雲の隙間から僅かに日差しが差し込む流経大・第1グラウンドにて春季大会がいよいよ幕を開けた。初戦の相手は流経大。序盤は両者譲らず、ロースコアな試合展開になるかと思われたが、「アタックを修正した」(栗田文介、スポ3=愛知・千種)早大が後半に猛攻を仕掛ける。今季注力しているという圧巻のディフェンスで失点は1トライに抑え、68-7で春季大会初戦を勝利で飾った。
前半21分までは、両校共にペナルティーが多く、攻守の入れ替わりが激しい拮抗した展開となった。早大は攻撃を仕掛け続けゴール目前まで攻め入るも、最後でのミスでトライを取りきれない。しかし、その均衡状態をFB矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)が打開する。敵陣ゴール前5メートル付近でのセンタースクラムから、ボールを受けたFB矢崎が華麗に相手ディフェンスをかわし、インゴールへ飛び込んだ。28分には、自陣ゴールライン目前でのプレーが続くが粘り強いディフェンスでトライを許さない。ラックからボールを持ち出した相手選手に対するCTB福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)のタックルでペナルティーを奪い、流経大の激しい攻撃を防ぎ切った。マイボールラインアウトで試合が再開すると左へ攻撃を展開。WTB鈴木寛大(スポ2=岡山・倉敷)の30メートル近い快走で敵陣深くまで侵入するとLO西浦剛臣(社4=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)までつなぎトライ。続く34分、今度はFB矢崎が圧巻のゲインを見せると一気にゴールライン目前へ。流経大のペナルティーを奪い、クイックスタートを切ったFB矢崎が自らトライラインを割った。SH宮尾昌典(スポ4=京都成章)がコンバージョンキックを成功させ、19-0と無失点で前半を折り返す。
早大のキックオフで始まった後半、前半の勢い衰えぬ早大は猛攻を仕掛ける。後半5分、敵陣ゴール前のラインアウトから左右に展開した攻撃で最後はHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がトライを取り切る。続く6分にはラック横に走り込んできたWTB鈴木が大きくゲイン。SH糸瀬真周(スポ3=福岡・修猷館)が圧倒的な加速力で相手ディフェンスを寄せつけず、独走トライをあげた。しかし17分、敵陣22メートルまでゲインラインを押し上げたところでボールを失うと、そのまま流経大に初得点を献上する。それでも勢いを落とさなかった早大は24分、HO佐藤がモールでトライを取り返し、点差を広げるとともに試合の流れを完全に掴んだ。その後26分、29分、31分と立て続けに得点し、流経大を大きく突き放した早大。試合終了間際には、敵陣ゴール前でのラインアウトからまたしてもモールを押し込み、HO佐藤がグラウンディング。ダメ押しのトライを挙げ、68-7でノーサイドとなった。
序盤にはペナルティーが目立ち、些細なミスで決定力を欠いていたが、試合を通してアタックなど課題を確実に修正し主導権を握った早大。次節の東海大戦に向け、今日の一戦を糧にさらに精度を上げられるか。『荒ぶる』へ向けた長い戦いは始まったばかり。まずは今季全勝を見届けたい。
記事:清水浬央 写真:西川龍佑(早稲田スポーツ新聞会)