかったです。チャンスはいっぱいあったんですけど、意思統一がなくて抜けなかった。そこは修正点です。早明戦に向けては、FWはモール、チームとしても修正しなくてはいけないところがあるので、またしっかりやっていきます。早明戦こそFWを下げないことです」

<あの御方もカリスマキャプテンも主務部屋を応援しています>