屈辱…。ファーストゲームのキックオフ直前、どこからかご老人が近づいてきて、円陣を組まんとするワセダに向かってしゃべり出した。「こんな試合でケガしないように。気をつけて」。ん?誰だ?今の…。しかも「こんな試合」って…。たしかに豊田将万も、チーム屈指のスピードスターも、ジャージーを着ていない。けど、ワセダにとっては、この日選抜されたベスト12にとっては、大きな大きなファーストステップ。火がついた。想いはひとつだった。「絶対に勝ち進む」。「ワセダたる所以を見せる」―。しかし…
強い意気込みとは裏腹にワセダは明らかに経験不足。クボタ戦。ディフェンスからのターンオーバー×2、セットからの計画的な崩し(村田大志!)で立て続けに3トライを取るも、1つのミスをキッカケに、チームはガタガタと崩れ始めた。後半ファースト。キャプテン・岸本大路が渾身のチェンジアングルで裏へ。フォローについた村田大志に渡ればトライ!完全に勝負アリ!誰もがそう思った瞬間、まさかのノックオン(花道が見えすぎた?)…。このプレーを境に外国人選手に走られ出し、瞬く間に勝ちゲームを失った。「セブンズだから、ゲインしても取りきれなかったら逆に取られるし、ああいうことは十分にある。後半しょっぱなのプレーがすべて…」(監督・山本裕司)
このノックオンはちょっと残念だったものの、赤黒デビューを果たしたこの日の村田大志は、ワクワク感満点。希望の光。大きなストライドに抜群のスピード。そして一通り兼ね備わるスキル(ちなみに成績も抜群!)。今年は来るか!? ルーキーイヤーはケガで出遅れたものの、輝きまくった同期たちに負けない素質を見せ付けた。
この大逆転負けで気落ちしたのか、続くコンソレーション1回戦は完全に不発。「自分が自分がという感じになって寄ってきてしまったり、周りが見えてなかったり…」(キャプテン・岸本大路)。YCACが見せた世界のセブンズからは程遠い、まるで15人制かのような戦いぶりは、経験のなさが痛いほどに表れていた。目の前を口笛を吹きながら軽やかに通り過ぎていく大東…。そのとき赤黒は何を思ったか…。『豊田組』で一番初めに悔しさを味わった12人の男たち。リベンジ必達!
<選手の成長には手応えも敗戦に悔しさを滲ませる山本裕司監督>
「結果はすべて監督の責任です…。けど、選手たちひとりひとりの成長は垣間見れたし、次に繋がる大会であったとは思う。1試合目の敗戦、あの展開からの敗戦は確かに痛かったけれど、これはセブンズだから、ゲインしても取りきれなかったら逆に取られるし、ああいうことは十分にある。後半しょっぱなのプレーがすべて。それに2試合を通して、後半1分を過ぎたあたりから極端にフィットネスと集中力が落ちてしまった。そこはセブンズへの準備が足りなかったのかなと。でも…、勝ちたかった。今の時期はどのチームもウェートばかりで、条件は一緒だから。今日は勝つことができなかったけれど、15人制であれば素晴らしいプレーもたくさんあった。この大会に出たメンバーには、それをこれからに生かしていって欲しい。あとはセブンズを楽しむ心のゆとりも普段から持って欲しいなと。色々なチーム、色々な選手と戦えるいい機会。それを得られたことはすごく貴重な経験だという意識を持って。東日本大学セブンズ(5月5日@秩父宮)でリベンジ。一瞬たりとも気の抜けていないゲームだったことは、監督としては嬉しく思ったし、目の前を口笛を吹きながら歩いていった大東には絶対に勝ちたい、勝たなくてはいけないと思った」
<キャプテンとしてチームの経験不足を痛感する岸本大路>
「まず連敗してしまったことは残念ですし、すごく悔しいです。メンバーに4年生は僕だけ、このチームはまだまだ変わっていけると思うので、東日本セブンズでは優勝を狙いたいと思ってます。今日は経験が足りませんでした…。練習を始めたのは1週間前でしたし、セブンズ経験者も僕、櫻井、井上の3人だけ。ブレイクダウンなど、全然負けてはいなかったですけど、セブンズの経験が足りなかったなと。1試合目はリードして、いい形で進められていたんですけど…。2試合目に顕著でしたけど、自分が自分がという感じになって寄ってきてしまったり、周りが見えてなかったりとか、そういう部分です。このなかで昨年Aで試合に出た経験があるのは、櫻井、井上、中村だけ。今日のこの悔しさをバネに、このメンバーからひとりも多くAで出られるようになればと思います。個人としては、大学選手権決勝のピッチにたって『荒ぶる』を歌うことが最終的な目標ですけど、その前に1日1日出し切っていきます」
1回戦 対クボタ 15-21(前半15-0、後半0-21)
トライ:村田2、井上
コンソレーション1回戦 対大東大 7-19(前半7-5、後半0-14)
トライ:飯田 ゴール飯田1
<がんばれ新一年生!ただ今新人練真っ盛り!>
春は出発の季節。我等が聖地・上井草でも、およそ30名の新1年生たちが日々新人練に励んでいます。花園を沸かせたあのリーダーに親子鷹。大半を占める一般入試組みにも、気合いの一浪からハンドボールU19日本代表と多士済々。ただ今、ワセダとは何ぞやを勉強中…。4月26日(土)の入部式まで、がんばれ新一年生!!!