その瞬間、選手たちはガックリと肩を落とした。喜びを爆発させる東海大を横目に、自責の念にかられた。先週から変えられなかった空気、やっていはいけないタブーの連続。ジュニア選手権第二戦、『有田組』セカンドチームは大きな課題を突き付けられた。「ミスとペナルティで自滅。やるべきことは分かっているので、いかにして自分たちのラグビーを体現するのか…」(ゲームキャプテン井村達朗)。
負け試合をモノにした先週の戦いを生かすべく臨むも、この日も開始から天候同様、空気はどんより。ファーストアタックでいきなりミスを犯したところに始まり、ことごとくボールを手放した。相手がお付き合いしてくれてもミス。流れを引き寄せるべきところでペナルティ。自陣から速攻を仕掛けるも、大半がノーゲイン。これに加え、ファーストタックルが決まらず(近場、外問わず)、ズルズルと下げられては、窮屈な戦いになるのは必然だった。それでも、何とか均衡を保ち、「ここ我慢!」の32分、後ろにそらしたボールを拾われ、そのまま50メートルを走られる「あってはならない」失点(5-12)。またしても…。先週の関東同様、相手どうこうでない、100%自分たちのイージーミスでこの日もゲームは崩れていった。
迎えた後半、何とか局面を打開すべくCTB宮澤正利が再三のハイパンキャッチ(チェース)で空気を変えかけるも、その後のプレーでことごとくボールロスト。この時間帯になるとミスだけでなく、外に振ったところでのブレイクダウンをこれでもかと煽られ、激しく自由を奪われた。ラックそのものを動かさんとする東海大の強烈なインパクト、次々ぶち壊しに来る二の矢、三の矢。甦る、一昨年帝京に対抗戦の連勝を止められた試合の記憶…。3分モール(一度は止めるもラックからの移行)。23分スクラムでプレッシャーを受けたところでのターンオーバー。力技にも屈し、大きく勝利は遠のいた。ミス、ペナルティはもちろん、ブレイクダウンの攻防に残る後悔。「東海大は大外のブレイクダウンに懸けると決めていたのかなと思います。その勢いにやられてしまった。もっと早く気付いて対応しなくては…」(ゲームキャプテン井村達朗)。「東海大は寄りが早かった。ワセダとしては、2人目の寄り、リムーブでどのチームにも負けてはいけないという意識が足りなかった。タックルに関しても、そこだと思います」(SO松井一樹)。
先週同様、ラスト10分懸命の追い上げを見せ、何とか「勝敗」を意識できる局面にまで持っていったものの、最後はこの日を象徴するようなアタック→大外ターンオーバーでジ・エンド。東海大を相手に、ジュニア選手権初めての敗北を喫した。この日はBだけでなく、チーム全体の差を見せつけられる屈辱の3タテ。これを機に変わらなくてはならない。このままズルズルいったら、ワセダとして大きな後悔が残る。セット、ブレイクダウン、精度etc やるべきことはたくさんあるも、まずはAの鏡・セカンドチームから。「みんなでコンセンサスを取って、練習からひとつひとつ確認してやっていきます。A相手に惰性で練習していては意味がない。Aを倒すという気持ちです」(ゲームキャプテン井村達朗)。次なる戦いは、すぐ来週、否応なしにやってくる。『有田組』、下を向いてばかりはいられない―
<自滅… 屈辱の敗戦もしっかりと前を向くゲームキャプテン井村達朗>
「敗因は取られ過ぎてしまったこと。ペナルティと自滅という感じです…。そこからやられてしまいました。ディフェンスは基本的に止められてはいたなかで、ペナルティとイージーミスで自陣に釘づけになり、ゴール前のモール、ゴリゴリと相手の得意な形にさせてしまって。アタックはハイパントが機能していたんですが…。外に展開したところでのターンオーバーについては、東海大は大外のブレイクダウンに懸けると決めていたのかなと思います。その勢いにやられてしまったなと。ここが出ればというところでプレッシャーをかけられ、越えられてしまう。ブレイクダウンは完全にやられました。パワーどうこうより、うまいという感じで。ワセダがボールアウトしたと思ってちょっと抜けたところで来たりとか、SHが持ったところにピラー1が猛然と来たりとか、もっと早く気付いて対応しなくてはいけませんでした。走れていないことはなかったんですけど、自分たちの得意なプレーができなかったということです。ディフェンスに関しては、1人目はタックルにいけてはいたんですけど、2人目の寄りが遅いことで喰い込まれてしまってました。いかに一発で倒せるかがカギだと思います。自分たちのやるべきことは分かっているので、まずはイージーミスをなくすこと。そして、自分たちのラグビーを体現するためにどうするのか、みんなでコンセンサスを取って、練習からひとつひとつ確認してやっていきます。A相手に惰性で練習していては意味がない。Aを敵だと思って、倒すことを考えてやっていきます」
<厳しさに規律 改めて意識、1:1への拘りを口にするSO松井一樹>
「ノーペナルティをテーマにしていたんですけど、昨日のAチームと比べても多かったですし、チームとしての規律を守れなかったことが何より悔しいです…。最後は先週の関東戦のように自分たちの展開には持ちこめたんですけど、前半と後半の最初のところで2本ずつ取られてしまったところに課題が残りますし、自分もその要因になってしまってました。練習から厳しさを持っていかなくてはいけません。大外のところについては、東海大の寄りが早かったです。ワセダとしては、2人目の寄り、リムーブでどのチームにも負けてはいけないと思います。意識が足りませんでした。タックルに関しても、確かに高かったかもしれないですけど、2人目の寄り、サポートが少なかったので、そこだと思います。次に向けては、1:1の部分でそれぞれがトイメンに負けたらゲームにならなくなるので、1:1に拘って、いい準備をしていきます」
<責任を痛感 意志統一のなさを悔やむWTB岩澤慶吾>
「全体的にタックルで受けてしまいました…。ターンオーバーに関しては、練習しているにも関わらず寄りが遅かったですし、意識が足りませんでした。東海が外のブレイクダウンに来ているのは分かっていたんですけど…。BKとしては、大外で取りきれると分かっているので、いかにそこに持っていくかです。今日は敵陣に行けず、そこに至るまでの過程というか、意思統一ができていませんでした。BKで展開を変えられなかったことに責任を感じます。4年としては、もう後がないので、気持ちを入れてやっていくしかないですし、BKとしては今日の反省をしっかりして、次は自分たちの強みをしっかり生かしたいと思います」
前半
16分 東海 22mSから継続→9・10・13・15トライ G失敗 0-5
20分 早大 22m内LOからモール→9・10・13・岩澤トライ G松井失敗 5-5
32分 東海 敵陣でのアタックでミスボールを拾われトライ G成功 5-12
後半
3分 東海 22m内LO→ラックからモールに移行されトライ G成功 5-19
15分 早大 Pから速攻→9・10・13・廣野トライ G松井失敗 10-19
22分 東海 5mSでプレッシャーを受けTO→トライ G失敗 10-24
28分 東海 左中間25mPG失敗