先日の悪夢の敗戦から1週間も経たない中、岩手県北上市で釜石シーウェイブスRFC(釜石SW)と、被災地支援を兼ねて東北を訪れている早大・明大の3チームが三つ巴で練習試合を行なった。関東大学対抗戦開幕を直前に控えたこの時期に早大、明大が相まみえるのは異例中の異例であり、両校はシーズン目前の総仕上げとしてこの試合に臨んだ。早大は釜石SWに7-22で敗れるも、明大に33-7で勝利した。
40分ハーフ×3本の巴戦で行われたこの試合で早大はまず、ジャパンラグビートップイーストに属する釜石SWと対戦した。試合開始早々、今シーズン特に力を入れてきたスクラムでターンオーバーを見せるなど、体格の差をものともせず、上々の立ち上がりを見せる。試合が動いたのは6分。SH辰野新之介(文講3=神奈川・桐蔭学園)の華麗なバックフリップパスからプロップ垣永真之介(スポ3=東福岡)が抜け出し、最後はWTB荻野岳志(先理2=神奈川・柏陽)が中央にトライ。追加点を重ねたい早大であったが、10分に展開でふりきられ、追いつかれてしまう。そこから両者、一進一退の攻防が続く。迎えた33分。モールでゴールラインを迫られるも、FW陣が決死のディフェンスで耐える。その後相手が展開したところをCTB藤近紘二郎(政経3=神奈川・桐蔭学園)がインターセプトを試みるも、惜しくもボールを弾き、それを捕球した相手選手がそのままインゴールへ。これで均衡は破れ、その後立て続けに2本取られ、結果7-22で敗れた。
続くは、先日帝京大を破った明大と対決した。この試合も立ち上がりから攻め続け、開始1分、早大持ち味のスピード感あるアタックから、ロック近藤貴敬(社3=宮城・仙台育英)が抜け出し、ボールをもらったWTB山崎智朗(スポ4=東京・国学院久我山)がトライ。5分にはBKの展開で得点を重ねる。主導権を握ると、前に出る積極的なタックルでディフェンスラインを押しあげ、敵の攻撃の手を封じ、ミスを誘う。17分には相手のミスキックに対し、FB黒澤健(スポ4=東京・国学院久我山)がカウンターを仕掛け、ロングゲイン。フォローに付いた垣永がボールを受け、インゴールへ飛び込んだ。20分にも追加点をあげ、点差を広げる。しかし30分、安定していたスクラムが突如崩れターンオーバーをされると、技ありのキックパスでトライを奪われる。流れを取り戻したい早大は、33分にNO・8中野裕太(スポ4=福岡・東筑)がスクラムから持ち出して、相手ディフェンスラインを崩したのをきっかけに、フェーズを重ね、最後はSO小倉順平(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がトライ決める。終始ゲームを支配し、33-7で勝利した。
Aチームで臨んだ前半は社会人相手に、セットプレーをはじめ互角の戦いを演じたものの、要所でのミスも目立ち、自らチャンスを潰してしまった。プロップ上田竜太郎主将(スポ4=東福岡)も先日の帝京大戦での敗因のひとつに「自分たちのミス」を挙げている。帝京大をはじめとする強豪校との戦いでは、ひとつのミスが命取りともなりかねない。「練習でのミスをなくして、意識を変えてミスのないチームをつくりたい」(上田竜主将)とチームでも徹底的にミスの削減に取り組む構えだ。残された時間は少ないが、残された時間がある限り、理想のチーム像を追い求め、まい進する。
(早稲田スポーツ新聞会 坂田謙一)
◆コメント
プロップ上田竜太郎主将(スポ4=東福岡)
――先日の帝京大戦を振り返って
最初の入りは良くて、ずっと敵陣いたんですけど、自分たちの一つのミスから崩れてしまいました。前半のトライはどれも自分たちのミスが原因です。この試合に関してはミスが多かったかなと。
--敗因は自分たちのミスから多かったからだと
そうですね。自分たちのミスから悪い流れになって相手に崩された感じです。
--点差が開いた理由は何だと思われますか
そうですね…単純に帝京大が強かったです。
--FWに関しては互角の印象でした
スクラムのラインアウトもいい球出しができましたし、相手にもいいプレッシャーをかけることができました。その他の部分でミスが重なって、自滅したのかなと。
--修正点としては、どのようなことが挙げられますか
練習でやってきたことが試合に出るので、練習でのミスをなくして、意識変えてミスのないチームを作りたいです。
--その帝京大戦を踏まえて、きょうの試合はどのような気持ちで臨みましたか
釜石SWには強い外人がいて、帝京大と同じイメージで試合をしました。最初の20分間、Aチームで試合をしているときはいいゲームができました。
--今回のチャリティー活動についての感想を教えてください
被災地を回って、改めて自分たちが普通に生活して、普通にラグビーできることは幸せなんだと実感しました。
--これから始まる関東大学対抗戦への意気込みを教えてください
まず目の前の一試合一試合にこだわって、勝ちにこだわっていきたいと思います。
NO.8佐藤穣司(スポ1=山梨・日川)
――釜石SWとの対戦を振り返って
試合前のミーティングで話にあった、ダブルハンマーとかダブルタックルという部分があまりできていなくて、結構食い込まれる場面が多くて思うようにいかなかったところがあったと思います。そこを改善できたらもっといい試合ができたと思います。
――社会人選手との対戦でしたが、大学生と違う点はありましたか
自分は大学に入ってからの試合数もまだ少ないんですけど、その中でも大学生とは違ったコンタクトの強さであったり、スピードがあったので、いい経験になりましたね。
――合同練習で印象に残っていることはありますか
合同練習のときは力の差を見せつけられて、自分自身すごく悔しい思いをしました。
――明大との対戦についてはいかがでしたか
メイジ戦はダブルタックルができていたんですけど、そこから接点で越えきるという部分がまだできていなかったと思うので、そこを越えきれたらワセダのテンポでいけたのかなと思います。カウンターアタックに関してはよかったと思います。
――今後の抱負を教えてください
1年目なので、ひたむきにがんばっていって、レギュラーに定着できるように、これからも満足しないでがんばっていきたいと思います。
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