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2024
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対明大 『早田組』、らしさ全開で対抗戦制覇!


 何から何まで『早田組』らしさに満ちていた。目の前の戦いに没頭し続けること7試合、ふと気づけば聖地・国立に大きなご褒美が待っていた。強くないと思われながら、何度も逆境に追い込まれながら、終わってみれば「しれっ」と勝つ。いつの間にか頂点に立つ。「今日は逆境、真価が問われたゲーム。この大舞台で味わったあの焦りから自分たちで道筋をしっかりと立てて、思惑どおり逆転したのは大きな自信になる。学生たちだけで本当によく勝ってくれた。今日は褒めてあげたい。今年は一戦一戦接戦を物にしながら、全力で登っていく」(中竹監督)…。近年のワセダからすると、極めて異質。でも…、そこには一本筋が通っている。誰が何と言おうとも、これが早田健二の率いる今年のワセダ!
 『荒ぶる』のため、伝統を守るため、『爆発』をターゲットに臨んだこの日も、フタを開けてみれば、完全に生き地獄。キックオフから僅か数秒、鋭く強く刺さられた時点で紫紺の「本気」、90年の歴史でもっとも苦しんできた試合であることを痛感。ここまでは当たり前の話も、チームの中枢を続々失うことは、さすがに想定内とは言えなかった。モールを押し込まれ(6分、かつてのVTRを見るよう…)0-7で迎えた10分過ぎ、ラインアウトリーダーであり、FWの核である中田英里が負傷。さらに23分、ワセダの象徴・有田隆平までが戦線離脱。逆境、逆境、何があってもブレないチームと言ってはきたが、リアルな危機。ビッシビシ感じる明治の勢い…。頭をよぎる昨シーズンのあの悪夢…。3万人が見守るなか、『早田組』の真価が問われた。チームに混乱が残る28分、またしても大外フリフリでトライを許し0-14。「2本目のトライを取られたときは、昨年の試合が甦る感じでした。あぁ、昨年もこうやってトライを取られて、国立のこの場所でみんなで集まったなぁって。そこからひっくり返すことができたのは…、みんなが勝ちたいと思い続けたから。それが一番です。負けたままでは終われない。とにかく勝ちたいって」(プロップ瀧澤直)…。
 そして、何とか体裁を整え迎えた後半、誇り高き赤黒は、今シーズンの真骨頂を見せる。ハーフタイムでは、マッチスローガン『チームコンセンサス』の下、各ユニット、チームで、ラインアウト、攻め方、ゲームプランetc修正点を確認。「一点差でも、ノートライでもいいからとにかく勝って来い!お前らこの逆境を楽しもうぜ!」(中竹監督)。あとはもう、自分を信じ、仲間を信じ、ワセダを背負い戦うだけだった。
 3分、帝京戦、早慶戦から三度目の正直でPG(6-14)。その後もジワジワ相手を追い込み、19分にはコンセンサスどおりのアタックでWTB中濱寛造がディフェンスを攻略。そして30分、1人の男の『爆発』が、ワセダに歓喜のときをもたらした。ついに大舞台に降り立ったロック・星野泰佑! ラインに入り、SO吉井耕平(光る戦術眼!!隠れMVP?)のパスを受けると、狂気で前へ。迫り来る相手を片っ端から吹き飛ばすザ・『Explosion』で、逆転トライを呼びこんだ。響き渡る、スタンドで共に戦う仲間からの、観客からの大歓声…。「とにかく流れを変えたいと。自分が強いプレーをしてチームに勢いを与える。自分がトライを取れなかったとしても、チームを前に出す。それができると信じていました。あの瞬間は、無心、無音。無の世界。今日は4年の意地です…」(星野)。思えば、有田の穴を埋めた和田卓也。そのモラルで相手を上回った桜井朋広。そして、焦らず、冷静にチームを勝利に導いた早田健二。これが過去何でも目にしてきた4年の意地というやつか…。飛びぬけたプレーヤーはいなくとも、やっぱりここぞでは頼りになる。そこには90年受け継がれてきた伝統が脈々と流れていた。
 最後はシビれる局面を凌いで、凌いで、笑いながらの16-14。かっこよくなかろうが、理想からは程遠かろうが、この逆境を乗り越え、対抗戦を制することができたのは、『早田組』であればこそ。もちろん、今のままではこれからのバトルに生き残れないことは百も承知。それでも、最後には絶対に頂点に立つ。全員で『荒ぶる』を絶唱する。「今年こういう試合が増えることは分かってますから。俺はこのメンバーで『荒ぶる』が歌いたい。それができると信じてます」(主将・早田健二)。もう覚悟は十分。俺たちはワセダ。針の山でもガラスの道でも、何だって登りきる―

<また一歩前進! 学生たちに最大の賛辞を贈る中竹監督>
「今シーズンは選手主導でテーマ、スローガンを掲げて練習をしてきて、今日も同じように臨んだゲーム。やはり伝統の早明戦、順位に関係なく強い明治に完全に受けて、自分たちのやりたい形で逆にトライを取られて、エリアの取り合いでも素晴らしいキックに翻弄された感は否めません。キーマン数人をケガで失い、セットがかなり崩れたゲーム。ハーフタイムにしろ、試合中にしろ、選手たちがどこまで修正できるか、不安半分、楽しみ半分でした。ハーフタイムに関しては、非常に濃い過ごし方ができたと思います。公式戦では投げたことのない山下で、さらにこれまで組み立てをしてきた中田がいなくなったなか、しっかり修正したのは素晴らしかった。1点差でもいいから勝てばいいと送り出して、勝ち切ってきた選手たちは素晴らしい。でも、早慶戦にしろ早明戦にしろ、本当の試合はまだ終わっていない。1日やそこらではなく、しっかりと修正していかなくてはいけない課題が今日も見えた。選手たちのますますの成長に期待したいです。(星野はこれまでどういった選手だったのかの問いに)星野という人間は、小さいFWのワセダのなかで、体のアドバンテージを持っていながら、そのよさを発揮しきれていなかった。チャンスを物にできずにきた悔しさで、今はそれを乗り越えつつありますし、ジュニア選手権での活躍、リザーブでの活躍を見て起用しました。ただ、最後に学生たちに言ったのは、これからも切磋琢磨して全員で勝負しろということ。今月に入ってからチームづくりを始めて、今は3日目。今年はチームの前にまず個人。今日活躍できた人間でも安泰ではないし、逆に活躍できなかった人間も諦めずにこれから勝負。今日のメンバーがこれから残るとは限らない。全員でがんばって欲しい。(山中から吉井の入れ替えについて)山中に関しては、体が強いですし、キック、パス、代表に選ばれるだけのパフォーマンスがある。けど、早慶戦のプレーもあって、今日は明治にかなりマークされ、プレッシャーが懸かっていた。それを跳ね除ける交わし方が、今日のチームには合っていないかなと。今日のプレーが悪かったうんぬんではなく、全員で落ち着いて崩していこうというあの状況では、特別すごいプレーをする訳ではないけれど、常に及第点のプレーをする吉井の方が流れがくると判断しました。実際に吉井のよさは出たと思いますし、山中もひらめきのよさを持っている。お互い最後まで勝負して欲しいです<以上記者会見>今日はよく選手たちだけで勝ってくれた。そのがんばりは大いに評価してあげたい。今日は逆境、真価が問われたゲーム。ケガ人あり、明治のあの勢い。この大舞台で逆境に直面して、味わったあの焦りから自分たちで道筋をしっかりと立てて、思惑どおり逆転したのは大きな自信になる。トライを取られる前から、今日の明治は強いと一瞬で感じていた。そして、自分としてはこの状況を楽しんでいた。これからどうやって戦っていくんだろう。やるべきことをみんなでまとめたけれど、本当にやろうとしたことができなかったら、どうするんだろうと。楽しみな気持ちで選手たちを見守っていました。今日は学生たちを褒めてあげたい。今年はこういった接戦を物にしながら、一戦一戦全力で登っていく。まだまだ『荒ぶる』への挑戦権を得るためには、カベがたくさんある。ひとつひとつがんばっていきます」

<コンセンサス! チームを対抗戦制覇へ導いた主将・早田健二>
「まずファーストトライを取られて苦しい、追う展開。ハーフタイムではやるべきことをしっかり決めました。ショットをして、取るべきことで取っていく。今日はしっかりと意思統一、判断を共有できたと思います。有田、中田と負傷者が出ましたが、代わりのメンバーがしっかりとコミュニケーションを取ってくれて心強かったです。ただ…、まだ両CTBとのところだったり、取れていないところがあったので、そこは課題です。練習でできていても、試合でできなくては意味がないので。これからは大舞台でいかにできるかに懸かってくると思います。今日は明治のブレイクダウンが激しくて受けてしまいました。しっかりとやり直して、強いチームを作って、次に臨んでいきたいです。(ハーフタイムの修正はどうしたのかの問いに)追う展開だったので、まず全体を落ち着かせること。チャンスはある、絶対に大丈夫だって。やってきたディフェンスをして、今週取り組んだフェーズアタックをして、テンポを上げたら流れは来る。焦るなと。後半ペナルティでスクラムを選んだのは、ラインアウトのことを考えたというのが1番です。FWからスクラムは大丈夫という声もありましたし <以上記者会見> 苦しかったです…。早明戦の重さを感じました。試合をしている感覚としては、何かうまくいってないなと。やられている訳ではないんですけど、明治の勢いに受けてしまって、何て言うんでしょう…。やっぱり前半の入りは大事だなと。早慶戦を含め、入りで苦しくしている。そこはこれからも勝負になると思います。なかなか崩しきれなかった点については、明治はあまりブレイクダウンに入らず、外に人がいる感じだったので、もう少し判断をうまくして、もっと近場にいけばよかったかなと。後半はみんなでコンセンサスを取った結果だと思います。敵陣でアタックすれば、反則をもらえる感覚があったので、まずエリアを取ること。そしてFWで拘るところは拘って、BKで仕留めようって。キャリアがしっかりと立って、ドライブした局面ではいいブレイクダウンができていたので、これからはその精度を上げていきたいと思います。こういう試合を物にできるのは、力があるということですし、自分たちの力を100%出しさえすれば、絶対にいい試合ができる。今日も前半は力を出し切れなかったので、これからはどうチームを勢いづかせるかが勝負です。次からは負けたら本当に終わり。ひとつひとつ本気で戦って、目の前の相手と勝負していきます。最後は楽しかったです(笑)。厳しい試合ではありましたけど、勝ったことが1番。今年はこういう試合が増えることは分かっていますから」

<本当の勝負へ!その覚悟を口にする副将・山岸大介>
「苦しかったです…。毎回毎回入りが悪すぎます。あのモール。あれは競りにいったこともあって、ディフェンスに入っていない。その時点でオブストラクションをもらおうと思ったんですけど、もらえず、中途半端になってしまい、ズルズルいかれ、悪いところが出てしまいました。あの展開になっても焦りはなかったです。アタックをすれば敵陣に入れましたし、テンポもよかったので。ただ、ワセダの枚数が足りなかったです…。アタックはしながらも、結局ワセダの枚数が少なくなってしまう感じで…。練習でやってきたようなアタックができなかったということです。後半はそこを修正して臨みました。FWは大変でしたね…。特にラインアウトが。隆平が抜けた場合、誰が投げるのかは決まっていたんですけど、他は詰めきれていなかった。ハーフタイムでは修正できましたけど、あれはオンプレー中に修正しなくてはいけないです。今日勝てたことは大きいと思いますし、トライに関しても、練習してきた形も出せ、ワセダらしく外で取れたことは大きな成果だと思います。これからが本番。今日はその戦いに向けて気持ちを切り替えられるような、課題の多く出た試合でした。覚悟はできています。今のままではダメ。ひとつひとつ成長できなければ、終わり。4年がその覚悟を持てるかが勝負だと思います」

<復讐!見事な暴れぶりでチームを救ったプロップ瀧澤直>
「チームとしてはめちゃくちゃいい試合ではないですし、次に繋がる試合だったかというと…、まだまだです。そして僕自身としては、やっぱり早慶戦、早明戦はこういうものなんだなぁって。そのなかで、昨年がどうとか、今年勝てば優勝とか関係なく、とにかく勝ちたいと。負けたままでは終われないですし、卒業できませんから。2点差、キック差の試合ではありましたけど、勝ったことに意味があります。前半2本目のトライを取られたときは、昨年の試合が甦る感じでした。あぁ、昨年もこうやってトライを取られて、国立のこの場所でみんなで集まったなぁって。そこからひっくり返すことができたのは…、何でしょう、みんなが勝ちたいと思い続けたから。それが一番です。テーマにしていたチームコンセンサスは、みんながどう言うか分からないですけど、まだまだでしたね。本当はこの試合で『Explosion』したかったんですけど…。もう次からは本当に負けられないです。攻め続けながらなかなか崩せなかったのは、ボールキャリアが簡単に倒れすぎてしまったからだと思います。強いプレーヤーが強くプレーしたときはいいアタックができていましたから。それぞれが勝負しながら、最後には無理をせずボールを出す。これを続けることができれば、テンポもよく、いいアタックができると思います。アタックはまだまだこれからです。細かいところをやって~というレベルにもない。そんななか、対抗戦を優勝できたというのはいいことです。今日の試合を勝てたことは大きい。最後の挨拶をしながら、あぁ早明戦に勝つことができてよかった。これで負けていたら最低だったなと思いましたから(笑)。今日はインパクトのあるプレーを少ししただけ。もっといいスクラムを組まなくてはいけないですし、まだまだ全然です。試合後、みんなにも言ったんですけど、特に4年が1月10日を見ていたら絶対に負ける。昨年も1試合1試合という覚悟ができたから4つ勝つことができた。まず、次の20日に向けて覚悟を決められるかです」

<『ベストエクスプロージャー』①!最高の輝きを見せた星野泰佑>
「前半ああいう劣勢、自分にとっては初めての国立という大舞台。早く出番が来いと思ってました。いざ出るときも、気負いはありませんでした。とにかく流れを変えたいと。自分が強いプレーをしてチームに勢いを与える。自分がトライを取れなかったとしても、チームを前に出す。それができると信じていました。そして、最初のキックオフで自分のところにボールが来いと思っていたら、そのとおりにきた。しっかりキャッチすることができて、緊張がほぐれたことで、その後のプレーに繋がりました。トライに繋がる一連のプレーは、もう無心です。無音。声援は聞こえてはいるんですけど、無の世界。とにかく積極的なプレーをしようと思っていたので、よかったです。今日は…4年の意地ってやつですね(笑)。自分はいいプレーをした次に同じことができない、ブレずにプレーできるかが課題なので、次が大事になると思ってます。来週またいいプレーをして変わることができるか。そのためにブレないことです。しっかりと自分を出していきます」

<『ベストエクスプロージャー』②!抜群の安定感を見せた飯田貴也>
「自分にとっては初めての大きな舞台だったので、緊張もありました。どうしても昨年の帝京戦のことが頭から消えなくて…、あの試合は自分のプレーで相手を乗せてしまい、ああいう結果になった。今日は同じ過ちは繰り返さない。自分が抜けるようなプレーができなかったとしても、確実なプレーをしようと思っていました。ハイパン処理はたまたまです。キックに関しても、最近悪かったなか、練習してきた成果が出せたのかなと思います。エリアのところは相手も切るところをしっかり切ってきて、うまかったです。ほぼ考えていた形にいきましたけど、ラインアウトのことを考えると、もっとカウンターにいって、継続してもよかったかなと。後半は、もういこうと思いました。前が空いてなくてもいこうと。昨年と似た展開だったかもしれないですけど、勝てたのは大きな違いです。相手は内側に寄っていて、ディフェンスを流してきましたけど、スペースが外にあったので、後半はそこを攻めました。CTBのディフェンスも堅かったので、もうひとつ外に。今日は一人ひとり誰も気持ちが切れなかったことが一番の勝因だと思います。自分自身としては、相手に流れをやらない最低限のプレーはできましたけど、流れを持ってくるようなプレーはまだできていない。それができないとAはないと思うので、そこを意識してこれから勝負していきます」

<真骨頂?そのスキルで緊急事態を見事に乗り切ったフランカー山下昂大>
「今日は明治のディフェンスがすごくよくて、いいアタックができなかったというか、取りたい形に持っていくことができませんでした。こういった試合になった要因は、そこだと思います。いいテンポでアタックできてはいましたけど、相手の人数が減らずに、逆にワセダの人数が減ってしまう。どうにもならなくなって停滞。そういうシーンが多かったです。まず1人ひとりが相手をしっかりと仕留めることだったり、FWはしっかりと相手を寄せることだったり、少し外ばかり行ってしまったところもあるので、そこは少し形を考えなくてはいけないなと。ブレイクダウンに関しては、やっぱり明治のプレッシャーが結構きてました。前半は煽られてしまう場面があったり、まだまだです。後半を迎えるにあたっては、一度冷静になって、やるべきことをしっかりやろうと、意思統一しました。コンセンサスを取れた結果が2つのトライ。みんなでできた証拠だと思います。スローイングは……(笑)、前半はテンパッてました…。準備はしていたんですけど、実戦では投げたことがなかったので。後半は落ち着いて投げられましたし、みんなで修正できてよかったと思います。今日は勝っても負けても次がありましたけど、これからは1つでもこういった試合をすると即終わる。この状況で勝ちきれたことは、色々と勉強になったと思います」

<ワセダの誇り・奥大使に黙祷を捧げ、キックオフ>