「初めの10分に集中しよう」(佐藤喬輔主将)。2年連続の優勝に向け、開始から飛ばしていきたいところであったが、わずか50秒足らずでノーホイッスルトライを献上。明大の前に出る圧力に何の抵抗もできず、いきなり暗雲が立ち込めた。
しかし、「赤黒を着る意味」を深く心に刻んだワセダもすぐさま反撃を開始。10分にゴール前ペナルティーからWTB艶島がインゴールに飛び込み、相手に傾いた流れを引き戻した。そこから26分に艶島、38分にロック高森雅和がトライを挙げ、リードこそ奪ったが、この日はノックオン、パスミスを連発。自滅とも言うべき展開で、ゲームの大半をディフェンスに追い込まれた。
ここでチームを支えたのが、松本允、川上力也の両フランカー。動きが重く、仕事量の少ないFWに喝を入れるかのごとく激しいタックルを連発し、これでもかとばかりにターンオーバーを誘発してみせた。これこそワセダフランカーの鏡。あの羽生憲久の影がそこに存在した。
そして我慢に我慢を重ねた後半20分過ぎからはいつものようにトライラッシュ。SH後藤翔太が手薄になったブラインドサイドを一気に駆け抜ければ、ロック小島浩之も持ち前のスピードで相手防御網を一閃。最後はWTB山岡正典が得意のステップで観衆を沸かせ、食い下がる明大に引導を渡した。
これで全早慶明対抗戦2連覇を達成。OBの力を借り、春から幸先の良いスタートとなった。そして4月からはついに現役『大田尾組』が出陣。4月27日、NZU戦にご期待ください!
<昨年に続きチームを優勝に導いた全早大伊藤隆監督>
「慶大に大差で負けた明大ということで、今日はどこか気の緩みがあったと思う。昨日も笑顔が絶えない練習だったし、そういった部分が出てしまった。内容的には不満だが、優勝することを最大の目標にしていたので、その点では満足している。松本は先週よかったので、今日はフルタイムで使った。小さいけれど、ウエイトもあるので、羽生の後任としてやっていけるのではないかと思う」
<チームメイトからの胴上げに照れ笑いを浮かべた佐藤喬輔主将>
「今日は最悪の立ち上がりでした。昨日の練習からちょっとふわっとしていたので、そこが出てしまったかもしれない。ただ途中からみんなで意思統一ができたことが、いい結果につながったと思う。内容はよくなかったし、満足はできないけれど、今年1年ワセダとして負けなかったということがうれしい。(先週は出場していない)高森は相変わらず豪快でしたね(笑)。どんどん突破してくれるので、やっぱりいると頼もしいし、いい選手です。彼なら神戸製鋼でもやっていけると思いますよ」
<羽生越えを誓った松本允>
「今日は相手がメイジということもあって、ワセダのフランカーとしての責任と誇りを持って試合に臨んだ。先週初めて着た赤黒は20番だったけれど、今日は6番だったので相当意識した。オフの間ずっとウエイトに力を入れて、体を大きくしてきたので、当たり負けしなくなってきたとは思うけど、その分フィットネスが落ちているので、これから取り戻していきたい。やっぱり羽生さんのことは意識している。自分が羽生さんの穴を埋めなければいけないと思っているし、がんばって秋には抜けるようになりたい。先週初めて羽生さんと一緒に試合に出たが、あの人がいるだけで周りのディフェンスの意識が相当変わるということに改めて気がついた。自分にとってかなり大きな存在だけれど、目標にしてがんばっていきたい」
5月10日(土)、早大所沢キャンパスに昨シーズン大学選手権ベスト4・帝京大を招き、スポーツ科学部創設記念試合を行うことが決定致しました(キックオフ予定時刻は現在のところ14時)。入場はもちろん無料。是非応援にいらしてください。詳細につきましては決まり次第、ご報告致します。