「最初のスクラムでリズムが崩れた」(フッカー・青木佑輔、2年)。「スクラムからボールが出ないと仕掛けられないですから」(SO・大田尾竜彦)。「自滅」。開始早々のマイボールスクラムでまさかのターンオーバーを食らうと、3分にインターセプト、10分にはノックオンを拾われ、いきなり14点のビハインド。強烈な先制パンチに山高く水清き長野の観衆がどよめいた(この日のゲームは南長野運動公園総合球技場の柿落とし。テレビ信州では生中継も)。
しかし、フランカー松本允(2年)、FB内藤慎平(3年)のパワフルな走りで突破口を開くと、そこから『王者の風格』、貫禄のトライラッシュ(後半3分までの間に連続6トライ、40-14)。ワセダの生命線・コンタクト、スイープでも激しさを取り戻し、難敵・法大の持ち味を封印した。
猛烈な風下で集中力を欠いたのか、大量リードを奪った後半こそBK陣に走られ、3トライを献上するも大勢には影響なし。終了間際には連続トライできっちりとお返しし、59-31で「連覇のためには避けて通れない相手」(大田尾)を退けた。これで今春も未だ負けなし。ワセダの連勝街道はこれからも続く。
<清宮監督試合後のコメント>
「点差がそのままチームの差だと思うし、ひとりひとりを比べていっても差があったと思う。ただもっと気の利いたプレーヤーが出てきて欲しい。後半はミスマッチをうまい具合に作られてしまったけれど、前半のディフェンスは評価できる。U21日本代表でチームを離れる4人(青木、佐々木、豊山、内藤慎平)にはニュージーランドやオーストラリアのプロ選手からいろいろなことを学んできて欲しいね」
<強烈な風にお疲れ 主将・大田尾竜彦>
「今日はよくもなく悪くもなく、いつもとそんなには変わらないデキだったと思う。5トライ取られたけれど、インターセプトなどのミスで取られたトライはそんなに気にしていないし、特別崩されたという感じもしなかった。法政のやろうとしていることは分かった。風下の後半は風が気になったし、キックも飛ばなくて辛かった。今日はとにかく疲れました」
<U21日本代表で副将を務める内藤慎平>
「前半のトライはワセダのミスをそのまま持って行かれただけで、FWで崩されてBKに走られたわけではないので別に気にはならなかった。コンタクトやスイープをしっかりすれば、ゲインも切っていたし、トライは取れると思っていた。そのなかでたまたま自分がトライをしただけです。U21ではスーパー12に出ているような選手に対して自分のアタックがどこまで通用するのか、どれだけすごいタックルをしてくるのか、世界のトップレベルを肌で感じてきたい。まだまだワセダでやらなければいけないことがたくさんあるんですけどね。帰ってきた時に自分の居場所がなくて、FBを兄貴(晴児)がやっていたら少し嫌ですね(笑)」
<19歳ながら、同じくU21で副将を務めるNO8佐々木隆道>
「春最後の試合としてはデキはあまりよくなかったですね。チームとしては自滅です。ノックオンしたプレーヤーがあーあという感じで働きかけていないし、タックルもしっかりパックできていない。春のワセダの悪いところが一気に出た。今は少しずつ新しいことにも取り組んでいてステップアップしている段階なのでミスも出てますけど、そのうちよくなると思いますよ。U21では自分より強い相手に対してどうドライブして、どうタックルするのかというところを、仮想関東、仮想社会人として体験してきたい。低く刺さって、低くコンタクトして、低くドライブして、日本のNO8いいじゃんと世界で評価されたらいいですね。まあそれは精一杯やった後の結果であれば、どうでもいいですけど。チームとしてもう1段階伸びる時に、3週間チームを離れるのは嫌ですけど、遠征に行った分、自分にしか経験できないことがあると思うので、それをチームのみんなに伝えたい。ニュージーランド(初戦で対戦)とやるのが楽しみですね」
<スクラムの要・U21日本代表青木佑輔>
「ファーストスクラムで3番スゲーなと思いました。最初はなかなかうまく組めなかったですけど、前半のうちに諸岡さんがきっちりと3番を抑えてくれたし、立て直すことはできたかなと。うまく対応できたと思います。途中からはそんなに強さを感じなかったし、もっといけましたね。ラインアウトも桑江さんがいいサインで組み立ててくれたのでよかったです。自分としてはもっとジャガー(松本)みたいにいけるようにならないとダメですね。スクラムで精一杯で疲れてしまう面があるので。ディフェンスは少しやられたところがあったので、もっと走るようにしていきたい。U21では大きい相手に対するタックルとその後のチャレンジの仕方を経験してきたいです。U21ニュージーランド代表はNZUとは比べ物にならない位強いという話なので、どうするんだろうという感じですね(笑)」