「今年はブレないチームを目指してきたんだろ。本気になれ。ここで本気になれないような集団には、絶対に次はないからな!」(中竹監督)―。第45回日本選手権がようやく開幕。常に全力、オールアウト、決してブレない『権丈組』は、風にも負ケズ、砂にも負ケズ、その芯の強さ(太さ)を見せ付けた。
日本一へのファーストステップは久々のゲームということもあり、全体的にちょっとマッタリ。心と体のギャップ、目の前に立ちはだかる特殊な相手、時間とスペースを消しにくる戦術は十分に織り込み済みも、やはり100%意のままに~とはいかなかった。何となく、いや、確実にゲームは支配していても、要所でのミス、ちょっとずつの感覚のズレ。何とも言えぬ秩父宮の静けさ…。ん~、これは大学チャンピオンとクラブチャンピオンの戦いの宿命か…。「今日は久しぶりのゲームということで、うまくいかないことがあるだろうと想定はしてたんですけど…。自分たちが1年間やってきたのはブレイクダウンとアップするディフェンス。とにかくそこだけはしっかりとやろうって」(SH三井大祐)。
そんなビミョーな空気(天候も?)のなかでも、最終的にしっかりスコアも伸ばし、信念の完封まで達成できたのは、リアルに100%だったかは別にして、『本気』になろうという強固な意志、そして何よりこの1年の歩みが確固たるものであったから。ディフェンスは日本で1番前へ。アタックは接点のその先へ『Penetrate』。常に拘りを持ち続ける。「今日は再スタート。このチームの原点を思い出そうということで、マッチスローガンを『Penetrate』にした。学生たちの様子を見て想像していたのより、ずっとずっといいゲームだったね。すごく評価できる」(中竹監督)。タックル、コンタクト、ブレイクダウン、一糸乱れぬ統率力…。もちろん、打倒・トップリーグを考えたときには物足りなさは残るものの、置かれた状況を鑑みるに、その満足度は決して低くはなかった。いかなるときも結果を残す。勝ち続ける。外から見るとフラストレーションが溜まったかもしれないものの、ある意味『中竹ワセダ』の真骨頂だった。
決して組みやすくはない相手・タマリバ(ファンクションでの先輩・桑江主将の挨拶にはみなグッときたはず…)を乗り越え、次戦3月1日はいよいよ待ちに待ったトップリーグ上位とのガチンコ勝負。就任以来、中竹監督が常に口にしてきた言葉が、「小さな者が、力の劣る者がいかにして巨人たちに勝つか」。それはすなわちワセダの歴史であり、アイデンティティ。『権丈組』の、ワセダとしての、真価が問われる試合。ハイリスク・ハイリターンの真っ向勝負、玉砕も覚悟で自分たちを貫くのか。ローリスク・ローリターン、数多のチームがそうしてきたように時間とスペースを消しにいくのか。はたまた実は普通に通用してしまうのか…。監督・中竹竜二、主将・権丈太郎、ワセダ133人最大のチャレンジ。「3つの日本一で勝負。勝っても『奇跡の勝利』だとは言わせない戦いをします。本気で勝ちにいく」(中竹監督)…。そして、我等がスキッパーには、一点の曇りもなし。「僕はトップリーグに勝てると、信じてますよ。そこに間違いないです」―。
<ビッグサプライズ?緊急招集?試合後あのJKがファンクションへ!>
試合後のファンクションに何とあのジョン・カーワンが登場。学生たちは冗談半分に「誰か追加召集されるんじゃねぇ?誰?誰?」と色めきたちましたが…、目的は先日発表されたATQスコッドの面々との顔合わせ(プラス来年6月のU20への協力願い)と、固い契りを交わすことでした。「元気にしてる?」「一緒にがんばろう!」。オーラがありながらも気さくな雰囲気のJKに学生たちも一気に心酔。ひとりも多く、ワセダからジャパンに! ちなみにJKは中田英里のことが気になったようで、「ラストイヤー?」(JK)。「ノ、ファーストイヤー」(中田)。「ホントに?ハウトール?タイジュウは?」(JK)。「ワンハンドレッドナインティスリー。ジャストワンハンドレッド」(中田)。てな具合に学年、身長、体重、はてはベンチの数値まで、すごい勢いで話をしてました。ラグビー界の至宝なのだと改めて実感…。中田英里は将来ジャパン? その期待に応えなきゃ!
<打倒・トップリーグへ 3つの日本一で勝利を誓う中竹監督>
「大学選手権決勝からかなりの時間がたち、宮古島での合宿を経て今日の試合に臨んだ。宮古島合宿は賛否両論色々とあったけれど、今日はしっかりとその成果が出ていたと思う。試験期間もあったし、色々と考えてくるタマリバとやるとグダグダな展開になることが多い。そういう意味では、今日は次に繋がるいいゲームだったと思う。試合に臨むにあたってのテーマは、『Penetrate』。再スタート、原点、この1年やってきたこと。タマリバはディフェンスで出てこないので、どんどん自分たちから行こうと。1本目などは非常にいいトライだった。前半スコアが停滞したのは、ラインアウト、モールで桑江に色々とやられていたから。後半しっかりと修正してボールを動かしたのは評価できる。次はまだ相手が決まっていなくて、ターゲットを絞れない状況だけれど、大会前からこの仕組みを見て用意できることは、チームの1番の強みを磨くことしかない。それは3つあって、1つは日本一前に出るディフェンス。タックル力や精度などを見ていけば色々あるんでしょうけど、前に出る勢い、プレッシャーはトップリーグを含めても、日本で1番だというところを見せたい。そして2つ目は動き出し、反応のスピード、セービング。これも日本一。大きな相手にそこを見せる。3つ目は、戦術に関わってくる部分なので今の段階では言えないけれど、次しっかり見て頂きたい。「ワセダ奇跡の勝利!」とは言わせない戦いをします。今日は思っていた以上にいいゲームだった。本当に宮古島合宿の成果だね」
<信念の男! 打倒・トップリーグを信じきる主将・権丈太郎>
「今日のゲームを迎えるにあたって、『権丈組』のやってきたことをすべて出そうと準備してきました。4年生にとってはワセダで残された時間は本当に僅かしかない。後悔しないようにと毎日を全力でやってきた。今日はちょっと難しいゲームではありましたけど、自分たちの持ち味がしっかり出て、いい試合だったと思います。ただ、ディフェンスは最後前に出れていなかったなと。それではトップリーグ相手だとすべてゲインされてしまうイメージなので、しっかりと修正したいです。自分たちは失うものは何もない。トップリーグは勝てるだろうって感じで来ると思うので、最後までタックルでブッ刺さりまくって、一泡吹かせたいです。今日のテーマにあったとおり、みな本気になれたと思います。もうファーストからガツガツ行こうって。それでこういう結果になったんだと思います。やる前は、実際に試合にならないと分からないことがたくさんありましたけど、そんななかでターンオーバーからのトライもいくつかあって、よかったです。ブレイクダウンに関しては、アタックでのボールキャリアの責任、2人目、3人目の責任、色々あってイマイチという感じでした。テンポはあまりよくなかった。やっぱりいいテンポで出たときはトライになっているので、次までにそこはしっかりと詰めていきたいです。明日にならないと相手は分からないですし、分析もそんなにできないですけど、この1年やってきたこと、自分たちの武器を貫いて、後悔のないように、できることはすべてやって試合に臨みます。僕はトップリーグに勝てると、信じてますよ。間違いないです」
<お互いを裏切らないこと!次戦への強い決意を口にする副将・畠山健介>
「正直、今日は全然です…。後半ゴール前でのスクラムを押し切れなかったことを筆頭に、僕個人としては全体的に納得のいかない試合でした。ただチームとしては、試合中にしっかりと修正して0に抑え、取るべきところで取って、自分たちの強みも出せたのでいいゲームだったとは思います。しっかりと次に繋がる試合。全体的に相手が近場に拘ってきて、なかなかゲームが動かなかったですけど、こちらの反応が上回っていたので、まったく怖さはありませんでした。合宿を経て、意識高くできたことが、次に繋がっていくというか、よかったんだと思います。対トップリーグに向けては、もう出し惜しみすることなく、今年やってきたことをすべて出すだけです。全力でそれをぶつける。ポイントとなるのはやっぱりセットとブレイクダウン。みんな信じてると思います。今年1年やってきたことは、スクラム、ラインアウトで優位に立つのが前提。BKはFWのことを信じてくれてるでしょうし、逆に僕たちFWもいい球を出せばと信じてます。お互いを裏切らないこと。すべてをぶつけます」
<オールアウト! トップリーグとの戦いにすべてを懸ける副将・五郎丸歩>
「今日のゲームは…、何て言うんでしょう、久々のゲームでボールキャリアのところにちょっと問題がありましたけど、まぁその部分はすぐに直せるだろうなというところです。何よりも0に抑えたことが次に繋がるゲームだったと思います。キャリアについては、立ってラグビーをしようという意識が裏目に出たという感じです。行きすぎだったり、逆に暴れ方が足りなかったり。テーマに本気になれるかというのがありましたけど…、みんなしっかりと試合モードになれていると思います。トライの取り方も久々のゲームにしてはよかったですから。ただ、ブレイクダウンに関しては、やはりまだまだだなと。今日はゲームが動かないなかで、FWがいく場面が多く、BKは少なかったですけど。次はとにかく個人としては、悔いの残らない試合にしたいと思ってます。ポイントになるのはやっぱり低いプレー。ディフェンスにしろ、アタックにしろ、いかに低くプレーできるか。毎週意識高く練習できてきたので、それに来週はプラスα、トップリーグを意識していけば、もっともっとよくなっていくと思います。今日は風がすごかったですね。気になったというか、前半の最後は埃が舞って目が痛かったです(笑)」
<日本一の捌きを!『権丈組』最高の戦いを誓うSH三井大祐>
「今日は久しぶりのゲームということで、うまくいかないことがあるだろうと想定はしてました。そのなかで、自分たちが1年間やってきたのはブレイクダウンとアップするディフェンス。そこだけはしっかりとやろうと。前半はブレイクダウンのところで、1人目が絡まれて、2人目、3人目の寄りが遅くて、いい球が出なかったですけど、後半はしっかりと修正して球を動かせたと思います。ディフェンスに関しては、相手のSOの間合いに合わせてしまって、やるべきことができてなかったのかなと…。全体としては、ブレイクダウンが甘かったというのが正直な気持ちです。トップリーグ相手には、そこをしっかりしないと継続できないですから。今日は試合前の円陣での権丈の言葉に、負けたら終わりだぞというのがあって、そのとき、まだまだこのチームでラグビーがしたいって。それで気持ちも入りました、8割くらい(笑)。次の試合はもう最後だというつもりで、ワセダで培ってきたこと、この1年やってきたことをすべて出し切って、後悔のない戦いをします。ポイントはアップディフェンス。接点でいかに戦うかです」
<次戦のキーマン?日本一のアップディフェンスを宣言するCTB田邊秀樹>
「自分としてはしっかりとゲーム前に考えて、気持ちを作って、モチベーション高くやったつもりだったんですけど、いざ試合が始まると気持ちの入ったプレーができず、不満の残る試合となってしまいました…。チームとしては、テーマに日本一前に出るディフェンス、エリアマネジメントというのがあったんですけど、しっかりと前で止めることができてましたし、敵陣で8割できてましたし、まぁよかったのかなという感じです。ただ、後半は攻められていたところがあったので、そこでどう奪い返して切り返すのか。課題になると思います。ともかく、ブレイクダウンは試合を通してよくなかったので、このままだとトップリーグ相手にはきついです。自分を筆頭に、考え直します。アタックについては、久々のゲームにしては何本かいい形で取れたと思います。後半などはいいテンポで繋がってましたけど、その前の部分、ボールキャリアが行き過ぎてしまっていたり、細かいところは直すべき部分がたくさんあったので、そこを修正すればもっといいラグビーができる。次のトップリーグとの戦いは、チームとして日本一前に出るディフェンス。その象徴として、まず僕が1番前に出てタックルして、チームを引っ張ります。久々のFB(五郎丸交代後は最後尾にポジションチェンジ)は…、思っていた以上に忘れてないなという感じでした(笑)。やれと言われればいつでもできるなと。まぁでも、FBにしろCTBにしろ五郎さんがいないときのゲームメークが課題なので、ポジションがどうとかではなく、その部分を突き詰めていかないといけないです」
<本日の『ベストペネトレーター』覺來弦 プレッシャー懸けまくってます!>