早稲田スポーツ特集 “B”oost Up-Aチームに駆け上がるー
【第3回】土肥将也×辰野新之介
第3回目は、3年生のBKとして活躍するSH辰野新之介(文構3=神奈川・桐蔭学園)とWTB土肥将也(人3=東京・三鷹)。Bチームでは主力として勝利に貢献するのはもちろんのこと、今季は初めて赤黒を着て試合に出場し、ワセダの中で存在感を示した。そんなお2人に春季を振り返っていただき、さらにラグビーの面白さ、夏から秋に向けての意気込みなどを語っていただいた。
土肥:Cチームからのスタートだったんですけど、結果的にAチームでも出れたりして、収穫もあって課題も見つかったりしたので、本当良い春シーズンだったと思います。
辰野:まず全部勝てたっていうことがすごい良かったのと、Aチームで何試合か出てもらって良い経験もできたんですけど、ずっとAチームで出れなかったっていうのは少し課題が自分にあるのかなと思って、ちょっと悔しさもある感じです。
——AからEまで全てのチームが全勝で春季を終えましたが、ことしのワセダの勝因や強みを教えてください
辰野:きょねんに比べて、多分みんなやるラグビーがわかっているので、やることがはっきりしているから試合中も迷わずプレーできていると思います。
——今季で印象に残っている試合はありますか
土肥:僕はやっぱり初めてAチームで出た流経大戦が一番印象に残っていて、自分の通用する部分とか課題が明確にわかった試合だったので、自分の中でターニングポイントになったかなって、いま振り返ると思います。
辰野:最初の(Aチームの)カントー戦ですね。やっぱりきょねん負けていて、僕は後半から出たんですけど、15人全員がすごい気合入ってるあの緊張感の中で試合に出れたのは良い経験になったと思います。
——後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)の印象はいかがですか
辰野・土肥:怖い(笑)。
辰野:まあ後藤さんについていけば絶対に優勝できるっていう風に思わせてくれる監督です。
——練習したことが試合でできている手応えはありますか
土肥:やったことが結果に結びついていると春シーズンはすごく感じたので、このまま後藤さんを信じてみんなで一丸となって頑張っていくという感じです。
——ことしはスクラムなどでFW陣の強さも目立っていると思いますが、BKから見ていかがですか
土肥:やっていて本当に頼もしくて、きょねんと比べるとマイボールもキープできているので、BKとしてはやりやすいです。それが得点につながっているというのはすごい感じます。
辰野:FWのセットプレーが安定してくれるのは、ゲームを運ぶ上で展開がしやすいっていうのと、ワセダのペースに持っていきやすいっていうのがあるので、頼もしいです。
——Bチームの試合に出る選手は、チームとしてどうこうよりAチームへの気持ちが強いですか
土肥:そうですね。みんなAチームで試合に出るためにやっているので、練習中も良い意味でAチームとバチバチやりあえていて、雰囲気的にはいまは完全にライバルって感じですね。
——BチームとAチームが対戦するような練習があると伺いますが、その練習はいかがですか
辰野:BチームはAチームの同じポジションの人よりも良いプレーをしようっていう気持ちなので、激しいプレーもあったりして、やっぱAチームの方がブレイクダウンとかも強いので、そういうところで良い練習もできて、対外試合では余裕を持ってプレーできます。
——赤黒を着た感想を聞かせてください
辰野:僕は初めて着たのがオール早慶明(三大学ラグビー東日本大震災復興支援チャリティーマッチ)だったんですけど、こういうところでやらないと本当の面白さはないのかなと思って、リザーブで出た試合とかBチームの試合より気合も入るし、絶対にワセダとして勝たなきゃいけないっていう気持ちもあるので、ああいう高いレベルでもっとやりたいなっていうのはあります。
土肥:Aチームで出るためにワセダに入ってラグビーやってるので、Aチームで出れたのは嬉しかったんですけど、やっぱり代表として出るわけで責任があって、本当にここからが勝負だなって思いました。
——AチームとBチームでの違いはどういうところにあると思いますか
土肥:接点とかで一人一人が強いっていうのは感じましたね。外人の選手とかもいたりして、やっぱり接点がBチームでやってる時とは全然違うなって感じました。
辰野:相手に関してはコンタクトのスピードとか強さっていうのはすごい感じて、ワセダのAチームとBチームで何が違うかって言ったら、一人一人のプレーの精度とか、質が違うかなと思います。
——ことしに入ってお2人が力を入れてきたのはどういうところですか
辰野:僕はきょねんずっと下(のチーム)にいて、パスとかが安定していなかったので、この春は試合でミスをしないってことと、テンポ良くさばいてチームに良い流れを持ち込めるように心がけていました。
土肥:誰か他のプレーヤーが抜けたときの追い上げだったりとか、スワーブっていうのはこの春に意識していたので、まだ全然完璧ではないですけど、徐々に良くはなってきているのでこのまましっかり継続して、夏から秋につなげていきたいです。
——意識的な面できょねんと変わった部分はありますか
辰野:きょねんと比べてやっぱりチームとしてやることがはっきりしているので、その中で自分の良さみたいなものを出すために結構思い切ってプレーできているのはあると思います。
土肥:僕も同じような感じなんですけど、委縮しないというか、積極的にボールに絡みにいこうっていう意識がきょねんとは大分違って、そこでやっぱりトライも取れてきてるのかなっていうのは感じています。
——やるラグビーがはっきりしているというのは、具体的にどういったものですか
土肥:チームのセオリーみたいな。
辰野:こういう場合はこうやって攻めるみたいなことですね。なので、こういう場面になったらみんながこっちに行くかなみたいのがあるので、すごいやりやすいです。
土肥:こういう時にこうっていうのを決めて練習からやっているので、練習通りにやればっていう感じです。
——残った課題はありますか
辰野:個人として、AチームとBチームを行き来したのは自分のプレーに安定感がなかったからなので、安定感というのが課題です。
土肥:トライを取り切れない場面が何度かあったので、相手が強くなってくるとチャンスも少なくなるので、夏合宿ではトライを取り切るっていうことを意識して練習に励んで結果を出したいと思います。
——ラグビーを始めたキッカケを教えてください
辰野:長いんですけど簡単に言うと、中学までサッカーをしていて、高校でもサッカー部に入りたくて桐蔭(学園)に入ったんですけど、サッカー部に落ちまして、サッカー同好会とかにいたんですけど、父親がラグビーをやっていて、そういう話をしていたら、いま2年にいる眞柄(厚希、スポ2=神奈川・桐蔭学園)が同じクラスだったんですけど、眞柄に誘われて入ってみたって感じです。
土肥:僕も中学までサッカーをしていたんですけど、高校では新しいスポーツを何かやりたいなと思って、部活を何にするかハンドボールとかも色々と悩んだんですけど、結局ラグビー部の顧問の三井先生っていう方に誘っていただいて、ラグビーを始めました。
——始めてみたらラグビーにハマりましたか
辰野:はい!最初はすごい痛いし嫌だったんですけど、だんだん楽しくなってきて、サッカーとは違う面白さもあってハマりました。
土肥:サッカーはぶつかるとすぐにファールになって、僕結構体が強かったのですぐ取られちゃったりしてたんですけど、ラグビーはそういうこともないのでコンタクトとかすごい面白いなと思いました。
——ラグビーの魅力を教えてください
辰野:手が抜けないとこですかね。
土肥:体の大きい人だったり小さい人だったり、いろんな人が一緒にできるというか、お互いにできない部分を補い合いながら助け合っていくので、そういうところが良いスポーツだなって思います。
辰野:あと見た目以上に頭使うので、やっみて頭脳が必要なスポーツなんだなと思いました。
——ワセダを選んだ理由を教えてください
辰野:高校の時にいろんなポジションをやっていたんですけど、大学では絶対SHやるって決めていて、大学ラグビーを見ていてSHをやるならやっぱりワセダしかないなと思って、ワセダ以外ではラグビーやりたくないなと思ったので、ワセダにしました。
辰野:なんか、結構昔のワセダの試合とかも見ていたんですけど、えっぱりワセダのSHってどんなボールでもさばくし、ボールの近くにいて、常に試合を動かしいてるというイメージがあったので、他の大学とは違うなと思って。
土肥:僕がワセダを選んだキッカケは、豊田将万さん(元主将、平20スポ卒=現コカ・コーラウエスト)の代の(全国大学選手権の)決勝戦を見たときにすごいなと思ったのと、やっぱりワセダのラグビーはすごいボールを回して、見ていて面白いし、なんとなく自分はこのチームでやるんだろうなっていうのは試合見た時からずっと思ってて、受験するときもワセダに取り合えず入りたかったので、いろんな学部を受けてたまたま受かって入りました。
——土肥選手は一般入試ですか
土肥:はい、たまたま補欠で、ギリギリで。
——辰野選手は
辰野:指定校推薦です。
——辰野選手はSHをされていますが、SHというポジションの面白さを教えてください
辰野:一番ボールに触るので、試合を良くするのも悪くするのもSHにかかってるところはあると思うので、そういうところが面白いです。
——土肥選手はWTBですが、WTBの魅力はどんなところにありますか
土肥:やっぱりトライを取れたり、一番目立てたりというのが僕としては面白いし、相手を抜くことに特化したポジションだと思っているので、走り切ることが面白いなと思います。
——土肥選手はラグビーを始めたときからWTBですか
土肥:高校の時はFBとかWTBをやっていて、大学に入ってからはWTBです。
——辰野選手はSHの他にはどんなポジションをしていましたか
辰野:WTB、SO、FB・・・。CTB以外のBKを色々やっていました。高3になってからSHです。
——SHが一番面白いですか
辰野:そうですね。
土肥:WTBじゃないの?
辰野:いや、本当にSOとかやってる時もSHやりたいってずっと監督に言ってたから。
——土肥選手はWTBが一番ですか
土肥:そうですね、FBもFBで面白いと思うんですけど、僕はボールを持ったらあんまり離したくなくて1人でトライまで取り切りたいので、やっぱりWTBが一番楽しいです。
——他にやってみたいポジションはありますか。FWをやってみたいとか
辰野:もしも自分のコンタクトがもうちょい強いんだったらCTBとかフランカーとかやってみたいです。
土肥:僕はフッカーですね。スクラムはちょっと組んでみたいというか、FWの中心だと思うのでいいポジションだなと思います。
土肥:恥ずかしいなこれ。
辰野:恥ずかしいやつだね。じゃ俺から言うか。土肥はすごい体が強いので、取り切ってくれるのと、ボールキープ力があるので、SHの自分としてはポイントになってもボールが出るのが計算できるのでやりやすいです。
土肥:あんまりSHのことはわからないですけど、辰野はさばきが速いなと思います。あと、ディフェンスも結構しっかり裏を守ってくれるし、コミュニケーションを取ってくれるので、WTBとしては試合中に話せるのでやりやすいです。
辰野:どーも。やっぱ恥ずかしいですね。
——尊敬する人は誰ですか
辰野:僕はワセダ卒業の田原耕太郎さん(平15人卒=現サントリー)っていう、山下大悟さん(元主将、平15人卒=現NTTコミュニケーションズ)のSHの人です。すごいテンポが良いんですけど、僕が理想とするSH像みたいな感じで、流れるようなパスワークで、ああいうSHになりたいです。
土肥:僕は、中濱寛造さん(平23教卒=現神戸製鋼)っていう、僕が1年生の時に4年生だった人なんですけど、色々教えてもらって尊敬してます。11番で、トライを取り切ったりとか、1年生から試合に出ていて、その先輩に色々教えてもらったので、いまでも寛造さんの試合とかを見て研究したりしています。
——ライバルは誰ですか
辰野:一番かっこいいやつやん(笑)。SH全員ライバルだと思ってるんですけど、特に挙げるならやっぱりSH西橋さん(勇人、スポ4=神奈川・桐蔭学園)ですかね。
——西橋選手とご自身を比べて、ここは勝ってるんじゃないかなとかここは敵わないなとかはありますか
辰野:結構いろんな面で負けてるんですけど、まず試合中のチームの士気の上げ方とかは、西橋さんを見習う部分が多くて、あとディフェンスの積極性と、アタックではさばきが自分より1個上のレベルでやってるかなと。俺が勝ってる・・・部分は・・・パスとキックがギリ勝ってるかなぐらいです(笑)。
土肥:僕もWTBみんなですけど、挙げるとするとやっぱりWTB中鶴さん(隆彰、スポ4=福岡・西南学院)、(WTB原田)季郎さん(教4=福岡・筑紫)、WTB荻野(岳志、先理2=神奈川・柏陽)、・・・。みんなトライを取り切るっていうことをできるので、そういうところがみんなに比べて僕に足りない部分だと思います。自分が勝ってる部分は、まだあんまないですね。みんなすごいので、これから練習して作っていきたいです。
——これから夏の練習では何に力を入れていきたいですか
土肥:僕はさっきから課題に挙げている、トライを取り切るというところを重点的に強化したいなと思って、そのために試合に出て夏合宿で高めていって、秋の試合に繋げていきたいです。
辰野:いまワセダは速いラグビーを求められているので、それにはSHが速くて正確なさばきをしなければいけないので、まず夏合宿までに個人スキルを上げて、夏でしっかりチームにフィットできるように練習していきたいと思います。
——秋には関東大学ジュニア選手権も始まりますが、それについてはあまり意識していないですか
辰野:あんまり考えてないです。
土肥:Aチームに出ることだけを考えているのであまり意識はしてないです。
辰野:まあ出るからには優勝したいぐらいの気持ちです。
土肥:まあ一応公式戦なので負けられないっていうのはもちろんですけど、そこに出ることが目的じゃないので、特別に意識はしていないです。
——今後の目標を教えてください
辰野:夏にしっかり練習して、秋に自分がどういう形で赤黒を着るかっていうのをイメージしてこれから過ごして、最後は赤黒の9番を着て試合に出たいというのが目標です。
土肥:自分の挙げた課題を夏合宿で克服して、秋には結果を出してAチームに定着して、しっかり活躍して荒ぶるに貢献できるようにと思っています。
——ありがとうございました! (早稲田スポーツ新聞会 千歩まゆあ、田中絢)