国際交流から始まる第一歩―。いよいよシーズンの開幕を告げる日英対抗・対オックスフォード大戦が目前に迫って参りました。
この週末も「こんななかでラグビーをやっていいのか」という暑さ(上井草移転後MAX?)のなか、鬼の?二部練を敢行。ユニットではとにかくスクラム、全体でも徹底して課題に勤しむ、まさにもがきまくりの毎日です。
オックスフォード大戦はズバリ、「ワセダとしての可能性を計るゲーム」(中竹監督)。スクラム、ラインアウトは、統率の取れたアタックは…。まだまだまだまだ、やらなければならないことは山積みですが、シーズンはもう目の前。主将も復帰。四の五の言わずに、やるしかありません! 必ずやります!
第一歩となる大切な大切なオックスフォード大戦…。
オックスフォードと言えば西岡晃洋!西岡晃洋と言えばオックスフォード! と、いうことで今回は新婚の西岡コーチに「もうひとつの母校」について伺いました。これで17日はバッチリ? 題して、西岡コーチの『教えてオックスフォード!』―
―もうひとつの母校・オックスフォード大が来日、しかも相手はワセダ。やはり特別な感情が沸いてきたりするものでしょうか
やっぱりそういうのはあるよね。今回ももちろんだけど、4年前の上井草こけら落としのときなんかはすごく変な感じがしたし(笑)
―どちらにも肩入れしてしまう、みたいな
そうね。でも4年前のときなんかは、ワセダのOBは周りに一杯いるけど、オックスフォードのOBはいないから、オックスフォードに勝って欲しいって思ってたよ(笑)。威厳を保って欲しいっていうかさ
―ものすごく初歩的な質問ですけど、オックスフォードに留学しようと思われたのは…
そもそもオックスフォードに行けるなんて思ってなかったんだよね(笑)。卒業してからも留学したい、大学院に行きたいという気持ちはあって勉強はしていたんだけど。元々留学したいという気持ちはあったし、変な言い方だけど、三洋(早大卒業後は三洋で活躍されてました)で5年先、10年先が見えてしまっていたから、やれることは今のうちにやっておこうって。それで決断したって感じかな
―いざ留学するとなった後の準備期間も大変だったと思います
まず向こうに行って語学をやって、あとはどういうことを学ぶのか、そのスタイルを勉強したかな。スポーツと教育に関することを学びたいと思っていたから、そのためにはどうすればいいか。それで1年目はロンドン大に入って、そこのコースで勉強して
―最初からいきなりオックスフォードに行ったわけではないんですね
そうそう。大学院に行く前にまず大学に行ってね。それで大学院を受けることになるんだけど、さっきも言ったようにオックスフォードになんて全く受かると思っていなかったから(笑)。でもどこを受けるか決めるときに、当時まだイギリスに残っていた竜二が、「受かるかもしれないからオックスフォードを受けろ」って
※その中竹さんもオックスフォードの街に住み、オックスフォードクラブでラグビーをしていました
―中竹さんのその一言がなければオックスフォードに行ってないかもしれないですね。人生を変えた一言
竜二のその言葉がなかったら行ってなかっただろうね(笑)。あとは奥(克彦)さんにも受けてみろって言って頂いて
―ケンブリッジではなくオックスフォードだったことには、何かあるんですか
自分は社会学教育専攻だったんだけど、その教育社会学というのがオックスフォードにしかなかったんだよね。最初の2ヶ月はそれはそれは大変で、外国人に会うのが嫌だったよ(笑)
―オックスフォードの中でも最難関と言われるカレッジ(オリエルカレッジ)と聞きました。現地の人も「オー」っと言うくらいの
学科によって結構変わったりするんだけどね(笑)。留学生はそれほど多くなくて、イギリス人が多かったかな
―英語は何とかなるもんですか
半年くらいしたら何となく通じてるかなって感じにはなる(笑)。英語はもちろんだけど、勉強は超したね(笑)。完全に勉強メイン。元々ラグビーするつもりなんて全然ない留学だったから
―それでも奥さんの存在もあって、ラグビー部へ
そうね。奥さんが今も監督をしているスティーブに、「すごくいい選手が受けるからすぐにチームに入れてやってくれ」って。だから受かりましたと報告したら、もう次の日から来いって感じで
―オックスフォード大ラグビー部というのは、それぞれのカレッジを代表する選手からなる集団という解釈で間違いないですか
そんな感じだね。カレッジごとにごとにチームがあるんだけど、その中でいい選手が本隊に集まってくる。当然学問も専攻もみんなバラバラ。序列としては本隊が1番で、その一軍がBlues。勉強が最優先だから、中にはあえて参加しない人もいたけど
―毎年初めて集まるのはこの時期と聞いています
うん。この遠征がチームのスタート。毎年この時期にどこかへ遠征してチームをスタートさせるんだよね。自分のときはイタリアだったかな
―イタリア、最高ですね
まぁ、自分はそのメンバーに入れなかったんだけどね(笑)。一軍に入るのは本当に大変だった(笑)。当時はまだ国の代表が4人くらいいたし、他にもイングランド学生代表の選手がいたりしたから。そういう奴は卒業してからプロに行くのが多かったね。半分くらいはそういうレベルの選手だったかな。もちろんビジネスの世界に行くトッププレーヤーもたくさんいたけど。一昨年日本に来たフランカーは、その後バーシティマッチでMVP取って、ゴールドマンサックスに行った。ラグビー続けるかと思っていたけど
本当にバラバラだね。自分のときもキャプテンは31かな。他にも32歳とか。今年もジョー・ロフ(ワラビーズで一時代を築いたものすんごい選手です。今村対ジョー・ロフ、五郎丸対ジョー・ロフは必見です!)がいるし(笑)。そういう選手はみんな勉強したくて入ってくる。やっぱりオックスフォードで学位を取ると英語圏では箔がつくみたいで
―めちゃくちゃ勉強したということですが、練習はどの程度あるのでしょうか
日曜と木曜が休みで週5日。勉強はもちろん厳しくて、みんなすごくしているんだけど、ブルー取りたい奴はうまくやりくりしてしっかりと練習に来ていた。そこらへんはワセダと一緒。成績が悪かったら参加できないとか、そういう規定はラグビー部自体になかったかな。そもそも勉強しない奴なんていないから(笑)
―もうケンブリッジに勝つことがすべてですか
本当にそれがすべてだね。もうそのためだけにやっていく。それまでの期間、1軍はプロの1,5軍なんかとひたすら試合をしていくんだけど、そういうすべてのスケジューリングはケンブリッジに勝つためのもので。本当に特別な試合。バーシティマッチが終わったらみんな試験に集中、勉強ばかりするようになる(笑)。自分のときは人気が落ちている途中だったけど、それでも6万人入ったのかな。一部の新聞には「内容はつまらない」と言われたりするんだけど、とにかくお互い勝つことが一番だし、見ている人もそれを分かっているからね
―バーシティマッチのメンバーに入ると、どのようなことが起こるのでしょうか
1番はレセプションかな。試合の3日前くらいに、大学の1番偉い人のところに呼ばれてパーティーしたり。最後の一週間はもう全然雰囲気が違う。テンションも上がるし、すごかったよ
試合前にやる特別な儀式みたいなものはないよ。みんなで手を合わせて掛け声とかはあるけど
―バーシティマッチでの勝ち負けは一生引きずるものでしょうか
引きずるね(笑)。そのへんはもうワセダと完全に一緒だよ
―出場し、ブルーの称号を得た日には人生変わりそうです
たぶん変わるんだろうね(笑)。ステータスがすごいから
※西岡さんはリザーブ入り。ワセダとして誇るべき、かなりすごいことです。メンバー入りした者にしか送られない記念品もズラリ…。
―そういったものは日本にはないというか、理解できないような感じです
そういう感じはあるだろうね
―オックスフォードの中でワセダはどういう認識なのでしょうか。こけら落としで対戦した際には、何人かの学生代表選手が「是非ワセダでプレーしたい」と言ってくれました
日本に対してはすごくいい印象を持っていると思うよ。ワセダのことはみんな知っているし、しっかりと認識されている。みんな飲むのが大好きなんだよね(笑)。ワセダと試合したあとは毎回一緒に居酒屋に行ったりするけど、ああいうのは珍しいというか、向こうはパブかクラブしかないから
※毎回試合後には4年生がおもてなし。壮絶な戦いが…
―前回対戦時には悲願の初勝利も挙げました。残るはワセダからのブルー。いつか成し遂げたい夢です
本当にそうだね。誰かに取って欲しい。人生経験としては最高のものだからさ。ラグビーのためだけに行くのであれば、オーストラリアとかに行った方がいいけど、オックスフォード、ケンブリッジでしか経験できないものがあるし。今のワセダのレベルであれば絶対に通用する
―今回のオックスフォード、ワセダにしか得られない極秘情報はありますか
んー、ないね(笑)。もう知ってる人もほとんどいないし、監督変わってないなぁって思ったくらいだから(笑)。個人的な理想は僅差でワセダが勝つこと(笑)。オックスフォードにはいいプレーを見せて欲しいというか、さっきも言った威厳を見せて欲しいなって。さすが違うねってというところを。お互いが高いレベルの試合をして、その中でワセダが勝てたら最高。彼らの言い訳を聞くのが今から楽しみだね(笑)
―プライド、相当高いですか
もう、めちゃくちゃ高いよ(笑)。1年目の奴とかでもすごく高い。自分が行っているときも、明らかにそいつか悪いのに「今のはお前のせいだ」とか、よく言われてたよ(笑)
―オックスフォード戦といえば、『奥克彦メモリアルマッチ』。今回は銘打ってはいないですが、いつまでも忘れてはいけないものです
そうだね。今の現役はもうほとんど知らないと思うけど、自分はものすごくお世話になったし、オックスフォードと聞くたびに奥さんのことを思い出すから。今回もいい試合をしないとね
<早大上井草グラウンドにて オックスフォード大戦を前に>