9月から開幕した関東大学対抗戦(対抗戦)もいよいよ最終戦を迎える。早大が最後に迎え撃つのは、宿敵・明大だ。昨年度の対抗戦では3年ぶりに勝利を挙げたものの、全日本大学選手権(大学選手権)では準々決勝で敗北を喫し、明大の年越しを見届けることになった。今季は、両校ともにここまでの対抗戦を5勝1敗で終えている。対抗戦優勝は叶わなくなったが、対抗戦2位で終えるためには決して落とせない一戦。対抗戦を確実な勝利で締めくくり、のちに控える大学選手権へ弾みをつけたい。
前節の慶大戦は大雨の影響もあってか、早慶ともにハンドリングエラーが多く見られた。また、ブレイクダウンで圧力をかけられ、早大は無失点で前半を折り返す。一転して迎えた後半は、フッカー佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がモールを起点にトライを挙げ、ロスタイムには、NO8村田陣悟(スポ3=京都成章)が、マイボールスクラムから勢いよくインゴールに飛び込んで追加点。終盤にはPGを献上するが、セットプレーから多く流れをつかんだ早大は、19-13で勝利を収めた。
今回の明大戦、早大を率いる相良昌彦主将(社4=東京・早実)は欠場となるが、対抗戦初スタメン出場となるフランカー永嶋仁(社3=東福岡)が持ち前の接点の強さを見せつけ、積極的な声掛けでチームを鼓舞する。また、これまでチーム一丸となって強化してきたスクラムで他のFW陣が力を発揮し、明大の重戦車を押し切ってくれるに違いない。春には明大に屈したものの、着実に力をつけてきた早大にもう迷いはない。FW勝負に競り勝ち、早大らしい「展開ラグビー」に持ち込めれば、勝機は多く訪れるだろう。
一方のBK陣に大きな変更は見られない。頼もしいFW陣からボールをつなぎ、タテに突くランで魅せる両WTB松下怜央(スポ4=神奈川・関東学院六浦)、WTB槇瑛人(スポ4=東京・国学院久我山)などが最後に仕留め切れるかがカギを握るだろう。前節の課題となったブレイクダウンの攻防を制し、より一体感の増す展開ラグビーを見せつけることができるか。
昨季の全国大学選手権を準優勝で終えた明大は、今季も戦力が衰えない。安定の強さを見せるBKにはタレントが勢揃いだ。華麗なステップで相手の隙を駆け抜けるWTB石田吉平主将や高精度のキックを誇るCTB廣瀬雄也、俊足を活かしたプレーが光るFB安田昂平の突破にも警戒を要する。また、今季はモールでのトライも量産しているだけに、隙のないディフェンスで抑え切れるかが重要なポイントとなるだろう。フッカー紀伊遼平やプロップ大賀宗志副将は今節が復帰戦となる。後半の勢いにも屈さず、80分間継続するプレーを体現できるか、早大攻撃の一貫性に注目したいところだ。
下馬評に関係なく、毎年接戦が繰り広げられる今試合。新国立競技場での対抗戦・早明戦は9年ぶりの開催となる。大舞台での一戦に、観客も選手も胸を高ぶらせていることだろう。誰もが夢見る大舞台へ――。勝利の女神はどちらにほほ笑むか。昨季の雪辱を期す赤黒戦士が、伝統の一戦へまもなく出陣する。
文=谷口花 写真=冷水睦実(早稲田スポーツ新聞会)