「今日は関東戦につながるゲームをということだったけれど、タックルも甘かったし、それと正反対のプレーをしてしまった。このままだと危ない…」(主将・佐々木隆道)。関東前ラストマッチにも関わらず顔を覗かせた甘さに緩さ、そして脆さ。南国・宮崎の暑さ(この日はすごかったです…)を受けて一気にヒートアップするはずが、逆に自らの至らなさを痛感する、ちょっぴりお寒い試合となってしまった。
けちのつけ始めは、毎回試合の行く末を暗示してくれるキックオフでの締まりのなさ。蹴り上げられたボールがロックの頭を超えると、相手WTBがドンピシャのタイミングでクリーンキャッチ。そこから自陣深くへ攻め込まれると、最後はFWがゴリゴリに屈し(スクラムから8単→ピックゴー)、開始僅か2分、あっさりと先制トライを奪われた。ファーストプレーこそ、最大集中、絶対に譲れないはず。このワンプレーで再認識させられた『佐々木組』の甘さ―。「もっと試合に臨む体制をきちんと作らなければいけないです…」(副将・青木佑輔)。
永遠のライバル・慶大の意志あるトライにさすがに目を覚まし、この後は、14分モール、17分『矢富イリュージョン』ラインアウト編、27分スケールアップした佐々木隆道のラン、32分再びNewモール、40分『ヨコヅナ』の突き倒しと、スコアこそ順調に重ねたものの、その過程での主導権はむしろ相手のもの。猛烈に飛び出してくるディフェンス、頻発するオフサイド、執拗な倒れ込みに苦しめられ、意図したアタックの遂行はほとんど許されなかった。
「さすがにあれだけ倒れ込まれるとちょっと…」と主将・佐々木隆道も思わず嘆いた様に、無法地帯化した密集戦(後半30分慶大にシンビン…)に選手たちのフラストレーションは、当然のごとくMAX。しかし、それを許さない、させない『激しさ』、『ULTIMATE』こそが、ワセダの目指す境地。ここでも痛感した自らの緩さ―。「まだまだ自分たちは甘いということです」(副将・青木佑輔)…。「あの状況でも自分が捌く。それが『Target2004』」(SH矢富勇毅)…。
慶大の他チームにはない『拘り』に後手後手。更には後半13分に超デンジャラスなタックルを受け、大黒柱・佐々木隆道が負傷退場するなど、チームの土台が一瞬揺らぎかけたものの、「いなくなってからは、やるしかないと無我夢中だった」(フランカー・東条雄介、ゴール前で敵方主将にスーパータックル!)と言う様に、残り10分(だけ?)はようやく南国・宮崎らしい陽気な試合運び。この日2号目の『菅野エクスプレス』(華麗なループを交えた会心のビューティフルトライに場内も拍手喝采!)、ディフェンス3人の間をすり抜ける『野獣』・今村雄太の圧巻トライと、意図したアタック、各人が持ち味をしっかりと発揮し、最後のところだけはきっちり締めた。
次戦・6月25日(土)は、いよいよ「あの」関東学院大との一大決戦。「2週間しっかりといい準備して、試合に臨む」(清宮監督)。「目指すは4タテ。がんばります」(主将・佐々木隆道)。激しさ、拘り、強さ、集中…。チャレンジャー・『赤黒』ワセダに、緩いプレーはもういらない―
<見据えるは2週間後の関東戦 ベストゲームを誓う清宮監督>
「今日は悪いところがたくさん見えた試合。ただダメなところは早いうちに見えた方がいいし、試合を重ねていく中で今のチームの現状、できることとできないことがだいぶ把握できてきた。関東戦まで2週間あるからしっかりといい準備をして、試合に臨みます」
<しばしの戦線離脱 関東学院大戦へ危機感を募らせる主将・佐々木隆道>
「今日は関東戦につながるゲームをということだったけれど、タックルも甘かったし、それと正反対の緩いプレーをしてしまった。ディフェンスのバインドとか基本をしっかりとやっている奴がいなかったし、このまま関東と試合をすると危ない。アタックはブレイクダウンのところでもう少し落ち着いてできれば、もっとトライが取れたはず。仕留めどうこうの話ではなく、フィニッシュの過程でのミスが多かった。ペナルティーすらさせないくらいの激しさが必要なのはもちろんですけど、さすがにあれだけ倒れこまれたら…。でもそれは向こうの気迫に押されたということかもしれません。関東戦は4タテです。がんばります」
<基本プレーの大切さ、Aチームとしての自覚を訴える副将・青木佑輔>
「今日はいいところと悪いところが顕著にでた試合。1番初めのキックオフがなければもっとスンナリといけたはずだし、後半もワセダのリズムのときとそうではないときの差がでてしまった。コミュニケーションもたしかに課題だけど、自分から前に出るとか、それ以前の本当に基本的なところができていないから、もっと試合に臨む体制をきちんと作らないといけない。それぞれがAチームだという自覚を持って、自分がやってやるんだという気持ちでやれれば前にも出られると思う。しっかりと自分たちのやるべきことをやらないと、いつまでたっても成長しないですから。自分は見てただけですけど、得意としているプレーでやられるのは最低(後半26分、ラインアウトモールから失点…)。そのことをもっと厳しく捉えて、やってやるんだという気持ちを持たないとダメです。ブレイクダウンのところは自分たちで改善できる。圧倒するという意味でも、相手に反則すらさせないプレーをしなくてはいけない。それをさせているうちはまだまだ自分たちが甘いということです。関東戦は自分たちの課題をひとつひとつ克服していかないと勝てない。それまでできていないのに、関東戦でいきなりできるなんてことはあり得ないので、この2週間で課題をつめて、克服できるかが大事です」
<自らの至らなさを実感 課題の克服を誓うSH矢富勇毅>
「今日はフラストレーションが溜まる試合だった。相手の手がどんどん出てきていたけど、それでも自分が捌かないとダメです。それができない自分にイライラしました。あの状況でも捌く。そこがワセダの生命線ですし、翔太さんなら捌いていたはずですから。それが『Target2004』。とにかく捌きです。今日は熱さもあるけど、走れていない場面があった。相手の前に出るディフェンスに圧倒されて、後ろでのプレーが多くなってしまったし、そこでミスもしてしまった。やろうとしていたプレーができたところもあったけれど、それ以前にもっとやらなければいけないことがたくさんある。関東戦へ向けては課題が山積みです。まず全員で走る。昨年のチームはミスが少なかったので、同じように少なく。それにディフェンス。今日も1発で倒されている場面があったので、もっとひとりひとりが強いプレーをする。強さがないと関東には太刀打ちできないですから。あとは自分の捌きです」
<ラストに超強烈トライ 激しく強いプレーで関東戦へ挑むCTB今村雄太>
「今日は前に出てくるディフェンスに対してずっと同じペース、同じ感じで攻めてしまった。BKが状況に応じたアタックをしなくてはいけなかったのに、それができていなかった。ディフェンスに関しては、しっかりとアップもできていたし、コミュニケーションもまずまず取れていたと思う。個人的には最後トライを取ったみたいに、タックルが来ても激しくドライブする。毎回そうやってゲインしていかないといけないし、全体としてはもっともっとコミュニケーションを取って、80分集中して、ミスをなくさないといけない。関東戦はとにかく強さ。自分の1対1の強さはもちろん、BK全体が強いプレーをすること。相手も強いですから。そこで絶対に負けないように」