「ワセダ疲れてきてるぞ!」「足止まってるぞ!」。後半15分、敵方から発せられた、心動かされるその言葉。ん?俺たちはまだ走れるぜ。辻監督の下、それだけの準備はしてます。続くプレーでいきなりのノーホイッスルトライ。立て続けに3つ取ったのち、仕上げもまたまた笛の音なきリターン。後半怒涛の52得点。中4日で迎えた夏合宿セカンドゲームで、『有田組』はその真髄を見せつけた。「今日は我慢すべきところで我慢できたのが勝因。最後にああやって点差を開けられたのはよかったなと。新しいこともできてきているし楽しみ。もちろん、これからもワセダは走りまくります」(辻監督)―
開始僅か1分、流れるようなセットアタックで実に幸先良く先制するも、トライラッシュに至るまでの小一時間は、まだまだ夏休み気分の徐行運転。インサイドCTB坂井克行の爆走を軸にブレイクすれどもすれども、仕上げでミス。挙句、2:1の決定的場面でグラウンドに足を取られ逆に失点(7-7)。その後、この日も変化の跡を如何なく発揮したSO山中亮平の軽快な(ときに豪快な?)タクトに乗って、常にセーフティリードは奪いながら、「根本はまだまだ全然…」と主将自ら口にしたように、大きな課題は依然として横たわったままだった。
もちろん、まだまだ変わっていかなくてはならないことは、ここで満足している場合でないことは、選手たちは百も承知。今は苦しみながら、悩みながら、もどかしさも感じながら、1つずつ懸命に階段を上っていくとき。実際、決してネガティブなことばかりでない。チームが一皮むけようとするきざしは至るところに見えてきた。徐々にではあるが、点が線になってきた。この夏一番熱いのはワセダ!一番強くなるのはワセダ! 「とにかくもう、僕たちはやるしかないんです!」(主将・有田隆平)。全員の心はひとつ。『有田組』、信じた道を突き進む。………迷わず行けよ、行けば分かるさ―
<確かな手応え! チームの行く末を冷静に思い描く主将・有田隆平>
「76対19でしたか、意外と点差広がりましたね。試合を終えた今は、点差以上に競っていたようなイメージがあります。フラストレーションが溜まるような展開だったこともありますし、ずっと言い続けてきているチャンスで取りきれないところがあったので。試合には勝っても、根本のところはまだまだだと思います。今年のらしさということでは、この前の関東戦もそうでしたが、最後にポポポンといってのこの点差なので、よかったのではないでしょうか。みんなはどう思っているのか…。いずれにしても、やろうとしていることが見えてきているのはいいと思います。ブレイクダウンについては…、寝てしまって絡まれるシチュエーションがありましたし、テンポのあるときはいいですけど、総じてまだまだですね。 前回の課題であったミスとペナルティという部分についても、僕も含めて全然です…。ただ、チームとしては、みんな話せるようになってきていますし、確実によくなっています。この先更に高いレベルにいくためには、まず取るべきところでしっかりと取りきれるようになること。あとは辻さんも言われているように、きつい時間が必ず来ると思うので、そこでどれだけ我慢してまとまれるか。そこを乗り越えられたら、このチームはもっともっとよくなると思います。前回は2点と言った自分のプレーは…、もうよく分からないですけど(笑)、とにかくやるしかないです!」
<この日も抜群の存在感! しっかりゲームを支配した副将・山中亮平>
「今日も前半の入りのところで課題があって、もっともっと気を引き締めていかなくてはいけないなと。総じてディフェンスが高かったです。もっと低く入らないと、繋がれてしまうので。今日は同じ反則、例えばスクラムで3回取られた(いずれもフリーキック)りということがあって、少しフラストレーションが溜まるようなところがありましたけど、BKがいいアタックをして取っていこうと、気持ちをしっかり切り替えてプレーすることができました。ただ、いい形はありながら、前半などはミスが多かったですし、2:1といったシチュエーションで相手にボールを渡してしまう場面もあったので、まだ全然だなと。3本いかれたトライの取られ方もよくなかったですから。チーム全体としては、疲れも溜まってきているなか、しっかりと走りきれているので、力は上がってきていると思います。夏の残り2試合で、今ある課題をしっかり克服しなければ、強い相手には勝てない。こんなところで満足していられません。自身のプレーについては、今日のパフォーマンスをこれからのスタンダードにしていければと思っています」
<まさに核弾頭! ディフェンスを幾度となく切り裂いたCTB坂井克行>
「個人的にはWTBに回ったとき(後半残り15分~)のディフェンスに課題が残りました。ライン際をいかれてしまった点などは反省です。CTBでプレーしているときでも、山中がいいところに上げてくれていた(この日は抜群)にも関わらず、倒しきれずで…。まだまだ修正しなくてはいけないことがたくさんです。アタックに関しては、ボールをもらったらうまいプレーではなく、とにかく強いプレーをしようと考えていたので、そこがよかったんだと思います。ただ、自分がもっと周りとコミュニケーション取れるようになれば、僕としても、チームとしてももっと楽になると思うので、そこはこれからも引き続き意識しなくてはいけません。今日も自分のところでコミュニケーションが取れていれば、もっと点が取れたと思うので。チャンスどころでいかに取りきるか。ラインの深さ、浅さ、先に欲しいのか、後に欲しいのか、コミュニケーションです。今日は関東戦より、一次の精度が上がっていましたし、ゲインもできていたので、チームとしてはいい方向に進んでいると思います。ミスはありながら、いいイメージでのトライもいくつかありましたので。夏残り2つのゲームをもちろん勝つこと。そして、同じ過ちを繰り返さないように、ステップアップしていきたいです」
<取り戻したグッドイメージ! 攻守に輝きを放ったフランカー山下昂大>
「今日もアタックに関して取りきれないところが多かったので、そこですね。あと3本取られてしまったのも同じようなプレーからだったので、もっとコミュニケーションをしっかり取っていかなくてはいけないと感じました。チーム全体としては、ちょっと自滅しているところもあって、もどかしさがあったかもしれません。次第に得点が安心にはなったという感じで。ブレイクダウンに関しては、今日もいくつかペナルティがありながら、だいぶよくなっていると思います。もちろん、まだまだやらなくてはいけないですし、もっともっとできるはずだと。FWについては、今日は取られてはいないですけど、まだまだショートサイドでちょっといかれているところがあったので、そこはもう相手が来たくないというくらい、強化していきたいです。自身のプレーは…、ランナーとしては今日の形、もらい方、リサイクル、もちろんもっと上は目指していますが、理想に近い形がだせたのではないかと思います。いいイメージでプレーできました。チームとして更に上に行くためには、当たり前のことですけど、ミスをせずにチャンスで取りきること。決勝ではいくつのチャンスがくるか分からない。今からそこを意識して練習していきたいです。僕自身としては、ひとつひとつの仕事に懸けて、やってきたアタックを体現する。ディフェンスも中村さんに任せずに自分はそれ以上にやっていこうと思っています。これで夏の折り返し、チームが出来上がりつつあるという実感は持っています」
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