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2024
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対法大戦・『野獣』の本能で相手を粉砕!


 ブレーキの壊れたダンプカー、はたまた無敵になったスーパーマリオ…。公式戦開幕に照準ピタリ。フィールドに放たれた『野獣』今村雄太が、その本能を爆発させた。「コンディションも少しずつ戻ってきました…」(今村)。
 「練習からずっと話をしてきたけれど、まだみんな100%になりきれていない」(主将・諸岡省吾)、「最初の方は、みなさんの思っているとおりです」(NO8佐々木隆道)。ワセダの代表、赤黒を身に纏った15人誰もが反省したように、試合の入りはシーズン開幕とは思えない最悪の部類。度重なるハンドリングエラーに、緩いディフェンス。覇気まるでなし。まったりムードがチームを覆い、6分には今季2度目となる先制を許してしまった。「もっと目の色を変えてやらないと。このままではマズイです…」(主将・諸岡省吾)。
 またしても顔を覗かせた悪いクセ…。しかし、チームに漂いかけた停滞感を『野獣』今村がいとも簡単に振り払う。揉み合って迎えた12分、目の前に転がってきたボールを拾い上げると、所構わずワンステップで瞬時に加速。足を振り上げる豪快な走り(清宮監督の教えを忠実に守ってます)でタックラーを次々と吹き飛ばし、50メートルを涼しい顔で走りきった。久々に見せる今村らしさ―。これで流れを引き寄せ、あっさりと逆転に成功すると、前半終了間際の38分にも再び今村が相手ディフェンス網を貫通。2人がかりのタックルを何事もなかったかのように跳ね返し、インゴールへ飛び込んだ。まさに規格外。戦術、理屈を超えたスーパープレー。戦慄のパワー、そして勢いは序盤の不安定さを遥か遠くへ追いやった。
 「ひとりひとりが前に出ていたし、うまく修正できた」(副将・後藤翔太)と言う後半。FWの安定感、BKの華麗なワイドアタックが冴え渡っても、主役はやはり『野獣』今村。開始45秒(WTB首藤甲子郎、キックオフから好タックルも)、4分(WTB勝田譲へのハイタックルで認定)と両WTBのトライで相手を瀕死の状態に追い込むと、10分には三度、何食わぬ顔でタックラー2人を跳ね返しトドメのトライ(45-10)。直後の13分にも、「イメージに近い形で1番よかった」(今村)というスーパートライ(動き出しのタイミング、スピード、アウトへの引き、すべてが合致。ボールを持った時点で勝負アリ)を決め、ひとり孤高の存在へと登りつめた。「前が空いてなくても関係ないですからね。めちゃくちゃスゴイですよ」(副将・桑江崇行)。速い、強い、そしてスゴイ(ここはコーチ陣が「うまい」にしてくれるはず、です…)。常勝を義務付けられた『諸岡組』に『野獣』の血が加わった。
 そして、ようやくチームにフィットしだした今村はもちろん、この日忘れてならないのがBK陣の対応力。「前半で相手がどういうディフェンスをしてくるのか分かったし、自分たちもどう対応すればいいか分かっていた。後半はみんなで話したとおりの展開になった」(WTB/FB小吹和也)。この考える力、イメージの豊かさこそがワセダの強み。「どこよりも考えて勝つ!」。誇り高き赤黒の伝統も、ようやく力を発揮しだした。
 次戦は、いよいよ直近の最大ターゲット・オックスフォード大戦。「奥克彦メモリアルマッチとついて燃えない奴なんていないでしょう。しっかり準備して必ず勝つ」(清宮監督)。「外国人と言えばワセダ。絶対勝ちますよ」(NO8佐々木隆道)。偉大なる大先輩・奥さんが心底願ったオックスフォード大からの初勝利。2004年9月20日、ワセダの歴史が塗り変わる…

<悲願の初勝利へ オックスフォード大戦にすべてを懸ける清宮監督>
「今日はスクラムを押し込めなかったのがすごく不満。その他のところは、まぁよかったと思う。奥さんはワセダがオックスフォードに勝つこと(通算11戦1分10敗)をいつも口にしていたし、2年前上井草で引き分けたときもすごく悔しがっていた。今回は『奥克彦メモリアルマッチ』として行われるので何としてでも勝利したい。奥さんに勝利の報告をすることが自分の義務であり、責任であり、今1番実現したいこと。学生もオックスフォード大戦に向けて練習してきたので、何としてでも初勝利を奥さんに報告したい。この一週間オックスフォード戦に向けた準備、対策をしっかりやって必ず勝ちます」


<意識の更なる向上を訴える主将・諸岡省吾>
「夏合宿最後一週間の練習からずっと意識の話をしてきたけれど、まだみんな100%になれていない。もっと意識を高く、目の色を変えてやることが必要だと思う。そうでないと今日みたく最初に取られてしまうし、今のままではマズイ。今日から公式戦が始まるんだと意識はしていたけれど、最初からトップにもっていけてなかった。そこは普段からやらないといけないところ。今日も別に手を抜いていたわけではないし、そこは個人個人の問題になってくる。今日はCTBのところで抜かれたくらいで、そこだけ落ち着いてやれば問題ないという試合だった。そこで大崩することなく、うまく修正もできた。BKも意識があって声もでていたし、いい流れでトライも取れた。ただ前回の反省であった『反応』はまだ甘い。試合前から清宮さんに口うるさく言われていたにも関わらず、今日もまだ遅いと言われてしまった。後半はよかったけれど、もっと最初の集中力が必要かなと。スクラムは途中から崩せるようになったけど、もっと攻撃的にいくべきだった。清宮さんもスクラムはすごく不満だったみたいですし…。オックスフォード大戦はまだゲームプランも決まっていないけれど、まずは夏合宿で取り組んできたことを出すこと。外国人相手には密集、接点で上回ることが大切になってくるので、この一週間は『反応』をしっかり意識して取り組んでいきたい。外国人相手のスクラムはおもしろいので、個人的にも楽しみです」

<1本のタックルミスを悔やむ副将・後藤翔太>
「今日は前半ちょっと悪かったけれど、やってきたことを出そうという意識がみんな高くて、そこはよかったと思う。BKのミスが重なる場面もあって、FWには迷惑を懸けてしまったけれど、やろうとしたことをチャレンジする意識はよかった。ひとりひとりが前に出ていたし、後半はBKもうまく修正できたかなと。ただ自分が抜かれて取られてしまった最初のトライは本当に情けない…。タックルを今年は自分の取柄のひとつにしたいと考えていたのに…。あの1本でゲームが決まってしまうこともあるので、これからは絶対にああいうことのないようにしたい。今日から公式戦がスタートするけれど、まだ練習の始まりでフワッと入ってしまうところがある。それが試合にも出てしまっているので、これからはもっと締まった練習をしなくてはいけない。それができないようだと大学選手権の決勝で勝つチームにはなれないですから。次のオックスフォード大戦はとにかく運動量。相手1人に対してワセダは2人、早い動き出しで相手を上回るようなラグビーをしたい。奥さんも見守っていてくれると思うし、いいゲームにしたい。僕も英国遠征で奥さんのお世話になりましたから(2002年2~3月 現役では後藤の他に伊藤雄大、安藤栄次、寺山卓志が参加。23日間、現地で奥さんのお世話に)」


<FWの拘りを訴える副将・桑江崇行>
「今日はFWは拘ろうと言っていたけれど、それができなかった。特にモールのドライブがダメだった。春より中途半端になってしまっている。今日なんかも誰かが声を出せば変われるけれど、春は声を出さなくてもみんな変わることができていた。そこが反省点。FWとBKのバランスがよくなっているのはいいことだけれど、FWが拘りきれなくなっているのはよくない。大きな武器を失っていると思うし、それでは厳しいゲームで勝てないと思う。ただ勝てばいいのではなくて、ワセダはもっと上を目指してますから。今日はとにかく今村と和也。BKがあれだけやってくれるとFWとしては楽です。今村は空いてないのにトライですからね(笑)。和也の周りの使い方もよかったと思う。チーム全体のデキとしてはまぁまぁですけど、まだまだ甘いし、もっと意識高くやっていきたい。オックスフォード大戦は腕の見せ所。FWが自分たちよりも大きい相手に対していかに体を張れるか。FWにとってはやりがいのある相手ですね」

<オックスフォード大戦でのリベンジを誓うNO8佐々木隆道>
「今日は思ったよりいい攻撃ができた。ディフェンスもよかったと思う。試合の最初の方は、みなさんの思っているとおりです…。ディフェンス、アタックとも上出来かなと。ディフェンスは最後の方はいいアップができていたし、後半0点に抑えられたのが1番の収穫ですね。僕自身のプレーは余りよくなかった。相手(対面)どうこうは意識せず、自分のやるべきことを明確に整理して、それだけ考えてプレーしていたけれど、まだまだです。チームの雰囲気は余りよくないなと思っていたけれど、今日はよくできたと思う。ただ、もっと集中してできるだろうし、これからよくなるでしょう。外国人と言えばワセダ。次のオックスフォード大戦は勝ちますよ。一年生のとき僕のせいで勝てなかった(最後のトライチャンスで痛恨のノックオン。大きな経験だったようです…)というのもあるので、来週はチームに流れを持ってこれるようなプレー。タックルだったり、下のボールへの働きかけをしたいです。トライはどうでもいいので。何とか州代表とか、ブルーとか、スゴイ選手と試合ができるので楽しみです」


<抜群の総合力 BKの核として存在感を見せたWTB小吹和也>
「今日は立ち上がりが全然ダメだった。意識の問題もあるだろうし、ミスに対する反応も遅かった。試合前からモロさんがブレイクダウンで押し勝とうと言っていたのに、それができずにああいう展開になってしまった。BKもミスが多く、ポロポロし過ぎた。そこがきちんとできていれば、もっと楽な展開にできたと思う。FWにしんどい思いをさせてしまった。ただ前半で相手のディフェンスがどういうものか分かったし、自分たちがどう対処すればいいかも分かっていたので、後半はみんなで話したとおりの展開。本当は前半のうちに対応しなければいけないけれど、後半はうまく攻められたと思う。今日は甲子郎、勝田とバックスリー組むのは久しぶりだったけど(後半から小吹がFB)、自分に求められていることは分かっているし、それをうまくだせたかなと。外で取れたのもよかった。後半のデキはよかったけれど、来週のオックスフォード戦のことを考えたらもっとやらないとダメ。特に接点。接点でしっかりボールを取って、ボールを早く、大きく動かす。次へ向けてはいかにワセダらしいラグビーができるかが課題ですね。法政相手はやっぱりやりにくいです(ご存知法政二高出身。曰く勉強したいことがあり、ワセダへ進学したそうです)。試合になれば関係ないですけど、みんなにも色々言われますから(笑)。もちろん、今は絶対負けたくないという強い気持ちです」

<2年目の飛躍 レギュラー取りを誓うフランカー東条雄介>
「今日はいい感じで動けていたし、課題のジャッカルもできたし、まぁまぁよかったと思う。決して満足できるプレーではなかったけれど、ある程度やれて自信にもなった。夏はずっとBチームで、自分のイメージするようなプレーができていなかったけれど、東京に帰ってきてからはいい感じできているし、今日試合にも出られてよかった。昨年のこの時期は何もできなかったので、今年はこれからが勝負。ディフェンスとこぼれ球への反応でもっと磨いて、アピールしていきたい。チームとしては外に回したときのミスが多かったけれど、後半はうまく修正できたと思う。FWはみんなすごく強いので、自分はそれについていっただけです(笑)。ただ、コンタクトで勝つには至らないけれど、負けないレベルにまではきたので、あとはフィットネスを上げていければと。これからも、2年のみんなでがんばってチームを盛り上げていきたいです。ここまできたらあとはレギュラーになって日本一になるだけ。試合に出続けられるようにがんばります。久々のCTB(今村交替後は古巣のCTBに)では何もできませんでした…」


<ひとり別次元のプレーで4トライを挙げたCTB今村雄太>
「今日はとにかく夏にやってきたことをだそうと意識していた。外に走れたのはよかったけれど、最初にノックオンをしてしまったり、その後もミスしてしまったのは反省。ああいうプレーをしてしまうとチームが乗れないし、これからの自分の課題です…。夏の途中から練習に復帰して、最初はうまくいかなかったけれど、時間の経過とともに、チームにも馴染めてきたし、コンディションも少しづつ戻ってきた。今日も外に勝負して走れたのはよかった。ただ、まだ周りの声でうごかされているところがあるので、自分から動いて、声を出せるようにしていきたい。昨年よりタックルされても倒れないよう意識して、ウェイトに取り組んできた成果もだせてよかった。昨年は周りに生かされて、いいプレーを引き出してもらっていたので、とにかく今シーズンは自分から考えて、動いて、声出してやっていきたいです。4本目の外に抜けたトライが、イメージしていたものに近くて1番よかったです」

<男はやっぱり政経です!4年生3人の激レアショット>