「今日は色々と試したいことがあった。デキとしては、まぁまぁですかね…」(副将・後藤翔太)。夏合宿ファーストゲーム。日々、限界にチャレンジ中(毎日追い込みまくってます…)の『諸岡組』が、またひとつ新たな強みを手に入れた。
この試合最大のテーマは、第1クールでの取り組みを試すこと。「FWのゴリゴリだけなんてワセダじゃない!」。『10人ラグビー』に別れを告げるべく、春シーズンとは一味違う戦いぶりを披露した。「ワセダのBKは日本一でないといけないんです…」(副将・後藤翔太)。
開始5分、これまでの掟を破るようにペナルティーからのハリーで、SH後藤、CTB三角公志がディフェンス網を鋭く切り裂くと(三角はこの日も存在感抜群!)、19分にはラインアウトから一発のムーブで、指1本触れさせずにWTB首藤甲子郎がゴール左隅にトライ。モールへの対応ミスから1本トライを奪われたものの、FWもディフェンス(ロック桑江のゴール前でのそれは秀逸!)、何より停滞した局面でチームを支え、永遠のライバルを圧倒した。
そして24-7で迎えた後半開始早々の1分、ゴール前スクラムからの『必殺』アタックで『怪物』五郎丸歩(キック、ラン、パス、とにかくすごいの一言!)が悠々とインゴールを陥れると、その後は文字通りの『練習』試合。ド迫力のドライビングモール、両フランカーの激しいターンオーバー、キックオフからの華麗なリターン…。これぞ2004年度版『ワセダラグビー』。アタック&ディフェンスと見間違うほどの余裕の展開で、猛る虎の牙をひとつ残らず抜き取った。
攻めてよし、守ってよし。およそ2ヶ月ぶり、体もきつい中での大勝に、「やろうとしていたことができたし、今日はよかったんじゃないかな。これで次のステップに進める。夏合宿はすごく順調にきてるね」と清宮監督も満足気な様子。次戦はいよいよ仮想ファイナル第2弾。「絶対に勝つ。それが最低条件」(主将・諸岡省吾)。主演『黄金』BK、助演『最強』FW。『夏物語』諸岡組編は、まだまだ終わりそうにない…<早大ラグビー蹴球部広報 疋田拡>
<快勝にも不満気な表情を浮かべた主将・諸岡省吾>
「今日は全体的にFWが走れなかった。反応が遅く、見ている時間が長かった。点差ほどいい内容ではなかったと思う。BKで試したいところがあったけど、デキとしてはまぁまぁといった感じ。ただやろうとしていることが見えてきたし、このまま精度を高めていければと。春よりミスも少なくなっているし、BKもよくなってきている。逆に今日のFWは今イチ。みんな不完全燃焼だったと思う。久々の試合ということもあって、動き出しの部分が遅かった。みんな見てしまっていた。ワセダはそういうところで差をつけていくチームなのに、そこが足りなかった。前半取られたトライはモールをずらされてしまった。これからそうされたときの対応もしていく。今日のトライをいい反省材料にしたい。スクラムに関しても、やっぱり練習と試合は違うなと。みんな意識はしているけれど、まだうまく崩せていないので、次はもっとプレッシャーをかけられるようにしたい。今日は試したいことが色々とあって、まだ整理しきれていない感じだった。そこを整理していけば、次はもっとよくなると思う。関東戦は絶対に勝つ。それが最低条件。この間はFWだけで勝ったと言われたけれど、次はBKでも勝ちたい。そのために3日間引き締まった練習をしたいです」
<この日も圧倒的な存在感でチームを牽引した副将・桑江崇行>
「今日は久しぶりということもあって、ゲームフィットネスが足りなかった。FWは動きを限定したというか、立て直しなどがメインでデキとしては今イチ。特に近場のディフェンスが試合から遠ざかっていたことで鈍くなっている。モールをずらされてトライを取られてしまったけれど、そこは試合中に修正できた。激しいフェーズでコンタクトできるようになっているのが、春より成長しているところ。スイープに5回くらいしか入れなかったし、自分のプレーは悪かった。ここで留まるのではなく、更に調子を上げていきたい。今日は色々と試したけれど、やっぱり試合では難しいこともあるなと。試合だとどういう状況が起こるのかが、みんなも分かったと思う」
<懸命にBKを引っ張る副将・後藤翔太>
「今日は久々の試合で緊張したというか、いい興奮、いいテンションで試合に臨めた。71点取れたのはいいけれど、やろうとしたことができたかと言えば、まだまだ足りない。要練習という感じ。それでもBKにしっかりとしたコールがあって、相手がこういうディフェンスだから、自分たちはこう対応するんだというのが考えらるようになってきた点は進歩。BKもちょっとずつよくなってきた。あれだけFWがやってくれているのに、やらなかったらウソですからね(笑)。今日は試合をしてみて、やっぱり何でもかんでも練習どおりうまくいかないなと。FWとBKの連携のところでそれを感じた。試合をして色々なことが分かった。関東とやるときはいつも戦術抜きの気持ちの勝負。3日間気持ちの入ったいい練習がしたい。今日は最初の試合にしてはまぁまぁですかね」
<冷静さを欠いたプレーに猛省のNO8佐々木隆道>
「今日は最悪です…。もう全部、何から何までダメだった。チームとしてはやろうとしたことをする意志はあったけれど、やり初めということもあって、精度が低かった。これまではFWで崩して乗っていくことができたけれど、今日はみんな乗り切れなかったと思う。序盤攻め込まれる場面があったのは僕のせい(ゴール前で相手の攻撃を凌ぎペナルティーをもらいながら、反則を犯した相手へのスタンピングを取られ逆に相手ボールに)。試合ってこんなテンションだったかなって…。今日はFWの動き始めが遅かった。1次で終わりというクセがついてしまっているし、ゲームフィットネスが足りない。みんな動けていない。まだ自分の中で不安みたいなものもあるけれど、練習をたくさんして、試合勘を取り戻して、冷静に、周りをもっと生かせるようになりたい。あんなペナルティーを取られるのはもうこれで懲りた。もう絶対にやりません。これまで自分の中では、毎日の練習に集中してきたつもりだったけれど、慶應や関東との試合を意識できていなかったのだと思う。そういう意識がなく、どこかプレ合宿の延長でこなしていた感がある。これからはもっと意識高く練習していきたい。でないと関東には勝てません」
<大学入学後、初めてCTBでの出場となった小吹和也>
「今日は自分のプレーは全然ダメだった。アタックではスペースがあったらどんどん自分で勝負しようと思っていたし、ツメてくることが多い相手だから外を生かせるようにしようと思っていたけれど、パスミスもあってうまくいかなかった。自分のよさを出せるようにもっとボールをもらいたかった。今日は試そうと思っていたことをやったけれど、まだコミュニケーション不足。もっと精度を上げないといけないし、相手のディフェンスに対応するのが遅かった。やっぱりBチーム相手にやるのとは違う。ディフェンスに関してはFWが強くて内側にしっかり立ってくれるので楽です。三角も止めてくれますし。今日も外は全然怖くなかった。練習してきたことをみんな試合でやろうとしてたことが、今日のよかったところ。もっともっと精度を高めて、次の関東戦はBKで勝負したい。最初CTBやれと言われたときは、えー、何故にって思いました(中高でちょっとだけCTB経験あり…)。ケガ人がでたからその埋め合わせでやって、またWTBに戻るとかそういうのは嫌だと言ったんですけど、清宮さんと色々と話をして今は納得してやっています。WTB、FBをする上でも役立つだろうし、いい経験だと思ってます」
<この日もスーパープレーを連発したFB五郎丸歩>
「今日は結構BKも貢献できたかなと思います。いつもFWで勝っていますから。BKの仕掛けも形、さわりの部分はできてきたと思う。自分としてはその中で、BK対BKのところの判断、ラストパスで貢献していければと。人数の余ったいい形でボールが来るので、トライを取るのは当然。今日の自分のプレーはそれほどいいデキではなかった。ただBK全体としてははだんだんよくなってきているので、次はもっとレベルアップしたところを見せたい。ディフェンスに関してはみんなが前で止めてくれるので、自分はすることがなかった。今日も後ろから安心して見ていることができた。6月の関東戦ではノックオンしてしまったけれど、今日はそのときと同じ感じで行って、綺麗にボールをだすことができた。そこは進歩できたかなと。次の関東戦ではそこでトライできるようにがんばりたい。毎日がすごく充実しているので、合宿は楽しめています」