蒸し暑さを感じる曇天の下、早大・上井草グラウンドで早大Dと武蔵大とのトレーニングマッチが行われた。試合は開始早々に早大が先制に成功するも、セットプレーで精彩を欠き支配率で劣勢に立たされる。モールで2トライを奪われるなど苦戦を強いられ12-17と前半をリードされて折り返した。後半に入ると流れは一転、早大は攻撃を継続し敵陣に攻め込む。途中出場の選手も躍動し流れに乗った早大。着実に得点を重ね、最終スコア34-22で逆転勝利を挙げた。
早大のキックオフでゲームは開始した。まず試合を動かしたのは早大。前半2分に敵陣ゴール前でラインアウトを獲得し、先制のチャンスを迎える。モールを止められるもボールを展開すると、CTB藤井雄士(社1=北海道・札幌山の手)が力強いキャリーで起点を作る。最後は早いテンポで出されたボールをNO.8玉川皇一(創理3=東京・青山学院)がインゴールにねじ込んだ。前節の白鷗大戦でも活躍を見せた玉川のプレーで勢いに乗るかと思われた早大だったが、その後自陣から出られない苦しい時間を強いられることになる。支配率で優位に立たれエリアの回復にも苦戦してしまう早大。粘り強いディフェンスを続けるも自陣ゴール前でのセットプレーを起点にされ、合計3トライを奪われてしまった。セットプレーの安定性に課題を残し、前半を12-17で折り返した。
前半の劣勢を跳ね除けるように、後半序盤から早大の攻撃が炸裂する。特にインパクトを残したのは今試合が対外試合初出場となったルーキー藤井。後半3分にはセンターライン付近でボールを持った藤井が、左サイドのWTB田尻遥也(文4=埼玉・早大本庄)へロングパスを通し一気に敵陣深くに攻め込む。その後早大が攻撃を継続しゴール前で再び藤井にボールが渡ると、またしても左サイドで待つ田尻へ、今度はキックパスを通し同点のトライを演出した。前半から強いフィジカルを見せていた藤井が、後半はスキルの高さで強烈な印象を残した。次に存在感を示したのは途中出場の WTB田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)。14分にバックスが繋いだパスを受け取り勝ち越しとなるトライを奪うと、直後の17分には右サイドセンターライン付近でインターセプトを成功させ、そのままゴール右端まで走り切った。タックルを受けても倒れないコンタクトの強さと得点力が光る活躍を見せた。途中出場の選手の活躍もあり流れに乗った早大は、苦戦していたセットプレーでもペナルティーを奪うなど本来の力を発揮。試合終了間際、武蔵大に意地のトライを奪われるも、34-22で試合を終えた。
前半に苦しい展開を強いられるも、後半へ悪い流れを引き継がず、見事な逆転勝利を挙げた早大。今試合では1年生が続々と対外試合デビューを果たし、フレッシュな戦力が積極的なプレーでチームに勢いをもたらした。関東大学春季大会の開幕を1週間後に控え、『赤黒』を目指す選手たちの部内競争は一層厳しさを増す。新戦力も加わりさらなるチームの活性化に期待が高まる新シーズン。この先もチーム佐藤の進化から目が離せない。
記事:西川龍佑 写真:濵嶋彩加(早稲田スポーツ新聞会)