2001年11月に文藝春秋から刊行され、「Sports Graphic Number が選ぶ傑作スポーツノンフィクション第1位」「第12回ミズノスポーツライター賞」に輝いた傑作評伝『知と熱』が早くも文春文庫の一冊として、11月7日、全国書店にて発売されます【定価(本体600円+税)、352ページ】。
著者は、早大ラグビー部OBで各紙誌に健筆をふるう藤島大氏。三度の監督就任で、そのつど早大ラグビー部の苦難を救い、日本代表を率いて、オールブラックス・ジュニアを破り、イングランド代表には肉薄した名将・大西鐵之祐の79年の生涯を達意の文章で描きました。そして、文庫版「解説」は、1996年度早大ラグビー部主将の中竹竜二氏(現在、三菱総合研究所研究員)が執筆しています。
早稲田ファンはもちろん、またしてもワールドカップで全敗に終わった日本代表の今後を考えるうえでも、必読の一冊です。
【著者紹介】
藤島大(ふじしま・だい)
1961年、東京都に生まれる。早稲田大学ラグビー部では、益子俊志氏(主将)、本城和彦氏、吉野俊郎氏、松瀬学氏(現ノンフィクションライター)らと同期。86年、スポーツニッポン新聞東京本社に入社、おもにラグビー、ボクシングを担当する。92年に退社。以後、文筆業のかたわら、都立国立高校、早稲田大学ラグビー部でコーチを務める。著書に『ラグビー特別便』『スタジアムから喝采が聞こえる』『ラグビーの世紀』がある。
【内容】
「腹をすかせた人間はスポーツなんてするわけないというが、あれは嘘だ。人間は食えなくてもラグビーをするんだ」「戦法に絶対はない。だが絶対を信じないチームは敗北する」「(コーチに最も必要な資質とは)そこにいる人間を愛する能力だ。これは天性なんだ。ない人間にはないんだよ」……。緻密な理論、滾る情熱、そしてそれらを包む深い愛情。「闘争の倫理」を思索しつづけ、日本の、そして早稲田のラグビーを幾度の危地から救った第一級の指導者にして勝負師・大西鐵之祐。その思想と哲学を、豊富な証言、感動的なエピソードとともに描いた傑作評伝。大隈講堂での最終講義「人間とスポーツ」、死の五日前に行われた最後のインタビュー「勝負の哲学」も全文掲載。
【目次】
インゴール組/戦前のラグビー/ま、銃で撃つんだが/「展開、接近、連続」/歴史の創造者たれ/接近の極致/テツノスケに教わったんや/デューイを突き抜ける/大西アマチュアリズム/体協の名場面/鉄になる/愛情と冷徹、信頼と独断