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対青山学院大 テーマ『責任と信頼』―


 2006年9月24日、対抗戦がついに開幕。チームに1本芯の通った『東条組』は、その強い絆で、力強く『荒ぶる』への第一歩を踏み出した。そこにもたらされた大きな変化…。「今日はみんなで『責任と信頼』ということをずっと言い続けてました。ワセダが日本一になるために、それぞれが自分の『責任』を果たす。夏以降そこに懸けてやってきて、今日もプレー中からずっとその言葉を口にしてたんです」(SH三井大祐)。テーマ『責任と信頼』―。
 まずはそれぞれが自分の責任を果たす…。互いにするべきことを明確にし合った誇り高き『赤黒』は、開始から一気のラッシュ。これまでの鬱憤、乗り切れなかったモヤモヤを吹き飛ばすように、これでもかとトライを量産した。その中心は紛れもなく、矢富勇毅、曽我部佳憲の『劇場型』HB団。オックスフォード大戦の反省から、「いかんとこと決めてた」SH矢富が長いパスで展開に徹すれば、「外からのコールに助けられた」と言うSO曽我部もピンポイントスーパーパスを連発。「まだまだですけど、曽我部とふたりである程度ゲームを作れた。練習でやってきたことが出せたかなと…」(SH矢富)。久方ぶりに見られたワセダらしい『高速』展開は、美しさ満点だった。
 実は曽我部が口にした、この「外からコール」こそが、この日最大の収穫。「昨年、今年の春はできていて、その後なかなかできたなかったけれど、ようやく。学生の間でもなぜその声が出せないのかということを詰めてきた」(中竹監督)。BKが突き抜けられなかった要因のひとつが、外からのコール不足。今どういう状況で、自分はどうもらいたいのか―。「俺のとこまで!」。場内騒然、SO曽我部が見せた3人飛ばしのラストパスは、WTB菅野が発したコールによって生み出さたものだった。「みんないい声を出してくれた。練習の成果です。パスは僕の判断ではなくて、外の声に反応したもの。そこはずっと言ってきたことですから。CTB、外の声、大事です…」(SO曽我部)。
 そして、後半は有事に備え、開始からWTBに矢富(お疲れモードも超イリュージョンで3トライ!)、残り20分からはインサイドCTBに曽我部を入れる布陣をテスト。備えあれば憂いなし? FWもロック権丈太郎(『決意』漲る暴れっぷり!)、プロップ瀧澤直(BKもブッちぎる独走トライ!後半16分に見せた、ディフェンスのアップ→SOを捕まえる→倒す→そのままひとりでオーバー→こぼれ球を拾って矢富がトライは、この日のベストプレー!!!)を中心に見せ場十分で、チーム一丸、まずは幸先のいいスタートを切った。
 思えば、この5年間も常に胸に秘め戦ってきた『責任と信頼』―。清宮前監督もことあるごとに口にしていた。「まずはそれぞれが自分たちの責任を果たせ。そうすることで他の14人、スタンドで見ている仲間の信頼を勝ち取ることができる」。「上のチームの奴らが、下のチームの人間に、何でこんなプレーしてるの?って思われるようでは、そのチームはお終いだからね」…。『東条組』にも強く芽生えた『責任と信頼』。「これからもこの気持ちで戦っていこう。毎試合、笑顔でみんなと会えるように。絶対に優勝しようぜ」(中竹監督)。「みんなやっとやるべきことができるようになってきた」(東条主将)。監督・中竹竜二、主将・東条雄介、そして頼もしき仲間たち。‘06-07『新生ワセダ』に、もう「停滞」の言葉はいらない―


<素晴らしき2日間! 対抗戦完封発進に手応えを感じる中竹監督>
「対抗戦の初戦、シーズンへのステップとして今日はいい試合だった。連続してトライを取ることができたし、前半は特によかった。ただ、連続してトライを取るための必須条件、キックオフに関してはまだ修正していかなくてはいけない。BKは外に展開することが多くなるので、大外でのブレイクダウンが課題になる。今日はよく取れていたけれど、まだいくつかタッチに出る場面もあったので、そこはもう少し継続してやっていきたい。後半については、キックを蹴った後、ターンオーバーしていたところは評価できる。あれだけ攻めた割にはミスも少なかった。もう少しミスが出るかと思っていたけれど、みんなよくやってくれた。後半の布陣に関しては、三井はゲームのテンポを作れるプレーヤーだし、WTBに矢富を入れて、前に出る力に期待した。テストとしてはまぁよかった。これからもこのチームの可能性を計るテストをしていきたい。最初にしてはよかった。最後の20分試した曽我部のインサイドCTBも可能性としてはある。ボールをたくさん動かしたいし、それをCTBからできたらおもしろいかなと。FWは練習してきたことが試合で出せるようになってきた。サイドアタック、セットからの走りこみ、いい場面がいくつかあった。瀧澤のランも今年なかなか見られなかったけれど、ようやく戻ってきた。BKも曽我部の判断ではなく、外からのコールでトライすることできた。これはものすごい収穫。昨年、今年の春はできていて、その後なかなかできたなかったけれど、ようやく。ここは進化。そもそも春以降は外が空くことがなかったというのもあるし、学生の間でもなぜその声が出せないのかということを詰めてきた。今日は最初からその声が出せたのは大きい。あとは後半など、FWが疲れてきたときにリズムをどう掴んでいくか。停滞したらどうするか。慌てずに立て直せるか。これまではテンポを上げることを主にやっていたので、これからはいかに自分たちの力で変えるか。相手がどこであろうと課題は自分たちのなかにあって、それを克服するために相手がいて、試合がある。対抗戦序盤の過ごし方は別に難しくないです。選手たちもそう切り替えられているし、彼らにはその力がありますから。この週末は、すばらしい2日間だった。学生たちもだいぶやりたいラグビーを体現できるようになってきたね」


<主将、バイスに替わり途中からゲームキャプテンを務めた三井大祐>

「今日は対抗戦最初の試合、いい形でシーズンに入ろうとみんなで話してました。今中竹さんが言われた連続トライもそうですけど、自分たちの間では『責任と信頼』ということをずっと言い続けて。ワセダが日本一になるために、それぞれが自分の責任を果たす。夏以降そこに懸けてやってきて、今日もプレー中からずっとその言葉を口にしてました。点数をたくさん取ると、どうしても切れてしまうようなところがありますけど、今日はそのふたつを口にし続けることで、切れなかったし、試合にもいい入りができたと思う。課題は連続トライを取るためのキックオフ。そこはまだまだ修正しないといけない。外には五郎丸、今村など、いい選手がたくさんいるので、そこにいい球を供給できれば、もっともっと面白いラグビーができると思う。最後の場面ですか?、あれは五郎丸さんに言われて外に出しました(笑)」

※ 東条の欠場、後藤彰友の体調不良により、試合後の会見には三井が出席


<改めてパス命! 後半WTBもSHとしての自分を見つめ直す矢富勇毅>
「結構しんどかったです…。今日はもう自分でいかんとこって決めてました。とにかく1本も行かずに、捌いてリズムを出そうと。チーム全体としても、練習でやってきたことが出せたかなと。まだまだですけど、曽我部とふたりである程度ゲームは作れた。いい感じだとは思います。FWが走ってランナーにたくさん入ることで、自分が捌くときの選択肢が増える。そこはずっと練習でやってきたことです。ブレイクダウンに関しては、相手が相手だけに苦労せずに球が出せましたけど、ここはもっと精度を上げて、もっと激しさ、強さを出していかないとダメですね…。BKもミスは少なかったですけど、もっと取れるところでしっかり取れるように。ディフェンスも何本か危ないところがあった。もっともっと個のタックルは追及できる。後半からやったWTBは、もしものときに備えてですね。WTBホンマしんどかったです。SHやった後はさすがに(笑)。今日で改めて自分の本職はSHだと思いました。(前田)隆介さんが要所要所で自分にアドバイスをしてくれて、今日もそれを聞きながらやったらいいプレーができた。SHコーチの存在は自分にとってすごく大きいです。あとはとにかくパスですね。まだまだ追求できる。今日で改めて思いを強くしました。本気でSHを追求します」


<スーパーパス連発! ノビノビとフィールドを駆け回ったSO曽我部佳憲>
「今日は外からのコールに助けられました。菅野、後半の谷口、五郎も、みんないい声を出してくれた。練習の成果です。パスは僕の判断ではなくて、外の声に反応して。そこはずっと言ってきたことですから。CTB、外の声は大事です。今日はいいイメージでできた。先週の練習では色々とありましたけど、よかったです。キックですか?、もうペナルティーは岳人で(笑)。他のキックに集中できたのがよかったんだと思います。その後のサインも出しやすいですから。今日はFWがすごくがんばってくれた。いつも迷惑ばかり掛けてきたので、本当によかったです。今までに比べたらいい試合ができました。今年はホントちょっとずつでいいので、1試合1試合成長していきたい。夏、オックスフォード戦を経て、また次のステージに進めたと思います。今日でまたチームは変わったと思う。昨年みたいに強くわけではないので、1日1日ちょっとずつよくなっていく。本当にちょっとずつでもいいので。今の段階で昨年の最後を想像されたら困りますから。来週からフィットネス強化期間?、僕は別に嫌いではないので(笑)。最終学年ですし、毎日いきますよ。今日はいい感じのスピーディーなラグビーができた。この調子でいきたいです」


<久々の爆走で『極賞』! フィールドプレーで見せまくったプロップ瀧澤直>
「今日はタイトなゲームではなかったので、まぁ…。きつい試合でできないと意味がない。この試合でできたかできないかは、さほど大事なことではないです。きついときにこそやれよって話です。ディフェンスですか?、あれは後藤さんにずっと言われてきたことですから。あそこはフロントが行くべきところ、練習からああいうイメージ。今日はそのイメージどおりにできた。今日はFWがランナーとしてボールをもらうことも多かったですけど、そういうところは豊田なんかがうまいし、権丈さんも強いので、自分も見習っていかないといけないです。今日は数少ない人数でずっと球が出続けてましたけど、強いところが相手だとああは出ない。スイープのところはまだまだですね。今日も相手に合わせてしまってましたから。BKがトライを取ってくれるし、FWはセットを安定させて、しっかりとボールさえ供給できれば、やってくれると信じてます。今日もいいイメージでできました。昨年はベンチでずっと見てるだけ。それはそれでいい経験にはなりましたけど、今年こそはです。自分にとってもタイトなゲームが多くなると思いますけど、また今日みたいなイメージで自分の持ち味を出せるようにがんばります。やってくれる人は他にもたくさんいますし、トライ取ってくれる人もたくさんいる。自分は自分のやれることをしっかりとやっていきます」

<外からのコール!曽我部からのパスを受けトライを挙げるWTB菅野朋幸>