異国の地・韓国にて、高麗大との定期戦が行われた。国際交流を目的としたこの定期戦は今回で9戦目と着実に歴史を刻んでいる。試合は、国際マッチということもあり、審判の慣れないジャッジに手こずったものの、早大が少しずつ対応力を見せ31―24で勝利を収めた。しかし、後半には高麗大に走り負け猛攻を許すなど、目前に迫る明大戦、帝京大戦を前に課題の残る一戦となった。
前半は、BK攻撃を中心に敵陣へ攻め入り複数のトライチャンスを演出。ゴール前でのペナルティーやミスでそれらの好機を逸してしまうが、早大ペースで試合を展開していく。そんな中、ゲームの均衡は19分、早大のキックチャージを起点に破れた。ボールは敵陣に転がり、最後はSO小倉順平(スポ3=神奈川・桐蔭学園)へつないでそのままトライ。待望の先制点が早大に転がり込む。前半終盤には、相手のミスキックにつけ込み、またも小倉が相手ディフェンスをぶち抜いてインゴール右隅へ。高麗大BKの力強いタテ攻撃に手を焼く場面もあったが、結果的に高麗大をシャットアウトし12-0で前半を終える。
迎えた後半。開始早々、ラインアウトモールで大きく前進し、そこから抜け出したフランカー金正奎(教4=大阪・常翔啓光学園)が独走。幸先良く追加点を挙げる。相手BKに大外を走られ初失点を喫するも、17分。クイックリスタートからディフェンスを左右に揺さぶり、CTB坪郷勇輝(商4=東京・早実)がトライ。21分には、敵陣5メートルからラインアウトモールを押し込んでスコアを31-5とし、ダメ押しかと思われた。ところが終盤、早大の足が止まり始めると状況は一変する。サインプレーからのブレイクやキックカウンターなどで次々に防御網を突破され、まさかの3連続失点。後半の後半から早大の見せ場はほとんどなく、後味の悪いままノーサイドとなった。
「後半の後半に走り負けてしまった」(金)。「後半、走り負けたのが課題」(小倉)。試合後、選手たちは口々にフィットネス面を反省点として挙げた。今春の集大成となる二連戦で勝ち切るためにも、体力、集中力を80分間継続させることは必要不可欠だ。また、ボールキャリアーに対して飛び込んでしまうことも多く、1対1でのタックル精度もこれまで以上のものが要求される。個々人の調子は上々なだけに、チームでどこまで意識統一を図れるかが連勝へのカギとなりそうだ。
(早稲田スポーツ新聞会 北川翔一)
コメント
後藤禎和(平2社卒=東京・日比谷)
――試合全体の振り返りをお願いします
例年高麗大にFWに体の大きい選手がいて、BKも背が高くて足が速い選手が要所にいるというのが特徴としてあって、その中で相手のFWのタテであったり、BKの強くて速い選手を受け止めてコンタクト負けしないで、1対1で責任を持って止めて、そこに素早く群がって押し返したりターンオーバーまで持っていくシーンが見たかったんですけど、前半や後半の途中までは比較的イメージに近いことが出来ていたので、そういった部分は評価しています。
――高麗大のキーマンへの対策は話されましたか
事前に対策を練ることも出来ないですし、昨年も15番はいたのでキーマンだとは思っていたんですけど、前半で特にスケールの大きさを感じさせてくれたので、後半は1人で止めに行くのではなくて、2人でマークしていくということを話しましたが、メンバーが変わってからは対応出来なかったですね。
――海外遠征ということで注意した点はありますか
国際交流ということで試合をやるだけじゃなくて、試合が終わったらしっかり相手の学生と交流して、これからの社会では国際化が進んで行くし、進めて行かないと日本は生き残れないと個人的に思っていて、そういったところで仲間だけで固まるのではなくて、立派な社会人になる足掛かりにしていってもらいたいです。
――深津健吾(スポ3=東京・国学院久我山)選手をWTBで起用した理由を教えてください
今のチームの課題は、大外にボールを持っていったときに抜けきれればいいんですけどそういうシーンが少なくて、むしろ抜けきれなくてボールをロスしてしまうことが多くて、抜けきれなくても強いコンタクトをして2、3歩引きずり、倒されてもボールをしっかりリサイクル出来るという部分を期待しました。
――後半追い上げられたシーンについての評価をお願いします
交代して入った選手は勝負するという気概を持って、時間が短いなかでミスをしたら自分の評価が80分出ることよりも特にインパクトが下がるということを肝に命じて欲しいです。
――収穫やよかったプレーヤーを教えてください
小倉順平(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がSOに戻って3試合目ですごく冷静にコントロール出来ていたのと、後半に入ったSO間島陸(商4=東京・早大学院)もこの試合に関しては遜色ないくらいにコントロールが出来ていたので良かったと思います。
――来週の明大戦への意気込みをお願いします
早明戦は1年生試合もあるので、どのカテゴリーでも悔いの無いように、お互い調子が上がらない中ですけども、その後に帝京大との試合もあるので、夏以降にチーム力を上げていくためのきっかけになるような試合をしたいと思います。
プロップ垣永真之介主将(スポ4=東福岡)
――試合を振り返って感想をお願いします
この試合に関しては、勝ったことしか評価できないですね。まあ勝てて良かったです。
――戦ってみた高麗大の印象はいかがでしたか
でかくて、インパクトプレーヤーが素晴らしかったです。早大を倒そうという気迫も感じました。
――審判とのコミュニケーションに手こずった印象でした
そういう審判もいるので、引きずることなく、試合中に修正しなければなりません。そういう意味で、試合中に修正できなかったのは今後の課題です。
――後半に防戦一方になり、失点を重ねたことに関して、どう思っていますか
選手が変わったのもありますが、あれだけ重ねて失点されるのはいけないことなので、今後の課題として修正していきます。
――先週参加したサントリーへの武者修行はいかがでしたか
練習は楽しかったです。日本一になるべくしてなっているチームなので、考え方はすごく参考になりました。
――来週の明大戦に向けて意気込みをお願いします
伝統の早明戦ですので、勝ちにこだわっていい試合をしたいと思います。
フランカー金正奎副将(教4=大阪・常翔啓光学園)
――試合を総括して一言お願いします
前半は良い入りで行けたのですが、後半の後半に走り負けてしまったのが顕著に現れたのでそういうところが反省点になると思います。
――走り負けてしまった要因を教えてください
遠征疲れは関係ないと思います。チームの意識が悪かったのと、きつくなってくると皆飛び込んでタックルに行く癖があるので、そういったところを改善しなければいけないと思います。
――審判が日本人ではなく、やりづらさがあったと思いますがいかがでしたか
まあでもアウェイってこんなもんだなと。もちろんそういったフラストレーションもあったのですが、修正できなかったのは自分たちの反省でもあるので。もっと早く修正できていればなと思います。
――前半はシャットアウト、後半は24失点。失速した要因は何ですか
走り負け以外には一人一人のタックルでしょうね。飛び込んでタックルしているから、ゲインされて強いプレーをさせてしまっているので、チームとしての課題になると思います。
―― 一方金選手は2トライを挙げました。調子はいかがですか
まあ上々だと思います。これからもっと上げていきたいですね。
――来週は明大戦、再来週には帝京大戦を迎えます。意気込みを教えてください
やってきたことしかできないので。これまで取り組んできたことをしっかり見直して試合に臨みたいと思います。
CTB坪郷勇輝(商4=東京・早実)
――今年初の赤黒となりましたが、試合を振り返っていかがでしたか
前半と後半の最初は相手の出方に結構しっかり耐えてしのぎ切ったんですけど、後半の最後の方にタックルミスとかが目立ってきたので、後半の最後で連続で取られたところが反省点ですね。
――前半の立ち上がりは改善されてきましたが、どのように練習してきましたか
練習のときから入りを意識して、100パーセントでプレーできるように準備しようと心掛けていました。
――後半の最後、相手に走られてしまう展開が目立ちましたが、原因は何だとお考えですか
前半で点差がついていたので、気持ちがゆるんだところがあったかなという印象ですね。
――審判とのコミュニケーションが難しそうな印象を受けましたが、いかがでしたか
レフリーとの兼ね合いというのは試合前から多分不利になると言われていて、ある程度想定してやっていたので、レフリーとのコミュニケーションについてはしょうがないかなって感じですね。
――どのようなゲームプランを考えていましたか
相手が強いので、最初に耐えて、あとで相手が疲れてきたらそこで仕掛けて仕掛けて突き放していこうというゲームプランでした。
――赤黒定着に向け、どのようなプレーを心掛けていきたいですか
自分はタテにタテに強くいくところが他のCTBの選手より自信があるところなので、そこを伸ばして赤黒に絡めたらなと思います。
――次週の明大戦に向け、意気込みをお願いします
チーム全体で今日のように後半でどんどん追い込まれるということがないように、最初から最後まで気持ちも引き締めて、最後の最後まで自分たちの良いプレーができるようにっていうのを練習からしっかりやっていきたいと思います。
WTB深津健吾(スポ3=東京・国学院久我山)
――試合の感想をお願いします
初めてWTBをやったんですけど、ディフェンスの仕方やコミュニケーションの部分も全然ダメだったし、チャンスフェーズで取り切れなかったのがこれからの課題だと思います。
――WTBへのポジション変更は監督の指示ですか
はい、チームの方針で。
――高校までもずっとFWでしたか
はい、6番や8番でした。
――前半は相手を0点に抑えました
前半の序盤では強い相手の縦のプレーなどに対して真っ向勝負しようということだったので、受けていなかったのが良かったんだと思います。
――それに対して後半は攻め込まれましたが、体力面に課題があるということでしょうかいや、それは多分チームの意識や全体的な雰囲気などに、前半より劣っている部分があったと思うので、そのせいだと思います。
――明大戦と帝京大戦に向けて、課題と意気込みをお願いします
チーム全体として雰囲気をもっと上げていかなければならないというのが一つと、疲れてくるとどうしても飛び込むタックルが多くなってくるので、ディフェンスの時にしっかりと踏み込むタックルをして相手を止められるようにすることだと思います。