逆転勝ちも課題残る
8月20日 長野・早大菅平グラウンド
夏空から一転、きょうの菅平は時折激しく降る冷たい雨に見舞われた。夏合宿の試金石となる夏期オープン戦。早大は関東学院大に終了間際に逆転し、29-22で勝利を収めた。勝利という結果に終わりはしたが、FW戦で苦戦する場面も目立ち、克服すべき課題が改めて明らかになった。
天候とグラウンドコンディションを踏まえ、関東学院大が採った戦術は定石通りの密集戦。対する早大は「いつも通りにやろう」(フッカー高家崇徳、創理3=埼玉・早大本庄)と、キックとBKの横の動きで勝負を仕掛けた。早大はフランカー山下昴大主将(スポ4=東福岡)、WTB中鶴隆彰(スポ3=福岡・西南学院)らの献身的なタックルで関東学院大の前進を防いだが、一方の関東学院大も愚直にモールを組み続ける。前半は互いに譲らず、10-10の同点で折り返した。
後半2分、関東学院大がラインアウトからのモールを押し込み10-17と勝ち越しを許す。ここから、早大にとって我慢の時間帯が始まった。5分、山下主将のトライで15-17と2点差まで迫ったが、以降はなかなか突破口を見いだせず、早大は自陣に釘つけになった。24分、ついに関東学院大のモールが早大インゴールに流れ込む。15-22と点差を広げられた早大。踏ん張りが効かず、万事休したかと思われた。
しかしここからワセダらしいラグビーが復活。息切れ気味に見えたスクラムが徐々に息を吹き返し始め、呼応するかのようにBK陣が機能し出した。早大は速い展開に持ち込んで一気に陣地を奪取し、相手ゴール22メートルライン付近までの前進に成功する。その後も早大はセットプレーを優位に進め、39分ゴール前5メートルでボールを受けたFB井口剛志(スポ4=京都・伏見工)がインゴールにねじ込み、22-22と同点に。さらに試合終了直前、ブラインドサイドを突破したWTB原田季郎(教3=福岡・筑紫)のトライが決勝点となり、早大は29-22で関東学院大を下した。
最後に個人技で勝ち越したとはいえ、プレーの精度などについては多くの選手から反省の弁が聞かれた。「相手に長所で勝負させすぎた」(井口)など、得意のFW戦を仕掛けられた時間が長かった点からは、多くの選手が課題を見つけていたようだ。夏期のオープン戦はあと2戦。山下組のラグビーとは何か。合宿の成果を存分に発揮し、その姿をより明確にしていきたい。
(記事 早稲田スポーツ新聞会 辻安洋)
コメント
フランカー山下昂大主将(スポ4=東福岡)
――逆転勝ちでした。試合の感想をお願いします
まず勝てたことが良かったです。内容もFWのモールディフェンスとサイドディフェンス以外に関してはすごく良かったので、内容のあった試合でした。
――モールの失点が多かった点について
途中から修正はできたので、もっと早くチームコンセンサスがとれていればと思います。
――最後に逆転できた要因はどこですか
絶対に80分間戦い切るんだという意志を持ってたことです。あとはしっかりアタックで継続できたことです。
――自身もトライを奪いました。狙っていましたか
そうですね。スペースが空いていたので、吉井にずっと声かけてました。
――きょうは夏の初戦でした。チームとしてはどういう意識で臨みましたか
とにかくファーストプレーにこだわろうということです。あとは久しぶりの試合なので試合をできる喜びをぶつけようということです。
――夏合宿ではどういうところを重点的に取り組んでいますか
まずはフィットネスです。最初の一週間は毎日走り込んでいました。それからはことし目指すラグビーを落とし込みました。
――ここまでチームの雰囲気はいかがですか
すごく良いです。充実した時間を過ごせています。
――次は天理大戦です。どういう意気込みで臨みますか
天理大はすごく良いチームですし、知っている選手も多くいるので個人的に楽しみです。ディフェンスもアタックもまあまあ良かったので、あとは細かいところをこだわってプレーしたいと思います。
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