まさに暗黒の日曜日…。あの新潟の悪夢再び…。失意のノーサイド。何かが起こる、不思議な力を持つと言われる小瀬スポーツ公園陸上競技場に、赤黒ジャージーは力なく崩れ落ちた。首位独走のレッズもガンバもなかなか勝てない、これがよく聞く『小瀬力』か。いやいや、これが今のワセダの実力。「今はこんなもんじゃないかということ。ただ力負けということではなく、力はあってもそれを出せない。自分たちに負けていた。みんな心のどこかで、まだまだやれると思いながらやっていたはず。でも、それは力がないのと同じこと。これからやることはたくさんあるなと」(中竹監督)―。
慶應との戦いは理屈じゃねぇ、激しさ、貪欲さを持ったチームが勝つ!そう頭では分かっていても、この日のワセダはまったくもっていいとこなし。生命線、かつチームを支えてきたはずの動き出し、反応で完全に慶應を下回り、接点、2人目のインパクト等々、勝ってる要素はひとつもなかった。「練習での課題がそのまま出た。やっぱり練習でできないことは試合でもできないということ。毎日毎日がヌルいです。みんなヌルいんですけど、僕たちリーダーが熱くなって、毎日ケンカするくらい、自分たちのやれることをやっていかなくてはいけないと思います…」(フランカー・上田一貴)。それでいいのかワセダ大学!ちょっと意味は違うけど…、すべての道は上井草に通ず。
さらに、前半の40分を捨てるハメになったセットの不安定さはちょっと考えもの。スクラムはヒットで受け、1番に喰い込まれ(後半は持ち直し)、レッグドライブ・第二波に圧倒される → 組み直しor ペナルティ。ラインアウトも意思疎通なく(テンパった?)チャンスどころでミス連発。「慶應はこの試合が決勝のつもりで来ていて、認めたくはないけれど、ワセダはもうその部分で負けていた…。テーマとして挙げてもらったことが何一つできませんでした」(副将・瀧澤直)。そりゃ勝てませんわのドタバタ劇には、ワセダらしさの欠片もなかった。
「赤黒を着ているならチームのためにプレーしよう。何もしてないだろ!」の檄を受けた後半、少しだけ持ち直し、一瞬で逆転に成功したものの、時既に遅しとも言うべきか、大勢に変化なし。ここまでくるとさすがに流れは引き戻せない? 16分、ハイパンオフサイドからのハリーで再逆転を許す(あの状況、タイミングでやられると止めるのは相当キツイ?)と、もう返す力は残ってなかった。メンバーを次々入れ替え、必死の抵抗を見せるも、ラインアウトミス→ペナルティ→そしてまたペナルティ。ウラに出てトライ!というところでミス→そしてペナルティ。残り5分も猛烈に攻め込みながら、必要以上にFWに拘り、最後はミスで終戦した。「あの場面はFWの拘りというよりも、時間と点でBKに回すのが怖かったです。FWでいってやるんだという拘りだったと言えば、そうなのかもしれませんけど、ボールを下げるのは怖いという意識があって…」(副将・瀧澤直)。こんなシチュエーションこそ、練習している『Dynamic Challege』ではなかったか。あの押し込んでいるタイミングでBKに出してたら…。
最悪な、とてもワセダとは思えない80分を過ごしながら、最後は何故だか勝ちかけた。けど…、こんな内容での勝利ならいらない。負けて出直した方がスッキリする。そりゃ落ち込むだろうし、反省、自分たちを見つめ直すことは必須も、そもそも昨年のような横綱相撲ではいかないことも、同じことをただ当たり前に、普通にやっていたのでは勝てないことも、最初から分かってたはず。だからこそのスローガンではないか、この『Dynamic Challenge』は!今こそこの原点を思い出そう。一昨年も同じようなことがあったけど、あの頃とは組織が違うというところをみんなで見せよう。『権丈組』があの決勝での悔しさを持ち続けて勝ったのなら、今年はこの日の悔しさを忘れずに。激しく、熱く、『荒ぶる』への想いを持って。「今一度、今年ワセダは何をやるのか、自分たちで決めたディフェンスとブレイクダウンで勝つというところをまず見直して、もう一度やり直し。ディフェンスとブレイクダウン、とにかく今はその部分です」(主将・豊田将万)。この日は風林火山の地でライバルが教えてくれた。「疾きこと風の如く」「徐かなること林の如く」「侵掠すること火の如く」「動かざること山の如し」。下を向いてる場合じゃない!『豊田組』、今こそ『Dynamic Challenge』で!
<改めて激しさ、基本の徹底を口にする中竹監督>
「まぁ、今の実力はこんなもんじゃないかなということ。ただ力負けということではなく、力はあってもそれを出せない。自分たちに負けていた。みんな心のどこかで、まだまだやれると思いながらやっていたはず。でも、それは力がないのと同じこと。これからの伸びシロに期待しているし、やることはたくさんあるなと。その根本にあるのは、チャレンジする気持ち。もうひとつは、もっと激しく、アグレッシブに、貪欲に多くの仕事をすること。プレーした後の仕事量、みんなきれいにラグビーし過ぎている感がある。見てて不甲斐なかったし、本人たちもそう感じていると思う。何で?って思っているはず。これからもまずは基本のところ。ブレイクダウンとタックル。それにセット。すべての準備を改めてしていきたい。特に今日はセットプレーが悪かったから。今日を踏まえて、メニューがガラッと変わることはないけど、練習の雰囲気からもっと激しく変えていきたい。今日は層の薄さを露呈してしまった。一昨年もそういうことがあって、そういう失敗をしないようにやってきたんだけど…。春は今一度基本に立ち返って、練習から激しくやっていきます」
<自分たちで決めたことを! ワセダの芯を問い掛ける主将・豊田将万>
「もう力負けです。今日はすべて、セットもブレイクダウンも終始圧倒することができなかったですし、何よりも気持ちの面で絶対に勝ってやろうというものが僕には見えませんでした。やっぱりセットが乱れてしまったのが大きいです。スクラム、ラインアウトは毎回毎回繰り返し。いつまでもペースはこないですし、あれこれ言う前に安定したスクラムを組めないのがおかしい、というよりまずいです。接点に関しても、いいタックルは一本もなかったですし、逆に喰い込まれて喰い込まれて、やりたいアタックもディフェンスもまったくできませんでした。今一度、今年ワセダは何をやるのか、自分たちで決めたディフェンスとブレイクダウンで勝つというところをまず見直して、もう一度やり直しです。ディフェンスとブレイクダウン、とにかく今はその部分です」
<ラグビーとは… 根本からの立て直しを誓う副将・瀧澤直>
「今日はワセダが勝っているところはひとつもなくて、それでは勝てるわけないという試合でした。慶應はこの試合が決勝のつもりで来ていて、認めたくはないけれど、ワセダはもうその部分で負けていた。テーマとして挙げてもらったことが何一つできず、勝てるわけがない、いいゲームができるわけありません。スクラムは…、完全に僕が悪い。対面に負けてましたから。最後のところは、FWの拘りというよりも、時間と点でBKに回すのが怖かったです。FWでいってやるんだという拘りだったと言えば、そうなのかもしれませんけど、ボールを下げるのは怖いという意識があって…。チャレンジできなかったです。今は終ったばかりで、次に向けてはっきりここがどう、あれがどうとかは言えないですけど、全員甘くないというか、ラグビーを舐めていた。そこからもう一度やっていく必要があると思います」
<試合、練習の入りを反省しきりの副将・長尾岳人>
「いやぁ、最低ですね…。まずセットからすべて負けてましたし、最後まで立て直すことができませんでした。ディフェンスに関しては、個人的には飛び込んでしまってばかりで、上で繋がれて、継続されて、相手にいいリズムで出されてしまう。増田君にいかれてしまっていたのも同じで、みんな飛び込んでしまってました。接点、1対1の部分も全然ダメで…。アタックもタックルに一発で刺さられてずっと相手のリズム。先週もそうでしたけど、入りのところでいつも受けてそこから盛り返す。今日はそれが追いつかないくらいのものでした。入りが大事だと言い続けてるんですけど…。練習からそういう部分ができていないので、まずはそこから意識を変えて、激しくやっていきます」
<練習からの出直しを訴えるフランカー上田一貴>
「ダメダメですね…。練習での課題がそのまま出た。やっぱり練習でできないことは試合でもできないということです。毎日毎日がヌルいです。みんなヌルいんですけど、特に4年、4年と言ってはいけないのかもしれないですけど、僕たちリーダーが熱くなって、毎日ケンカするくらい、自分たちのやれることをやっていかなくてはいけないと思います。接点の強さ、動き出しのところ、すべて慶應に負けてました。アタックに関しては、バテていたというのもありますし、ただたんにいつもいつも同じムーブをして、かつ孤立してしまって、相手に狙われてしまったという感じです。ウラのプレーもなくて、ゲインすることができませんでした。ただ、それも個々の強さがあってこそ。もっとひとりひとりが強くなっていかないといけません。ディフェンスのチームと言いつつ、まったくディフェンスが機能していない。昨日豊田が言っていたみたいに、5-0でもいい。まずディフェンスを立て直すところからしっかりと。練習から激しく、毎日自分たちのやれることを精一杯やっていきます」
<赤黒ロックデビューの丹下聡、収穫アリアリ!>