第9回主務部屋
「東京都外務長 宮島 昭夫氏講演会 ~奥 克彦先輩・日本スポーツのこれから~」
こんにちは。
主務の近田です。
東京・上井草は例年以上の暑さに見舞われ、選手から汗が止まることがありません。
梅雨に入り暑さも少し落ち着きましたが、まだまだ暑い日が続きます。ですが、我々ラグビー部員は、暑さに負けず、上井草での一日一日を大事にしていきたいと思います。
第9回の主務部屋では5月29日(金)に上井草グラウンドクラブハウスで行われました講演会の様子をご報告致します。
100名以上の部員の視線が宮島さんに集まります。
講演会のゲストは、イラクで凶弾に倒れた奥 克彦先輩と外務省に同期入省された宮島 昭夫さんです。宮島さんは昨年度新設された東京都外務長を務められており、2019年ラグビーワールドカップ、2020年オリンピックに向けて世界との連携を強めていく任務を担われています。
今回は、奥 克彦先輩のお話しに加えて、日本スポーツのこれからについて1時間半に渡ってお話しをして頂きました。
ここで簡単に奥 克彦先輩をご紹介させて頂きます。
奥先輩は1977年に早稲田大学ラグビー蹴球部に入部されましたが、
外交官になるという夢を追うために翌年の8月に退部をされ、外務省に入省されました。
外務省に入省後は、オックスフォード大学に研修留学をされラグビー部に入部、レギュラーを勝ち取られました。
その後も弊部が英国遠征をする際はたくさんのお力を貸して頂きました。
2003年イラクに赴き、日本のイラク復興支援活動を現場で先導されていましたが、同年11月29日にイラク北部で銃撃を受け、殉職されました。
クラブハウスに飾られる奥 克彦先輩の写真
講演会では、宮島さんから奥先輩がどのような方だったかを奥さんがイラク駐在時に記載をされていた「イラク便り(計71回)」をもとにお話しして頂きました。
宮島さんのお話によると、
学生生活ではおおざっぱな一面を見せることがあった奥先輩ですが、
緻密で計画的な部分を学生・外交官生活で披露していたそうです。
また、宮島さんがロンドンに駐在をされた際には、奥先輩がいかに親しまれていた存在だったかをロンドンにいる人々を通じて知ったとおっしゃっていました。
部に保管されている「イラク便り」の一冊
「イラク便り」では、イラクの様子やイラク駐在する各国の人々の暮らしが事細かに書かれています。殉職される2日前まで「イラク便り」を書かれており、戦場のなかでの家族への想いなどが読み取れます。
奥先輩の人柄を表わすこのようなお話しがありました。
奥先輩はイラク国内では防弾チョッキを身に着けないで行動をされていたそうです。
「防弾チョッキを身に着けていたら、イラクの人の仲間になれない」という思いを持っていたのが理由です。
まさに命を懸けて、イラクの人々と国を再興していくという思いがひしひしと伝わってきます。
また、宮島さんは外交官が命を懸けて、自分の職務を全うしていけるのは後を継ぐ人たちに、恥ずかしくない・闘い続ける姿を見せたいと思うからこそできると言われていました。
「死ぬ覚悟」を常に持っている外交官の姿に驚き、心を揺さぶられた部員も少なくありませんでした。
最後に日本で開催される2019年ラグビーワールドカップ・2020年オリンピックについてお話しをして頂きました。
ワールドカップ・オリンピックに向けてのこの時間は私達の人生において、これから二度とない時間である。そして、我々には新しい未来を作るチャンスがたくさんあるということを力強い言葉と共に頂きました。この時間を如何に有効活用していけるかが、大会の成功だけでなく、我々の成長にも繋がります。早稲田大学ラグビー蹴球部の一員として、責任感を持って、日々過ごしてまいります。
講演会の最後に、宮島さんに以下の3つを大事にして欲しいと言われました。
・現場に足を運ぶこと
・世界に目を向けること
・チャレンジをし続けること
外交官という世界中で活躍をされている宮島さんからの言葉に大変重みを感じました。
いま、世界では、紛争が続いている国・地域があります。
そのような中で、こうやって日々、グランドで汗を流せる、
我々は、いかに幸せな存在であるかを強く感じます。
早稲田大学ラグビー蹴球部は、ラグビーをするだけが使命ではありません。
日本のリーダー、世界のリーダーになっていくこそが「荒ぶる」の先にある真の目的であると思います。
まずは自分の横にいる仲間のために体を張れる人間、
弱い人のために体を張れる人間になっていくことが早稲田の真の使命なのではないでしょうか。
その力を上井草で養う。
指針を示してくれた偉大な先輩がいたことを誇りに思います。
上井草での日々が立派な大人になる階段だと信じ、日々突き進んでいきます。
宮島さん、貴重なお話しをありがとうございました。
以上、第9回主務部屋でした。