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2024
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対帝京大 『ワセダ終焉、赤いカベに沈む 』


 
 音もなく、しかしはっきりと終焉が近づいてくる。試合終了を告げるホーンが国立に鳴りひびき、決死の思いで相手インゴール前まで運んだボールは手から滑り落ちた。「点差が全て」(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)という言葉どおりの完敗。今季3度目の対決となった帝京大との決戦は10-38という大差でノーサイドを迎える。全国大学選手権4連覇のかかる王者の牙城を崩すために春からチームを作り上げた早大だったが、最後までリベンジできず、1年の幕を閉じることとなった。

 前半は一進一退の攻防となった。シーズン終盤にはケガが相次いだ主力が一様に顔をそろえた早大は高速タックルとハイパントで流れを組み立てる。8分には相手の反則を誘い、SO小倉順平(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がペナルティゴールで幸先よく先制。14分にはラインアウトモールからフッカー須藤拓輝(スポ3=東京・国学院久我山)がトライ。相手のミスを見逃さず得点につなげたが、スクラムの反則から押し込まれる時間が徐々に長くなっていく。30分、大型FWの波状攻撃からついにトライを許して10-7。辛くも耐え続け、リードして前半を終えた。
 しかし後半開始早々にギャップをつかれて逆転を許すと、早大の歯車が狂い始める。ギアをあげた帝京大の攻撃にたまらずペナルティを連発、じりじりと後退していく。印象的だったのは14分、相手陣地深くまで攻め込んだ早大だったが、ターンオーバーからボールを奪われるとキック一閃。ボールはFB原田季郎(教4=福岡・筑紫)の頭上を越えて、一気に早大ゴール前まで戻されてしまった。ここで負けるわけにはいかないと、必死のワセダコールが響くが、帝京大の凄まじい攻撃の奔流はそれさえも飲みこむ。16分にラインアウトモールからトライを取られると、23分にはパスミスからトライを献上。27分にルーズボールからダメ押しのトライを決められるとスコアは10-38。その後は執念のディフェンスでトライを許さず、猛然とアタックをしかけたが無得点。選手が捨て身になればなるほど、赤いカベは更に高く頑強に攻撃を跳ね返し続けた。
 自分たちの思うラグビーができなかった無力感が募る。風上だった前半でのロースコア。セットプレー、ブレイクダウンでのペナルティ。完敗した原因はいくらでも挙げられるかもしれないが、完敗した事実は変えようがない。やりきれない悔しさを抱えたまま、早大ラグビー蹴球部員は来シーズンまでを過ごすことになる。「この気持ちを忘れずに頑張りたい」(小倉)。それは4年生でも下級生でも変わらない。4年生は新たなステージで。下級生は雪辱を果たすために。それぞれの思いを胸に、それぞれの1年は静かに終わりを告げた。
(早稲田スポーツ新聞会 辻耕平)

<コメント>
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)
――本日の試合の感想をお願いします

どれだけペナルティをしないでディフェンスができるかというところが重要でしたが、相手のFWの連続攻撃に対して中盤でペナルティをしてしまいゴール前まで来られてしまったところ、そしてスクラムでプレッシャーを受けたところをきっかけとして失点してしまいました。その時間帯が長かったことが敗因ですね。前半の風上の時点で得点を重ねて後半に臨まなければいけないところを後手に回ってしまった。そこが自分たちのミスだったと思います。
――前半の苦しい折り返しでしたが、ハーフタイムでの作戦をお願いします
基本的にはスクラム、ペナルティを修正して後半に臨もうということと、逆に後半は風下になるということで有効なキックオプションが使えなくなるということでこちらは外にふって勝負しようという指示をしました。
――スクラムに関してはどのような感想をもたれましたか
当然こちらもスクラム勝負という気持ちで臨みましたが、帝京大も同じ考えでいたと思います。その準備が上回っていたということ、その点で間合いなどを修正して後半はスクラムを組めていたと思います。
――BKのタックルが不調だったように見受けられました
前半に関してはBKに展開してくるというよりFWでサイドを攻めてきたのでBKのタックルが少なくなってしまったというのはあったと思います。後半にミスが目立ったのも点差が開いて無理攻めをせざるを得なくなってしまったという見方はできるにせよ、ミスをしてしまったことも事実ですので来季に向けて修正しなければならないと思います。
――帝京大を意識してやってきた1年間の結果をどのように捉えていらっしゃいますか
点差が全てだと思っています。最後の最後、これだけの点差をつけられるということはまだまだ遠い背中を追いかける必要があるということではないでしょうか。

プロップ上田竜太郎主将(スポ4=東福岡)
――いまの率直なお気持ちを教えてください

本当に悔しいの一言です。出れなかった4年生に申し訳ないです。
――ノーサイドの瞬間は何を思いましたか
これで終わりなのかなと。何も考えられなかったです。
――敗因はどこにあったと思いますか
セットプレーとブレイクダウンですね。前半悪かったところを後半修正できなかったです。(関東大学)対抗戦とは(帝京大が)一味違って、対応できなかったことが敗因かなと。
――改めて帝京大の強さはどこにあると思いますか
チームとして本当によくまとまっていて、本当にいいチームだなと思いました。
――具体的に早大と帝京大の差はどこにあると思いますか
最後の最後に照準合わせてやってきたんですけど、この点差なんで…。後藤さん(禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)も言ってたんですけど、遠い背中、簡単には勝てない相手ですね。
――試合後、後藤監督に言われたことは
「決勝まで連れてあげられなくて本当にすまん。全部俺のせい。4年生本当にすまんな」と言われました。
――主将を務めたこの1年間を振り返って
まだまだ力不足です。主将としてキャプテンとして。本当に力不足でした。この1年間、こんなにも人のこと、ラグビーのことを深く考えたことはなかったです。自分としては成長できた1年間でした。
――この4年間を振り返って
4年間大学日本一になれなかったんですけど、本当にワセダのラグビーができてよかったなと。
――後輩の方々に伝えたいことは
主軸は残るので、来年以降は日本一目指してリベンジして欲しいです。
――ラグビーを続ける上田選手の今後の目標を教えてください
社会人1年目からレギュラーを取ること、社会人では日本一になれるように頑張っていきます。

SH西橋勇人副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
――いまの率直な気持ちを教えてください

悔しいです。
――試合をする前と始まってからの帝京大のイメージに違いはありましたか
ワセダも帝京大も両校ともに準備してきたと思うんですけど、その準備した部分がワセダはあまり出せなかったです。そういう部分で、帝京大のすごさを前半の半ばくらいから僕自身感じていました。
――強風の中、先制はしましたが
前半風上でやっていこうというのはできたと思うんですけど、後半どこかで受けちゃったんだろうなと思います。
――アタックが止められる場面が目立ちました
1つ1つのブレイクダウンにかける人数であったり、帝京大のボールに対しての働きかけが強かったなと思います。ワセダらしいテンポも出せなかったし、ブレイクダウンで人数をかけすぎたので、後ろから走ってくる人数が少なくなっていたんじゃないかと。
――これで学生最後の試合となりましたが
4年間あっという間だなって。いまになってわかることですね。悔いがないと言ったら嘘ですけど、出しきった4年間だったかなと。
――チームメイトに向けては
同期にはごめんと言ったんですけど、それで許されるものではないと思うので今後何かしらで返していければ。後輩には自分たちみたいにはならないでほしいと思います。あんまりきょうは話さずに見て感じたことをそのまま持ってくれればいいかなと思います。
――今後も選手生活は続きますが
筑波大や帝京大の選手ともチームメイトになるので、僕らの代が中心になって、次は日本一に必ずなりたいと思います。

プロップ垣永真之介(スポ3=東福岡)
――完敗という言葉が一番ふさわしい試合になりました。この試合をどのように受け止めていますか

(この結果を)真摯に受け止めて、後でゆっくり考えます。
――この試合どのような気持ちで臨みましたか
すべてを懸けて臨みました。
――前半の度重なるコラプシングの反則は、何が原因でしたか
相手の思うように(スクラムを)組まれた結果です。
――前半10-7で折り返しましたが、これはプラン通りでしたか
風上だったので、もっと取っておきたかったです。
――負けが分かった瞬間はどのような心境でしたか
(負けたという)実感はなかったですね 。
――4年生はこれで引退ですが、4年生に対して何かありますか
申し訳ない気持ちでいっぱいです。でも終わったことなんで、次を見据えてしっかり前を向いていきたいと思います。
――このような結果を受けてファンの方からも厳しい声が浴びせられると思います。来季はどのように立て直していきますか
応援していただいた方には申し訳ない気持ちでいっぱいです。来季のことは、またゆっくり考えます。
――来季は主将としてチームを引っ張っていくおつもりですか
このことも後でゆっくり考えます。

SO小倉順平(スポ2=神奈川・桐蔭学園)
――帝京大の前に惨敗でした

はい。全然ダメでした。
――相手が予想の上を来たということでしょうか
前半風上であの点差だったので、後半ミスとペナルティしたら負けるなという感じで。ミスがすごくかさんでしまい、結果ああいう形になってしまいました。
――やはり前半で点差をつけられなかったのが響きましたか
そうですね。前半風上の時に点差を離さなければいけなかったです。
――そして後半では一気に崩れてしまいました。その理由は
何でですかね。わからないです。
――自分たちのプレーは全くさせてもらえなかったですか
全部出し切ったとは言えないですかね。
――これでシーズンが終わってしまったわけですが、感想は
4年生に悔いが残ったなら最悪だなという気持ちです。
――SH西橋勇人選手(スポ4=神奈川・桐蔭学園)と組むHB団もこれが最後となりましたが、そこに関して思うことは
終わってしまったので、ここから違う道で頑張りましょうという感じです。
――秋以降は苦しいシーズンとなりましたが、何が早大に不足していると思いますか
疲れてきた時に妥協する心が出るというか。頭下げてはいけないところで行けるだろみたいな部分が少しあったと思います。
――来年度からどのような気持ちでいきたいというのはありますか
負けたくないというのはみんなあるので、この気持ちを忘れずに頑張りたいと思います。

FB原田季郎(教4=福岡・筑紫)
――きょうを振り返って

帝京大にすごいいいラグビーをされて、相手のラグビーの展開に合わしちゃったかなというのが素直な感想ですね。
――きょうのゲームプランは
そうですね、風上っていうのもあったので、前半しっかり攻めて、しっかり点差を離した上で、後半しっかり粘るというか、いいラグビーをしようということでした。
――風上の前半はリードして終えたが
素直にもっと点を取れたかなと。やっぱり自分たちのミスから相手のテンポでラグビーをさせてしまって。もっとミスを少なくできればもっと自分たちのラグビーができたのかなと思います。
――対して風下の後半は0―31という内容でしたが
やっぱり1対1の強さってところでまだまだやれてなかったかなと。あと自分たちのペナルティーで自陣に食い込まれてしまってトライを取られる場面が多かったので、ペナルティーで自滅しちゃったかなと思いました。
――帝京大の強さはどこにあると感じたか
一人一人のコミュニケーションであったり、特にアタックするとき、ディフェンスするときのコミュニケーションがすごく取れていて、チームとして仕上がっているというのを感じました。チーム力という点で大学界でもトップクラスだと思いました。
――シーズンを通して自分をどこまで仕上げることができたか
早慶戦、早明戦、(全国)大学選手権の入りの試合と自分の中で納得できないところがあって、最後の3試合に関しては自分の中では合格点とは言えないまでも、ある程度前の時期に比べると納得できる部分は増えたのかなと思ってます。
――正直に悔いはあるか
高校のときから後輩には言ってたんですが、負ければ悔いが残ります。でも勝負中の判断を絶対に間違えないようにするっていうのは無理だと思うので、そういう一瞬一瞬であのときこうすれば良かったなとかはありますが、いままでやってきた4年間に関しては悔いはなかったと思ってます。
――最後にことしを振り返って
最上級生になって分かったのが、いろんな人に支えられてラグビーやってきたんだなということです。だからこそ結果は残さないといけないと感じていました。まあ納得できていない部分というか、シーズン中にも一回失速したところがあって、支えてくれた人に対してどれだけのものを返せたか分かんないですが、支えてくれた人に改めて感謝しないといけないなと感じたシーズンでした。

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