関東大学春季大会の長い戦いも、今週末でいよいよ終わりを迎える。勝ちにこだわる姿勢を貫き、試合を重ねるごとに着実に成長してきたチーム伊藤。春シーズンの集大成ともなる最終節・帝京大戦をいい形で締めくくり、秋シーズンに向けて追い風を吹かせることができるか。
先週、早大は愛知・瑞穂ラグビー場にて、同大との招待試合を行った。「いろいろなものが形になってきた」と大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工) が手応えを感じるように、春シーズンに培ってきた力が垣間見える試合内容となった。前半、縦横無尽に動き多彩な攻撃を仕掛けた早大。BK陣のSH宮尾昌典(スポ3=京都成章) やWTB磯崎錬太郎(商4=徳島・城東)が好機を逃さず、スピードを生かしたプレーで2トライを奪った。また、HO佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園) がモールトライを2度成功させるなど、FW陣も躍動。計22得点を挙げ、無失点で前半を終えた。後半、相手にトライを許す苦しい時間帯はあったものの、リザーブの選手たちが奮闘。最終的に2トライを追加し、36-14で白星を収めた。
そんな早大が迎え撃つのは、昨季王者・帝京大。屈辱の大敗を喫した全国大学ラグビーフットボール選手権大会決勝の日から5ヵ月余り、早大は春季大会最終戦で再び帝京大と相まみえることになった。スタメンに昨季の優勝メンバーが多く名を連ねる帝京大は、今シーズンいまだ負けを知らない。早大キャプテン伊藤の確実なゲームメイクで屈強な相手ディフェンスをどれだけ翻弄できるかがチームの勝敗を分ける大きなカギとなる。また、昨季早大が力負けしたスクラム勝負にも注目が集まる。決勝の悔しさを知る佐藤を筆頭に、FW陣一体となって相手スクラムを圧倒したいところだ。
「WASEDA FIRST」を掲げ貪欲に挑み続けた約1ヵ月間、「チームとしていい方向にまとまってきた」(伊藤主将)と早大は徐々に結束力を高めている。「早稲田らしく、激しく、愚直に」(宮尾)──。「日本一奪還」の期待を背負う早大選手たちは、昨季王者・帝京大を相手に意地あるプレーを見せつけることができるか。両校のプライドがかかる白熱した戦いが、いま始まろうとしている。
記事・写真:川上璃々(早稲田スポーツ新聞会)