大学ラグビー界の頂点を決める全国大学選手権のセカンドステージが開幕した。初戦の相手は関西王者である天理大。昨年度の大学選手権準優勝校でもある同校との対戦は、厳しい試合が予想された。しかし結果は早大が46-14で天理大を大差で下した。計7トライを挙げた早大はボーナスポイントも獲得し、『荒ぶる』へ向け幸先の良いスタートを切った。
セカンドステージ突破のためには、絶対に負けられない1戦。早大のキックオフで前半の幕は上がった。負けられない。その思いからか選手に少し硬さが見られ、立ち上がりはミスが目立った。13分にSO小倉順平がPGを決め先制するものの、早大両WTBへの警戒が強く、なかなか突破口が見いだせない。天理大もボールが手につかない場面が多く、お互いいま一つ敵陣へ攻め込めない時間帯が続いた。その均衡を破ったのは早大。21分、パスフェイントからSH西橋勇人(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が抜け出しトライを決めた。このトライで流れが早大に傾くと、ディフェンスも機能。自陣に天理大を攻め入らせない。ペナルティの減少も相まって、その後も立て続けにモールトライを含む2トライが決まり、ゲームは一気に早大ムードに。1トライを追加した前半終了間際、ターンオーバーからタックルを弾かれて天理大にトライを許すも、スコアは29-7。十分に点差を付けて、ハーフタイムに突入した。
後半開始4分、小倉が道を切り開くと筑波大戦以来のAチーム出場となったフランカー小谷田祐紀(文構2=東京・早実)がトライ。課題であった立ち上がりが修正されつつあることを感じさせた。しかし相手は関西王者。そう簡単には進まない。前半はパスを回すことが中心だった天理大が、後半は個々の力でタテに突破を図り始める。天理大に攻め込まれ始めると当たり負けからついに10分、天理大にトライを許してしまう。ここで後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)が采配を振るった。SO間島陸(商3=東京・早大学院)を投入し、小倉をCTBへ。早明戦同様、ボールをより動かせる布陣へと変化させる。再びモールトライで追加点を挙げ、38分。スクラムから回し、WTB原田季郎(教4=福岡・筑紫)がダメ押しのトライ。ノーサイドのホーンが鳴り響き、最終スコア46-14という大差での勝利を決めた。
目標としていた4トライ以上での勝利。「自分たちがラストで負けるということをトラウマにしないで、負けたという経験を活かして逆にそういう時間帯になったときに良い形で気持ちを持っていけるように」(CTB森田慶良、教4=大阪・常翔啓光学園)。リードしているところから勝ちきる、その形もでき、確実にチーム力は上向きだ。次は勝ち点で早大を上回っている流経大との対戦となる。早大の集大成。年明け、満員の観客の前で迎えるために――。負けられない戦いは、まだ始まったばかりだ。
(早稲田スポーツ新聞会 北田ゆず)
SH西橋勇人副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
――きょうの試合を振り返って
気の緩みとかが若干見えたと思います。そういった部分はワセダの弱みなので、もっと集中というのは言い続けなきゃいけないかなと。
――後半攻め込まれた場面もありましたが
自分たちは3トライ以上取られるとまずいっていうのもあって、そういう部分では選手一人ひとりが意識したディフェンスしていたんじゃないかなと思います。
――きょうは西橋選手も積極的なゲインが見られました
まぁ、もう少しかなと。
――次の流通経大にはまだ勝ち点で負けていますが
残りも全部勝って優勝したいと思います。
フッカー須藤拓輝(スポ3=東京・国学院久我山)
――天理大へのイメージは
強力なCTB陣がいるところなんで、まずそこでゲインされないように意識して試合に臨みました。
――他にチームとして意識したことはありましたか
FWで圧倒するということですね。
――対戦してみてどうでしたか
想像通りの試合運びをしてくるなという感じでした。
――早明戦からの修正点は
最初の20分と最後の20分のゲームメイクとそこの試合運びですね。
――流経大の印象を
1度やっているのですが、FWが強くて外国人がフランカーとWTBにいるという個々も強くてまとまっているチームだと思うので気を引き締めてやっていきたいと思います。
――次戦への抱負を
もう勝つことだけなんで、もう結果がすべてなので頑張ります。
近藤貴敬(社3=宮城・仙台育英)
――きょうの試合を振り返って
前半の入りの20分と、後半の最初と最後の10分、相手に前に出させないようにしっかりディフェンスしようということだったんですけど、相手の圧力が強くてはじかれたりする場面も多かったので、修正していかないと、帝京大とか東海大のような大きな相手には通用しなくなってしまうので、修正したいです
――全国大学選手権初戦ということでのチームの意識は
もう絶対に負けられない試合が続くので、相手がどこであれ、気合いをいれていきます
――スコアでは一度もリードを許しませんでした
天理大は前に出させると強いので、スコアは離れていても、常に0対0の気持ちでやりました
――スクラムが安定していたように思えますが手ごたえはありますか
とりあえずFWで勝負ということだったので、セットプレーを安定させなくてはという気持ちでした
――次戦は流経大との大一番です
決勝トーナメントに行くためには絶対に落とせない試合となるので、きょうのようにボーナスポイントも奪って勝てるように頑張りたいです
CTB森田慶良(教4=大阪・常翔啓光学園)
――試合を振り返って
強い外国人選手を、同じCTBの僕たちがしっかり止めるっていうことを、ディフェンスの面だけ意識したんですけど、簡単にやられた場面があったのが反省点で、そのミスをしているとやっぱり帝京大さんとかメイジさんとか強い相手には勝てないなと思います。
――きょう負けると後がかなり厳しくなるという状況でしたが、どのような気持ちで試合に臨みましたか
相手を軽く見ていたわけではないですけど、自分たちの力を100パーセント出せれば負けることはないなと思っていたので、いつも通りのプレーをしようという気持ちで臨みました。
――特に前半は敵陣でのプレーが多かったですが、ディフェンスが良かったということでしょうか
自分たちは100パーセントのプレーをしようということで、良かったディフェンスのシーンもありました。積極的に自分たちが想定していた通り、タックルにいけたときもありました。それは良かったんですけど、ひとつのミスが決勝では負けにつながると思うので、意識していきたいです。
――関東大学対抗戦では後半が課題となっていたと思いますが、その後半に向けて意識したことはありますか
監督とかからも良く言われるんですけど、自分たちがラストで負けるということをトラウマにしないで、負けたという経験を活かして逆にそういう時間帯になったときに良い形で気持ちを持っていけるようにしたいなということを、チームで話しました。
――天理大の印象はいかがでしたか
一人一人が強いし、今季あまり経験がなかったノーキックラグビーをやってきました。
――来週の流経大戦への意気込みをお願いします
負けたら後がないので、相手がどこであろうと自分たちの力を出し切るだけです。
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