関東大学対抗戦の第2戦が行われた。早大は青学大と対戦。開幕戦で課題となったディフェンスには不安をのぞかれたが、13トライを奪い83-10と大勝を飾った。
早大は夏のオープン戦から失点が目立つようになり、開幕カードの日体大戦でも格下を相手に14失点を喫している。きょうの試合でもディフェンスの精度が最大のポイントとなった。早大は前半1分にWTB荻野岳志(先理2=神奈川・柏陽)のトライで5-0とさっそく先制したが、8分に青学大のラインアウトモールを止められず失点。いきなり同点に追い付かれてしまう。「得点が全て簡単に取られてしまった」(フッカー伊藤平一郎、スポ4=大分舞鶴)。前半は50得点を挙げアタックが好調だっただけに、モールで粘れなかった唯一の失点が悔やまれた。
後半は接近していた台風の影響で、断続的に強風と大雨がグラウンドを襲う。風下に立つ早大はなかなか攻撃のリズムをつかめなかった。防戦一方の時間がしばらく続いたが、8分に途中出場のFB原田季郎(教4=福岡・筑紫)が強いフィジカルを生かしたビッグゲインで流れを変え、荻野のこの試合4つ目のトライを演出。さらに2つのトライが続きリードを広げていく。しかし25分、それまで粘っていたディフェンスが再びラインアウトを起点に突破され、青学大に2トライ目を献上。前半と似た形で再び失点してしまった。
いずれもラインアウトモールを起点に取られたトライについて、プロップ上田竜太郎主将(スポ4=東福岡)は「1人目のディフェンスが弱い」と原因を分析した。一方で明るい材料もある。この試合でSH西橋勇人(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がスタメンに、CTB布巻峻介(スポ2=東福岡)、原田といった主力選手が戦列に復帰。布巻はさっそく持ち前のタテの強さを発揮した。また対抗戦デビューから日が浅い荻野も、2試合で7トライと波に乗っている。タレントが徐々にそろっており、チームの新陳代謝をさらに活性化しそうだ。
次の対戦相手は昨年の対抗戦で完敗した筑波大。今季も好調の筑波大に対してはタフな試合が予想される。早大は自慢のBK陣を生かしたい。BK戦に持ち込めるかどうかがカギになりそうだ。
(早稲田スポーツ新聞会 辻安洋)
◆コメント
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)
――試合を振り返って
きょうは開幕から2試合目ということで、春から夏にかけて仕上げてきた部分の精度を高めて、今までやってきたことを現実に、ゲームの中で出していこうというプランのもとに臨みました。前半のアタック面はなかなか良いトライを決めていたのですけれども、後半は台風の方がひどくなってきて、風も強くなってなおかつ風下ということで、多少のミスは良いからボールをしっかり継続していこう、という指示を出したのですが、まだまだやや弱気な部分が多かったというか、もう少し冒険してくれてもという部分も見受けられ、やや点数も伸び悩んだのかもしれないというところです。
――失点について
後半のトライは下で見ていたので良く分からなかったのですけれども、前半のトライは緩いとしか言いようがないです。これから強い相手に臨んでいく中で、試合の序盤からああいう失点をしてしまうこと自体、大いに反省とするところです。
プロップ上田竜太郎(スポ4=東福岡)
――きょうの試合を振り返って
自信を持っているFWの部分で崩されて2トライを奪われているので、これから修正していきたいですね。
――日体大戦に続きラインアウトモールで崩されてトライを奪われています。原因は
1人目のディフェンスの入りがまだまだですね。チーム全体で統一されていないのもありますし、1人目のディフェンスが弱いですね。
――これで関東大学対抗戦開幕2連勝。現在のチームの雰囲気はいかがですか
(夏季オープン戦の)帝京大に敗戦したことで、チーム力が落ちてしまった印象があります。でもチームの雰囲気は悪くないですし、最近の練習もミスなくできているので、これから一気に上がっていくと思います。
――夏以降ケガ人が増えて、メンバーの入れ替わりが激しいが
これからタイトなゲームが続くということで、練習も激しくやっているのでそれは仕方がないですね。今は誰がAチームに出てもそん色ないプレーができるので、心配はしていないです。
――悪天候での試合でしたが、ゲームプランに影響はありましたか
前半はしっかり風上を取って、前半で取れるだけ点を取っておこうと。後半は天候が悪かったのもありますし、風下だったので点数が伸び悩みましたね。
――次は筑波大戦です。ことしの筑波大の印象は
(夏季オープン戦で)メイジに大勝してますし、手強いと思います。ディフェンスのセット早いので、セットプレーでしっかり崩していきたいですね。
――最後に次の試合に向けての意気込みをお願いします
今はBKがとても調子がいいので、そのBKを活かせるようにFWはしっかりボール出して、BK勝負に持ち込みたいです。
ロック近藤貴敬(社3=宮城・仙台育英)
――試合を振り返って
ワセダがテンポ良くプレーをできていた場面も多かったのですが、相手に粘られる場面もありました。ディフェンスでしっかり0点に抑えていかないといけないというのは課題です。
――試合の入りについて
集中力をもっとしっかり高めていかないと、きょうの様に失点してしまうと思います。
――モールやセットプレーの出来はいかがでしたか
モールディフェンスに関しては、個々の入りの強さや、モールがどっちに回っていくかというのをしっかり判断するのが重要だと思います。個人的には、ディフェンスがもっと早く戻って、接点でいち早くサポートしていかないといけないと思いました。
――青学大はブレイクダウンを意識していたようですが
2人目の寄りなどが早くて、どんどんジャッカルも狙ってきましたし、ブレイクダウンで手を抜けないというのは感じていました。
No・8古賀壮一郎(教3=福岡・筑紫)
――きょうの試合を終えて
相手のファーストトライに関しては多分自分のせいなので、そこを引きずってしまったっていうのはありますね…。
――今回のスコアに関してはどのように評価していますか
得点はいいとして、やっぱり失点に目が行ってしまいますね。
――その失点から見つかった課題というのは
モールディフェンスで、自分が相手と戦わなきゃいけない場面で負けてしまいました。もう一度ビデオを見ながら振り返りたいと思います。
――トライも決められましたが、攻撃面でのご自身のプレーに関しては
もうちょっとできたなと…。もっとやれたなという気持ちが大きいです。
――No・8はスタメン争いが激しいポジションですが、そこに関しては
そうですね。チャンスもだんだん限られてきますし、練習中からでも攻めていかないとスタメンは獲れないポジションだと思います。ここから一歩一歩、もう一回やり直すつもりで頑張っていきたいです。
――次は昨季敗れた筑波大との試合となりますが
もっとアタックもディフェンスも、人に対して強くならないと通用しないんじゃないかと感じてます。
――次戦に向けて意気込みを
筑波大は個々の強いチームなので、そんなチームに対しても個々で勝てるようなNO・8として、その試合に出場したいなと思います。
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