卒業シーズンの風物詩（早大の卒業式は２５日）・全早慶明三大学対抗ラグビーが秩父宮ラグビー場にて行なわれた。初戦となったこの日の相手は永遠のライバル・慶大。８８年以来１３連勝中（９９年の引き分けを挟む）いうこともあり、絶対に負けられない１戦となった。
　先日のアイルランド・英国遠征に参加した現役は基本的にオフのため、スタメン全員がＯＢという例年とは少し異なる編成で試合に臨んだ。
　１０分に先制トライこそ許したが、終始早大がゲームを支配。遠征の間、必死に取り組んできた『高速アタッキングラグビー』で相手を完全に翻弄した。セットから繰り出されるアタックは昨季のワセダを彷彿とさせるなかなかの出来栄え。佐藤、平田ら３列を中心にＦＷがよく走り、合計１０個のトライを挙げた。
　終わってみれば５８ー１７での完全勝利。この日見せたＯＢたちの見事なプレーは観戦した現役の大きな刺激になったはず。次はもちろん現役の出番。この勢いそのままに５月１９日の招待試合（千葉・白石）でも慶大撃破だ！

＜徳を積むことに命を懸ける男・シーマが惜しまれながら引退＞
　「まだ引退するのは早いんじゃないのか？」。試合後、清宮監督（全早慶明の監督は伊藤隆）以下、多くの者がその男の引退を惜しんだ。その男の名は永島茂樹（平９年卒）。力強い突破でワセダを、そしてサントリーを幾度となく勝利に導いた名ＷＴＢだ。この試合でも引退するとは思えない動きで４トライの大暴れ。「ほとんどごっつぁんトライ」と本人は照れて見せたが、その動きはまだまだ健在だった。
　シーマの愛称で親しまれた永島は、同期の平田が「練習熱心すぎて実ってなかった」と冗談を言うほどの練習の鬼。とにかく練習に明け暮れ、コーチ陣が止めることもしばしばあったという。永島の逸話はこれだけでは終わらない。私生活での行動はもはや伝説で、「徳を積むことに命を懸ける男」と言われたほどだ。まさにワセダラガーの鏡！この逸話は今後も部内に語り継がれること間違いなし。「シーマの引退試合に出られて本当によかった」（平田）。プレーだけでなく、その人柄で多くの人に愛されたシーマが惜しまれつつも、静かにスパイクを脱いだ。

＜引退試合とは思えない活躍を見せた永島＞
「水曜日に伊藤監督からお話を頂いて、準備不足だったんですけど、遠征メンバーに助けてもらいました。ワセダでラグビーができて幸せだなあと。４トライはごっつぁんです（笑）。周りの人が放ってくれたおかげです。胴上げはかなりはずかしかったです。チームにも人にも恵まれてとても楽しいラグビー人生でした。やり残したことはありません。しばらくはラグビーから離れます。後輩たちはラグビーに対する姿勢がよくて、才能もあって素晴らしい。これからもどんどん力を伸ばしていってほしいです」

＜同期の引退試合に発奮？見事な活躍を見せた平田輝志＞
「今日はシーマがいたから１４対１５の勝負だったかな（笑）。シーマは積んだ徳を酒を飲んですべて撒き散らしていた（笑）。入学して最初に出た試合も一緒だったし、最後も一緒に出ることができて本当によかった。遠征で外国人とやってきたというのもあるけど、今日は相手のコンタクトが弱く感じた。今日は遠征の成果が出たと思う」