「これで気持ちよく豪州遠征に行けると思いますよ」(主将・大田尾竜彦)。様々なオプションを試しながらの18トライ、116得点。Aチームの今シーズン最多スコアで、豪州遠征前最後の試合を心地よく締めくくった。
対抗戦第2戦の始まりは『頼れる男』・NO8佐々木隆道(2年)のターンオーバー。開始3分、佐々木しか持ち得ない抜群の嗅覚でボールを絡み獲ると、息つく間もなく『高速』展開。最後はFB内藤慎平(3年)が鋭角的なステップでディフェンダー3人を嘲笑い、インゴールへ飛び込んだ。
貫禄すら感じさせるこの日の内藤慎平はまさにチームの支柱。スピード溢れるランニング、タックルを物ともしない腰の強さ。「関東うんぬんの前に小吹(和也、2年)には絶対に負けたくない」。チーム最多、3トライの大暴れで、ケガで戦列を離れるライバルに圧倒的な存在感を見せ付けた。
その他にも、ハンドオフで相手をなぎ倒しながら加速するWTB首藤甲子郎(1年)、シャープな走りでラインブレイクを繰り返したフランカー松本允(2年)、常に前に出続けたロック内橋徹(3年)など、休養十分な選手たちが要所で軽快な動きを披露。秋晴れの秩父宮で80分間、淡々とインゴールへボールを運び続けた。
オーバーラップを作った状態での判断ミス、軽いプレーなど、細かい修正点は多々あるものの、それも豪州遠征で。「4年に1度しかないし、ラグビーをやっているものにとってW杯を生で経験することは絶対にプラスになるはず」(清宮監督)。更なる進化へ、10月7日、『大田尾組』は遠く豪州の地に飛び立つ…<HP委員 疋田拡>
<豪州遠征で更なる飛躍を誓う主将・大田尾竜彦>
「点数的にはこんなもん。FWで行くとか、パントを上げるとか色々な形を試しながら、思い通りにできたりできなかったり…。人が替わってペースが落ちるのはしょうがない部分はある。まだ意図的に突いていないところもあるし、見せていない部分もある。チームとしては夏を越えて、徐々によくなってきていると思います。今日の曽我部はちょっとヒドイ…(笑)。いくらうまいと言っても1年生ですし、まだ目をつぶらなきゃいけないところもありますけど(笑)。これで気持ちよく豪州遠征に行けると思いますよ。個人的には向こうのチームと試合をするのが楽しみですね」
<『荒ぶる』メンバーの意地を見せつけるFB内藤慎平>
「ふわっとした雰囲気で試合に入るのは嫌だったので、今日は気合を入れて臨みました。自分の中で何か掴んだとかそういうものはないですけど(笑)、自分はボールを持って何ぼの選手だと思い返して、積極的にどんどん仕掛けようとしているのがいい方向にいっているのかもしれません。夏位まではコールをしっかり出そうとか、WTBにいいパスを放ろうとかそういうことを考えすぎていたので。ふと考えたら自分は行って何ぼの選手かなと。ディフェンスはまだまだの部分はありますけど、チームの状態としては上がってきていると思います。あとはワセダを研究してくるであろう強いチームにどれだけできるかが問題。もっと上げていかないと。関東うんぬんの前に小吹には絶対に負けたくない。今日は小吹が出てもあの位はやれただろうし。まずはポジション争いに勝つことです。でもやっぱり夏は有賀(関東学院大FB)に抜かれてしまったし、意識しないことはないですね。同じFBとして見てもスゴイ部分はありますから。関東のバックスリーにも負けないように」
<見事なダンクシュートを決めた(本人談)ロック内橋徹>
「今日は相手が相手だけに何とも言えない部分もありますけど、やろうとしたこと、意識したことができたのはよかった。行こうとしたところで行けた。ケンブリッジ戦の勝ちが自信になっていい方向にいっていると思う。自分の中では高森さん(山下組ロック)みたいなピックゴープラス、ランナーとしてゲインしていくのが理想。高森さんみたいに欲しいところでゲインできるプレーヤーになれればと。今年は春から調子もよくて、手応え持ってやれてます。関東は前5人が強いと言われているけど、ワセダも負けてないと言われるように、桑江と一緒に体を張って激しくチームを引っ張っていきたい。まずは大学でコンタクトが一番強い選手になります」
<テンポが命 SH後藤翔太>
「竜彦さんには申し訳ないですけど、先週は休ませて頂きました(笑)。点数的にはこんなもんだと思います。こういう展開でもテンポを大事に、速くすることを心掛けました。悪くはなかったかなと。トライの取り方も色々と試しながら。チーム全体の意識も上がってきているし、竜彦さんがみんなの前でチームの作り方、方向性を話してくれたので、こうやっていけば組織としてうまく機能していくんだなということを、みんなが理解してきている。豪州遠征は楽しみです。ニュージーランド対イタリア戦は本当に楽しみですし、日本代表も本気で応援します!」
<攻守にフル回転のフランカー松本允>
「先週休んだとかはコンディションにあまり関係なかったと思います。気持ちの問題ですね(笑)。今日はキックオフごとに竜彦さんからどう攻めるかの指示があって、色々と試しながらやった感じです。まだまだですけど、FWも動けるようになってきているし、リズムも出てきた。個人的にはこのレベルでもゲインをしてから絡まれてしまうことがあるので、もっときれいにリリースできるようにしたい。これで相手が関東だとやられてしまうので。自分はスイープ人並み、ランナーも人並みで、まだこれという絶対的な武器がないので、何かひとつ身につけたい。ワセダのフランカーはやっぱりタックルですかね」