ものすごい疲労感にグッタリした。試合後、誰しもが考えさせられた。「そこ決めて欲しかったぁ~」のオランダ戦から一夜明けた三ツ沢での『春早慶』。赤黒・ワセダもその力を存分に発揮しながら、大きな問題を突きつけられた。下手すれば、シーズンの最後まで付きまとう類の…。「試合を通して取りきるべきところでのミスが多かったです。決定機でのノックオン、パスミス、キャッチミス、ラインが浅くなってしまうところ、毎試合の課題がそのまま出てしまったなと…」(ゲームキャプテン・山中亮平)―
「絶対に負けられない戦い」にふさわしく、滑り出しは順調だった。プロップ垣永真之介、WTB中靍隆彰がひとまず観衆の度肝を抜いた後の5分、ラインアウトモールを起点にロック岩井哲史の高速ピックゴーで幸先よく先制。テンポよく、アグレッシブに。その後も圧倒的にゲームを支配し、スコアを重ねるのは時間の問題!…かに思われた。しかし、グッドターンオーバー後のスクラムでアーリーエンゲージ(他にも複数回…)、ラインアウトアタックで完全攻略→ビューティフルトライ!の場面でインゴールノックオンetc、自らの手でツメの作業をしくじると、一転して空気はどんより。FB井口剛志からの巧みな崩し、継続・継続後のハリーでリードこそ広げた(強烈な風上でなければセーフティリード?)ものの、フラストレーションは溜まりに溜まった。
風下での仕切り直し、今一度原点に返ることを確認して臨んだ後半も状況は変わらず、…というより更に悪化。サッカーに例えれば、ボールポゼッションでとことん上回り、気持ちよくパスを回し、幾度となくサイドをえぐりながら、ゴールネットだけは揺らせない。解説者に「ゴール前でのもう一工夫が欲しいですね」と言われるような状態。フットボールは最終的に得点を競うスポーツ。最後のカベを越えられなかった要因は。組織の問題?個人の問題? 「今日は個人の問題だと思います。どんどん継続していこうと決めているなかで、あれだけミスをしてしまっては…。個人スキルが甘かった。そこは意識が足りないということです」(SH榎本光祐)。洋の東西を問わず語られる(嘆かれる?)「決定力不足」。ワセダとしてまだ手をつけていない段階ではあっても、今一度意識の変革が求められる。
とはいえ、この日も赤黒は到達すべき理想に向け、真っすぐ、ガムシャラに自らのスタイルを探求し続けた。「もしこれが接戦でチャンスが少ないなかであればちょっと考えるけど…」(主将・有田隆平)と言うように、フィニッシュに意識が向くのは、一方で成果が出ているという証拠。「勝つことができてよかっったし、学生たちはよくがんばってくれたと思う。今日は本当にきつかったと思うけど、そんな状況でも自分たちのやろうとするラグビーを80分やってくれて、みんな変わってきているなって」(辻監督)…。いよいよ春残り1試合。いつだってその年の行く末を決めてきた三ツ沢での『春関東』で、『有田組』はその真価(進化)を見せる―
<我慢のとき! ウズウズを抑えながらチームを見守る主将・有田隆平>
「今週テーマにしてきた1:1で勝てていたので、その点はよかったと思います。スコアが伸びなかったのは…、もちろんミスもありましたし、僕のイメージとしては、もっとランナーに来て欲しかったというか、FWが走り込めていればなと。テンポはよかったと思いますけど、取りきれない、もっと取れたかなという印象です。ただ、アタックの整備はこれからですし、シリアスには考えていません。あれだけ攻められてる分にはいいというか。これが接戦で、少ないチャンスでの状況であれば、ちょっと考えますけど、ずっと攻めている分マシだろうと。同志社戦で課題に挙げたディフェンスに関しては、機会はそれほどありませんでしたけど、セットは早くなっていましたし、この前に比べるとできていたと思います。ブレイクダウンについては、まずキャリアが立って前に出ること。寄りは早くなってきているので、ハンマーなりで接点をもうひとつ前に、先に持っていけるようになりたいです。春最後の関東戦は、まず勝つことが大前提で、1:1、ブレイクダウン、絶対に強いと思うので、そこで勝つこと。そしてアタックのチャンスをものにする。そういった試合ができればと思います。スタンドで見ているとものすごくウズウズしますし、出られない自分にイライラしてます(笑)」
<一層のレベルアップを!個々人の意識を訴えるゲームキャプテン山中亮平>
「前後半、試合を通して取りきるべきところでのミスが多かったです…。決定機でのノックオン、パスミス、キャッチミス、ラインが浅くなってしまうところ、毎試合の課題がそのまま出てしまいました。チームとして向かっている方向はいいと思いますけど、BKの精度が低いですし、反則も多かったですし、ボールキャリアがよくなくてジャッカルされたところもありましたし、攻め方うんぬんより、今日の問題はそういったところです。チームとしての崩し方であったり、攻め方はいいので、精度、個人個人の精度、練習からの意識だと思います。ディフェンスに関しては、試合を通して行くべきところには行ってはいましたけど、最後のような、立つべきところに人がいなくなってしまった点は反省です。同志社戦で口にした1:1の部分の意識はよかったと思います。それでも、このレベルでは強い相手には負けてしまうと思うので、もっともっと意識を上げていかないといけません。春最後の試合に向けては、やっぱり精度、そしてディフェンスでもっと前に出る意識を持って戦いたいと思います。アタックの精度、キャリアの強さ、その辺りは個人の問題です」
<久々の赤黒!A代表から一回り大きくなって帰ってきたロック中田英里>
「今日はものすごく疲れました…。ずーっと走っていたという感じで。ペナルティからもどんどん行って、それでチャンスも作っていましたけど、そこで取れず苦しい展開になってしまいました。汗で滑ったこともあって精度も落ちて、こういったことはシーズンでも考えられるので、もっと集中力が必要だなと。今日はとにかく取りきれなかったこと。キャリアの責任です。もっとしっかりとした球を出さなくてはいけません。慶應は2人目の寄りが早いですけど、ワセダも昨年より早くなっていますし、そこは成果だと思います。もっともっと早くしなくてはいけないですけど。これまでみんなが課題だと口にしていた1:1に関しては、木曜日のNEC練を体験したことが大きかったと思います。NECのひとりひとりのあの激しさ。僕たちはもちろん、下級生にとっても大きな刺激になったはずですから。いい見本、目指すところを見られたのはいい経験になつたので、これから体現していきたいです。A代表では自分自身、ひとつすごく意識できることを得られました。動き出し。それを意識として感じることができたので、本当に行ってよかったと思います。実際、ワセダに帰ってきたら、みんなの方が全然早かったんですけど…(苦笑)。次の関東はひとりひとりが絶対に強いと思うので、1:1に拘ること。今日はタックルされてボールをこぼしたり、リリースが乱れたりしてので、そこを意識してやります」
<自分たちを出し切ること!アタックの改善点を口にするSH榎本光祐>
「今日のポイントは前半攻めていたところだったと思います。あそこでもう2~3本欲しかったなと。ハンドリングミスだったり、総じて個人スキルが甘かったです。継続すればゲインもできましたけど、ミスが重なってああいった展開になってしまいました。今日は組織より個人の問題だと思います。どんどん継続していこうと決めているなかで、あれだけミスをしてしまっては…。練習がそのまま出ているので、意識が足りないということです。ブレイクダウンに関しては、寄りの早い慶應に対してよかったとは言えないですけど、僕としては捌けていましたし、悲観するものではなかったのかなと。チームとしては、やろうとしていることが見えている感じはあります。BKは山中に任せていますけど、FWについてはもっとオーバーラップできたらよくなるというか、僕からのチョイスでアタックができるようになれば、オプションも増えてまた変わっていけると思います。今年が最後の年だという気持ちももちろんありますし、悔いのないよう、これまでの分を取り返していきたいです。来週の関東戦は、この春やろうとしていることがまだできっていないので、いかに出し切れるか。それができれば自然と結果はついてくると思います」
<日々進化!抜群の存在感でスタンドを大いに沸かせプロップ垣永真之介>
「今日はツメが甘かったなと…。取りきれないし、最後に取られるし。そこは取り急いでしまったのが要因だと思います。焦りすぎといいますか。自身のプレーについては…、CTBの宮澤さん、内山さんはじめ、先輩たちが僕を生かしてくれたからこそです。先輩たちのおぜん立てしてくださるので、だいぶ自分のプレーが出せるようになってきました。スクラムに関しては、最悪です…。敵陣でターンオーバーを許してしまったり。ああいうところがプロップは勝負ですから。木曜日のNEC練では、8人で組まなくてはいけないということを痛感しました。まだまだです。来週もAで出ることができたら、自分らしいプレーをして、ワセダの勝利に貢献できたらと思います」
前半
5分 早大 5mLOからモール→ラックに移行し岩井トライ G山中失敗 5-0
29分 早大 22m右S→9・15がディフェンスを崩し中靍トライ G山中成功 12-0
35分 早大 G前ペナルティから速攻→9・10・15・中村トライ G山中成功 19-0
後半
28分 慶大 自陣LOのハリ入れから攻めるも13がインターセプト G成功 17-7
39分 早大 ペナルティ(DFTO)からの速攻で中濱がトライ G山中失敗 24-7
42分 慶大 継続され続けたラックからサイドを抜かれトライ G成功 24-14