まだこのチームは終わらせない、最後まで赤黒を手にするチャンスを―。ジュニア選手権・セカンドフェーズ準決勝。『至誠』・松田純平を中心に鉄の結束を見せる熱き男たちは、その強い意志で、見事決勝へのキップを手に入れた。「まさか」の1位通過から、「必然」のファイナル進出…。
もちろん、この日も気合いはMAX。ファーストアタックでSO掛井雄馬が裏に抜け出し、1分と経たないうちに先制すると、その後もやりたい放題、意のままにゲームをコントロールした。その中心は、シーズンの深まりとともに輝きを増す有言実行の4年生たち。松田純平が激しさ、掛井雄馬がフレアでチームを牽引すれば、ここへきて完全に一皮むけたWTB大野雄也が自慢の快足で3トライ(どれもすばらしいものでした!)。「今日は負けたら終り。その時点でAに上がるチャンスはなくなってしまう。だから4年が引っ張って絶対に勝とうって。みんな4年らしいプレーができてよかったです」(SO掛井)。やっぱりその年のワセダを決めるのは、4年の力! この想いに応えるように、フランカー上田一貴(攻守に抜群!)、SH櫻井朋広(捌き!)ら下級生も躍動した。前半だけで7トライ、41点。後半も6トライ、32点。帝京はまるで別人だったとはいえ、その怒涛のラッシュは壮観だった。
そして、この日最も大きなトピックは、春からワセダを支え続けてきた男・長尾岳人、久々の実戦復帰。相変わらずの人への強さに、卓越したディフェンス能力。「体がついていかなくて1プレー、2プレーでもう…」と言うように、まだまだ本調子とは言えないものの、ミッドフィールドで体を張れる男の復帰は、チームにとって大きいことこの上ない。『早明戦』へGOサイン? 大舞台を経験した井上隼一、この日も抜群の動きを見せた宮澤正利との『12番』争いは、ワセダをまだまだ強くする。
途中ふたつばかりあったユルいプレーは気になる&要反省も、全体を通して見れば、この日のテーマ・「1人1人の仕事」「目の前の相手を仕留める」を実践しきった価値ある勝利(Aへのお手本!)。どん底から這い上がり、これでもうひとつの覇権奪回までマジック1。「Aの次に強いのは僕らワセダのBだということを決勝で示せればと思ってます。4年の意地です…」(SO掛井)。あの日のことは決して忘れない…。『権丈組』、想いはひとつ!
<4年の意地! その閃きでチームを決勝に導いたSO掛井雄馬>
「中竹さんにおまえらしく思いきりやってこいと言われていたんですけど、今日はそのらしさを出せたと思います。あとは4年です。ミーティングが終わってからもずっと4年で集って色々と話をしてきましたし、今日は負けたら終り。その時点でAに上がるチャンスはなくなってしまう。4年が引っ張って絶対に勝とうって。大野のトライはすごかったですし、三原も、松田も、小沼も、4年らしいプレーができてよかったです。BKでいいアタックができるのは、CTBに宮澤がいてくれるから。あいつから外に振れる。はじめのうちは外を見せておいて、相手のアングルが外に向いてきたところで今度は内。その駆け引きがうまくいったと思います。それと、帝京はキックが中心だろうということで、晴紀と蹴り合いに負けないようにって。後半ちょっと下がってしまう場面はありましたけど、常にテリトリーで勝ててよかったです。決勝ではAの次に強いのは僕らワセダのBだということを示せればと思います。4年の意地ですね。その試合に自分は出てなかったですけど、明治には負けていますし、Cも引き分けだったので、その雪辱を。Aだけでなく、Bも圧倒して、ワセダ全体で明治を倒したいです。リベンジです、リベンジ。こんなこと言って相手が東海大だったらすいません…。4年でAに上がることを諦めている奴はいません。自分もしっかりと責任あるプレーをして、後半たちにこれがワセダなんだというものを少しでも見せられればと思ってます。率先して、チームを引っ張って、体張ります!」
<目指すは赤黒! 攻守に抜群のインパクトを残した上田一貴>
「今日はもう負けたら終りということで、いいプレーをという考えではなくて、とにかく勝とうって言ってました。1番意識した点はブレイクダウン。ハイパントからのアタックだったり、色々とあったんですけど、個々が、対面に勝つ。そこが1番でした。チームとしてよかったのか、今日はよく分からないですけど…、ひとりひとりが前に出られたのが大きかったと思います。対面勝負ということでは、ディフェンスの機会は余りなかったですけど、あったときはしっかりターンオーバーもできていたので、まぁよかったのかなと。自分のプレーは…、よかったですか? 自分のよさは本当はディフェンスだと思ってるんですけど、最近は中竹さんにアタックしろと言われているので、今日はボールをもらうことを意識してました。空いているところでしっかりもらえてよかったです。今日はいい内容のゲームではありましたけど、相手が相手だったので…。これを強い相手にもしっかりできるかです。決勝で見せないと意味ないですから。また松田さん中心に引き締めていければと思います。個人的には、ずっとディフェンスで飛び込まないことを課題にしてきて、それができるようになってきて、帝京戦でもAにいけたんだろうと思ってます。ディフェンスで取り組んできたことの成果が出てきたかなと。とりあえず残りの時間でAに上がりたい。今日出たみんなも同じ思いでやってます。ジュニアの決勝ももちろん大事ですけど、自分がAで活躍する。そのために、さらにチームが勝てるように、自分の仕事をしていくだけです」
<『早明戦』への準備は万端? ついに復帰を果たしたCTB長尾岳人>
「今日は久々の試合、とりあえず強いプレーで前に出て、チームに勢いを与えようと思っていたんですけど、もうみんな最初からすごかったのですね…(笑)。そう意気込んでたんですけど、久々で体がついていきませんでした。ケガ人中、ウェートはしっかりやっていたので、コンタクトは大丈夫だろうと思ってたんですけど、ゲームフィットネスがまったくなくて、1プレー、2プレーでもう…。早明戦のメンバーにはもちろん選ばれたいと思ってますけど、今日出たみんなも同じことを考えてるでしょうし、実際そう口にしてましたから。それぞれが自分との勝負という感じでしたね。自分としてはまず試合慣れして、ドンドン自分から動けるように。ウェートもやり込んで、大学選手権決勝の舞台に立てればと思ってます。早慶戦は…、みんなすごかったですね(笑)」