2002/8/31
対京産大戦・観戦記
「今日の試合組んでよかったねぇ」。指揮官は思わず呟いた。ファーストスクラム。早大エイトは京産大の圧力をもろに受け、激しく押し込まれた。この試合最大のテーマはもちろんスクラム。スクラムに命を懸ける京産大相手にどれだけやれるかがポイントだった。 試合前に感じていた確かな手応え。しかし、その自信は開始1分足らずで打ち砕かれた。驚きを隠せない選手たち。動揺が走る中、指揮官は冒頭のセリフを吐いた。「これはいい練習になる」。 このファーストスクラムでリズムを失ったワセダは防戦一方。合宿で溜まりに溜まった疲れからか、まったくと言っていいほど体が動かず、ゴール前に釘付けにされてしまう。いつもの粘りもなく9分にはあっさりとトライを献上。今シーズン初めて先制を許してしまった。言うことをきかない体。流れる重い空気。ワセダに試練が訪れた。 この今シーズン一番と言っても過言ではない苦しい状況を打開したのは、またしてもフランカー川上力也(3年)。それまでタックルらしいタックルが見られなかったチームに喝を入れるかのような超強力なタックルを披露。18分には自らインゴールに飛び込み、流れをワセダに引き寄せた。 この川上のプレーを境にチームは奮起。20分、23分とお得意のノーホイッスルトライを連発し、一気に相手を引き離した。 このあたりから京産大独特のスクラムにもしっかり対応。マイボール100%キープとはいかなかったものの、試合中に修正できるあたりが成長の証を言えるだろう。 そして相手の息の根を止めたのが、我等がキャプテン・山下大悟。前半ロスタイムに抜群のコース取りで50mを独走すると、後半8分にはゴール前で3人を交わしトライ。格の違いをまざまざと見せ付け、チームに一本の芯を通した。 最終的には59-19。決して満足できる内容ではないが、疲れがピークの中での試合は貴重な経験になったはずだ。<HP委員 疋田拡>
<清宮監督試合後のコメント> 「スクラムは試合中に修正できたからOK。京産大のスクラムに対応したのは評価できる。京産大と組んでいい経験ができた。もうひとつのテーマ、モールディフェンスは意識が低くてダメ(後半11分にはラインアウトモールからトライを献上)。改善の余地がまだまだある。今日は体が重かったね。疲れも今がピークだからしょうがない。あまり気にしていないよ。合宿全体で見てもまぁよかったと思う。やりたいこともできた。残りの期間はやらなければいけないことが違うから、それぞれのチーム毎に練習を変える。ポジション争いも高いレベルでできている。試しているという感じではない。25人くらいは作っておかないとダメだから。(NO8で出場し続ける)佐々木は持っている器が違う。今は育てようとして使っている。ものすごくいいものを持っている。個別に色々と教えているけどまだまだ高校生って感じだね(笑)。この合宿の総決算はオックスフォード大戦。いいゲームができると思うよ」
<圧倒的な存在感を見せた山下主将> 「今日はよくなかった。不満です。全然ダメ。集中力を欠いていた。ラインアウトも全然取れなかったし。でも、そんな中うまく対応できたとは思う。(自身の3トライは)相手もあまりこなかったから。この合宿でいい面も悪い面もでたと思うから、この先うまく切り替えてやっていきたい」
<ヤング魂全開のプロップ大江菊臣> 「どんなスクラムでも相手を圧倒できないとダメ。今日は不満。マイボールをいい形でだせなかった。途中で修正できたけれど、もっと早めの修正が必要。今日はセットでプレッシャーを受け、苦しい展開だった。アタックでFWがランナーに立てなかった。もっと順面に素早く立たないと。スクラムは着々と強くなっていると思う。関東とやってそれを感じた。春よりもやれる手応えを感じた。スクラムに関しては順調です。今年はケガせず、休まず、負けずでいきたいです。自信はありますけど、まだまだ東野(憲照、3年)という怪物がいるから死ぬ気でやっています。ヤング魂です!」
<1年生ながらNO8の座を不動のものにしつつある佐々木隆道> 「合宿は長くてきつい。体力的には問題ないけど、毎日ギリギリの争いをしてだしきっているので、精神的に張り詰めていて辛い。今は自分にできることをやっているだけ。欲なんかだしていたらやっていけない。1年生のうちから試合に出られるようになるとは思っていなかった。先輩たち見てスゲーな、自分もいつかこんな風になるのかなぁって思っていたら気づいたら出ていた(笑)。オーッて思いましたよ(笑)。コンタクトがすごくハードで驚いたけれど、だんだん慣れてきた。春より確実に動きはよくなっていると思う。練習では周りと合うようになってきたからあとは実践でどれだけできるか。最近は周りの動きも分かってきて、自分がどうすればいいか分かってきた。やっている僕等はそんなこと思ってないですけど、傍から見たらワセダは強いと思いますよ。今日の試合は関東の時と比べて自分たちのテンションの持っていき方が甘かった。今まではタックルに入っていたところも受けてしまった。それが力也さんのタックルで変わった。あれでいけると思った。ああいうときは誰かが行かないとリズム変わらないですから。スゲーなって思いましたよ。タックルしたらまたすぐ起き上がるし。ボールのあるところに必ずいますよ。NO8は責任のかかる部分が大きいけど、楽しいです。今年はレギュラー定着して日本一になりたいです。日本一になれるチャンスなんてなかなかないですから。(高校でも全国制覇、ワセダでも4年間負けなかったらすごいよね?)そんなことできたら神話ですよ(笑)。時には負けることも必要だと思います。僕は負けを知っているチームの方が強いと思っているんで。負けを知らないのは怖いですよ。今日は受けに回ったらやられるぞということが分かっていい経験になったと思います」 |
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