「『荒ぶる』を歌うために全員がチームを一番に考える」(SO伊藤大祐主将、スポ4=神奈川・桐蔭学園)ーー。
帝京大に敗北した全国大学選手権(大学選手権)決勝後、早大は「WASEDA FIRST」を掲げ、伊藤率いる新体制を発足させた。「日本一」奪還に向けて走りだした新チーム、最初の第一関門となるのが関東大学春季大会(春季大会)だ。いよいよ早大は週末にその初戦を迎える。先手にこだわるプレースタイルを発揮し、開幕初戦で勝利を飾ることができるか。
先月末に行われた高麗大との定期戦が、早大の今シーズン初戦となった。前半から果敢に攻め主導権を握ると、そのまま後半も相手に攻撃の隙を与えない試合を展開。最終的に早大は高麗大から14トライを奪い、88-7の快勝で幸先のよいスタートをきった。
この試合で特筆すべきは、昨年から赤黒を背負い、大学選手権決勝の舞台に立った選手たち。ゲームコントロールの要である伊藤をはじめ、見事なコンビネーションで攻撃の前進を図るSH宮尾昌典(スポ3=京都成章)とフッカー佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園) 、強靭なフィジカルで猛進するNO8村田陣悟(スポ4=京都成章)や見事なステップと突破力で相手を翻弄するCTB岡﨑颯馬(スポ4=長崎北陽台)など、試合経験の豊富な選手達がチームをリードし、順当な試合運びをみせた。
また一方で、昨年、リザーブや下カテゴリーでの出場が多かった選手たちも大いに活躍し、チームの勝利に貢献した。特にWTB磯崎錬太郎(商4=徳島・城東)は計5本のトライに成功し、各勝負の場面で勝ちきる姿が見られた。さらに距離のあるキックや果敢なアシストでチームに流れをもたらしたFB久富連太郎(政経4=島根・石見智翠館)や7人制でも存在感を発揮したWTB細矢聖樹(スポ3=國學院栃木)、ゲインラインで強みを持つロック細川大斗(社4=東京・早実) などの今後の飛躍にも期待だ。
そして迫る注目の春季大会初戦、相手は東海大だ。昨年の春季大会で敗れた東海大を相手に「みんなでそこをターゲットに練習していた」(伊藤)という。まずは初戦で勝利を収め、チームによい流れをもたらしたいところ。そして「Aチームだけではなくて全カテゴリーで勝てるように」と、伊藤はチーム全員で勝つことにこだわる。これから一試合一試合の勝利を大切に積み重ねることが「日本一」への大きな励みになることは間違いない。秋シーズンに向けて追い風を吹かせることができるか。早大ラグビー蹴球部総勢157人で戦う激闘の約2ヵ月間が、今始まろうとしている。
文:川上璃々 写真:濵嶋彩加・権藤彩乃(早稲田スポーツ新聞会)