「これまで普通に勝ってきて、今日も普通にやれば勝てるだろうという慢心…。取るべきところで取れない。止めるべきところで止められない。最後は自滅。今の実力がよく分かった試合。今年1番やってはいけないことをやってしまった…」(中竹監督)。あの0-96に続く上井草の悪夢。赤黒、そして『荒ぶる』へ、飛躍を誓ったはずの男たちは、再び聖地で紫紺のカベに打ちのめされた。
試合の入りは、負けることなど想像できない軽快なものだった。4分、機転の利いたカウンター → 継続から最後は、3ヵ月半前の悔しさを知る男・WTB中靍隆彰が早々と先制トライ。10分にはジワジワとモールドライブ。その後もワセダらしさ溢れるスピーディーなアタックで、明治を幾度となく追い詰めたものの、ここぞの局面でミスが飛び出し、セーフティリードには至らなかった。後から振り返ると痛すぎる…。このとき既に忍び寄りつつあった敗北のカゲ…。「試合の入りはよかったですけど、そこでフワッとしてしまった。畳み掛けるべきところで仕留められなかったのが、こういう結果を招いてしまった。明治の厳しさなのかもしれないですけど、ワセダとしては仕留めなくては…」(FB井上隼一)。
19分、今度は明治に継続を許し、インゴールを明け渡すと、ここからは取って、取られて、取られて、取ってのシーソーゲーム。ワセダが予想に反し?モールでトライを挙げれば、明治もゴリゴリ。実にもどかしく、意にそぐわない…。大局を見れば、優位にゲームを進めながら、トライの度そのキックオフで煽られ、ターンオーバーを許したこと、そして残り10分、マイボールスクラムでプレッシャーを受けたことは、余りにも痛かった。やはりラグビー=スクラム? キックオフの重要性は嫌と言うほど分かっているはずなのに…。「最後の疲れてきたところで、自分たちより大きな相手にフロント3人が浮かされてしまった。そこは大きな課題です」(ゲームキャプテン・和田卓也)。「キックオフを2回ターンオーバーされ、そのままトライまでもっていかれたのが大きすぎた」(FB井上隼一)。31分、スクラムターンオーバーの後、この日初めてとなる連続トライでついに同点に追いつかれると、キックオフダイレクトを挟み、38分には何とも中途半端なキックを豪快に切り返され、ディフェンスが崩壊(ど真ん中を破られる屈辱…)。残り時間はもうモールに固執するほかなく、最後はこの日を象徴するミスで、紫紺歓喜の瞬間を演出した。「自分たちから崩れ始める」。「ゲームの際を押さえられない」。どれもワセダとしてあるまじき…。この日の敗戦は、ある意味必然の積み重ねだった。
優勝したかのように喜びを爆発させるメイジ。その横でガックリと肩を落としたワセダ。試合後は誰しもが茫然自失。しかし、幸い未だ9月27日のファーストゲーム。下を向いている場合ではない。まだまだ戦いは続いていく。課題は明確、取り返すチャンスも十分ある。しかも、次なる相手は、過去幾度となく『バトル』を繰り広げ、その都度お互いのターニングポイントとなってきた関東学院大。この状況で迎えるに、ワセダが甦るに、こんなにふさわしい相手はいない。10・25、舞台は『釜利谷』。やるのか、再びやられるのか。ここで、ワセダBの運命が決まる―
<最後は自滅… チームの現状を再認識する中竹監督>
「本当にBはこれまで普通に勝ってきて、今日も普通にやれば勝てるという慢心。取るべきところで取れない。止めるべきところで止められない。そういった取りこぼしが多く、明治を勢いづけ、最後は自滅。今年1番やってはいけないことがでて、負けてしまったという試合。今の実力がよく分かったので、ここからみんなにはひたむきにやっていってもらう。今日テーマに掲げていたコンタクトスピードに関しては、試合の最初はよかったし、局面局面ではよかった。けど、繋ぎきれず、仕留めきれずで、こういう展開になってしまった。まだまだ成長しなくてはいけないということ。次の関東戦はいいチャレンジになる。1ヶ月、そこを目標にやっていきます」
<痛恨の敗戦… 出直しを誓うゲームキャプテン・和田卓也>
「最初の入りにいい感じで2本取って、そのままいけばよかったんですけど、その後は取って取られての展開になってしまい、流れが明治にいってしまいました。特に後半、流れを変えることができなかったのは、僕の責任です…。いい形で攻めているときのノックオン、無理に繋ごうとしてのミス、FWの2人目の寄りが遅く、そこで絡まれてペナルティ。やっぱり夏からずっと自分たちの課題であるペナルティの多さ。そこで流れを渡してしまった感じです。最後の10分、15分は同点にされたところで、モールに拘ろうとみんなで話しました。勝つことが1番大切なので。でも、そこで取りきれなかった。押し切れないところでBKに出してターンオーバー。そこのチョイスはもう少し違った形があったのかなと…。同点にされた後、攻め込んだとき、取りきれなかったのがターニングポイントだったと思います。今日は取りきることができなかった。スクラムに関しては、こっちも体力があるうちはきっちり組めていましたけど、最後の疲れてきたところで、自分たちより大きな相手にフロント3人が浮かされてしまった。そこは修正したいです。自分は4年ですし、もう残された時間は少ない。1日1日全員が勝負し、しっかりとやっていくこと。そこは徹底してやっていきます」
<課題山積み… 日頃からの甘さを痛感する井上隼一>
「やっぱり普段練習でやっていることしか試合ではでないなと改めて感じました。分かっていることではありますけど、繰り返してしまった。それが1番よくなかったです。今週はミスに厳しくと言ってきながら、ミスが多く、それがそのまま試合にでてしまいました。試合の入りはよかったですけど、そこでフワッとしてしまった感じです。畳み掛けるべきところで仕留められなかったのがこういう結果を招いたと思います。BK的に言えば、1人目のキャリアが立っていられず、そこで絡まれ、大外のブレイクダウンで球がでない。ディフェンスも1人で仕留めきれずと、課題ばかりです…。途中からは取って、取られてでずっときて、取って、取ってという流れがなかった。そこが明治の厳しさなのかもしれないですけど、ワセダとしては仕留めなくてはいけなかったです。最後のところは、BKで勝負したい気持ちもありましたけど、今日1番スコアできていたのはモールだったので。バランスはよくなかったかもしれません。もう後がないので、火曜からまたしっかり切り替えて、同じ過ちを犯さないように。もう負けたくない。口で言うのは簡単なので、しっかり4年が体を張ってやっていきます」
<この日最大の見せ場 CTB宮澤正利、スーパーハイパンキャッチ>
※これより一ヶ月、天然芝メイングラウンドは養生期間に入ります