ワセダとしての大きな一歩! 山越えた。突き抜けた。ようやくあるべき場所に帰ってきた。12月26日、大学選手権2回戦。誰しもが特別な想いを持って臨んだ負けられない戦いで、『有田組』は心に残る呪縛を解いた。頭をよぎった終わりと始まり…。「週初めはどうしようか考えたんです。そのことを強調するかどうか。考えた結果、敢えて僕の口からは言わないようにして、これまでと変わらない、いつもと同じようにやりました。乗り越えたなという思いです。うまく表現できないんですけど、しっかりと準備した結果が出せました」(主将・有田隆平)―
先週の課題に挙がったそれぞれのファーストプレー、入りの5分は「カイゼン」の跡が見られ、美しいセットアタックから幸先よく先制トライを奪ったものの、大局を見れば、選手権の難しさを痛感させられるタイトな展開。パンチ力溢れるNo8、両CTBの攻守に渡るブチかまし、徹底を感じるハイパント。ふとしたペナルティを取られた18分には、「もう押されない」と誓ったはずのモールでズルズルと後退し、淡泊にインゴールを明け渡した。スタンドから飛んできた「FWしっかりしろ~」の声。「コミュニケーションが取れてなくて、各自が勘違いしたところに入っていたのが要因です。途中からはコミュニケーションを取って、お互いの意思疎通もできたんですけど…。明治戦までの一番の課題です」(ロック岩井哲史)。関西学院からすると、ゴール前に行きさえすれば、、、モール→トライ?
しかし、そんな重苦しい雰囲気を吹き飛ばしたのが、赤黒でなくても軽快な動きを見せたBK陣。なかでも屈辱の早慶戦からスゴみすら感じる中濱寛造。この日は嘘偽りなく、1:1を完全制覇。内、外、変幻自在のステップ、キレ、勝負勘、そして伝家の宝刀・ハンドオフ。これぞワセダのWTBともいうべき鬼神の働きで、感嘆の声とともにボールを前へと運び続けた。フロントスリーが崩したところをきっちり仕留める。あの悔しさは忘れない。欲しいところで、流れを決める2つのトライ。その強い意志に引っ張られ、24-7で前半を折り返した。
後半に入ると、ようやくギア入りましたと言わんばかりに、勢いは更に加速。「タテに強いプレーを入れられるようになってから、リズムも変わって、いいアタックができた」(CTB村田大志)。「ポンポン簡単に放してしまったり、ラインが浅くなってしまったり。途中から修正はできたと思いますけど、最初からできないと~」(副将・山中亮平)。3分、再びモールに屈するも、またまた中濱寛造が倍返し。そこからターンオーバー起点に切り返す「ワセダの形」をこれでもかと繰り返し、一気にスコアを伸ばしていった。相手のミスにつけこむソツのなさ。若き一列が結束したスクラムプッシュ。想いを感じる主務・西田剛の鋭さ。最後は我らが主将・有田隆平のビッグヒット(衝撃のひとこと…)から準ご当地選手・坂井が豪快に走りきる(この日は「かつゆき~」の大声援)最高の形で試合を締めた。
国立を賭けた戦いでの62-12は許容の範囲内。それでも、、、これから待ち受けるスーパーヘビー級の3校を、目指すべき到達点を考えると、改善しなければならない課題がハッキリと浮かび上がった。ここで再びひとつになり、チームとしてワンランク上にいかなくてはならない。早明再戦は、あのときとは別次元のバトルになることは必至。そしてそれは、対抗戦、大学選手権で明治に2度勝つという偉大な歴史への挑戦。「しっかりと覚悟を持てるか。今までどおりワセダのラグビーをするだけ。目の前の戦いに全力を尽くすという点は変わりません。今年の年末は実家じゃなくてよかったです」(主将・有田隆平)。勝つことが善。正月はやっぱりラグビー。1月2日、ワセダにとって再び最高の舞台がやってくる―
<ひとつの山を越え更に気持ちを高める主将・有田隆平>
「今日もこうして勝てたことはすごくよかったです。一戦一戦いつもと変わらずワセダのラグビーをしようと今日も臨んで、点数も取れましたし。そのなかで、モールのところだったりが、次への課題だと思います。またしっかりとした準備をして、早明戦を迎えたいです。モールのトライは…、最初の組む瞬間の取り合いというか、そこでどちらが前に出られるかなんですが、最初は受けてしまいました。試合の途中で修正はできたと思います。早明戦に向けては、辻さんが言われたことと同じで、しっかりと準備したいです。今年は相手どうこうということはやっていませんので<以上、記者会見> 週初めはどうしようか考えてたんです。昨年を終わらされた、今年の始まりとなった週であることを強調するかどうか。考えた結果、敢えて僕の口からは言わないようにして、これまでと変わらない、いつもと同じようにやりました。ひとまずよかったというか、乗り越えたなという思いです。うまく表現できないんですけど、しっかりと準備した結果が出せた。次もまたいい準備をしたいと思います。2回目となる早明戦への準備は…、まぁいつもどおりというか、やるべきことは変わらないです。FWのショートサイドはもっと強く来るでしょうし、しっかりと覚悟を持って戦えるか。ワセダは明治に2回勝つことがどうとか、あまり考えず、今までどおりワセダのラグビーをするだけ。目の前の戦いに全力を尽くすという点は変わりません。豊田さん(2008年シーズン主将・前日の試合からそのまま名古屋に残り、後輩を応援するワセダ愛。試合前ロッカーに入ると、直筆の「自信と誇り みんな応援している」の貼り紙メッセージが!)にはがんばれと言って頂きました。今年の年末は実家じゃなくてよかったです(笑)」
<怒涛のアタックもミスの多さを悔やむ副将・山中亮平>
「全体的にミスが多くて、少しストレスの溜まる試合になってしまいました。ポンポン簡単に放してしまったり、ラインが浅くなってしまったり、そういうところが特に前半は多かったです。途中から修正はできたと思いますけど、最初からできないと~って感じです。ディフェンスに関しては、まぁまぁだったと思いますけど、もっともっと前に出て、圧力を掛けなくてはいけないなと。相手の陣形を見極めることも含め、もっともっとできると思います。昨年はここで終わりましたし、僕自身としても、この試合が一番大事になるという意識で準備してきました。そういう意味では、内容がよくなかったというか、もっといい試合がしたかったです。次に向けては、まずモールディフェンスのところ。明治はFW強いですから。今日出た課題は絶対に克服しなくてはいけません。アタックに関しては、やってきたことを表現するだけです。2度目の早明戦、歴史を作りたい。作るしかないです。試合後、緑川にはがんばって、絶対に優勝してくれと声を掛けてもらいました」
<大きな課題に更なる意思疎通を訴えるロック岩井哲史>
「勝てたことはよかったですけど、ファースト、入りのところはイマイチでしたし、課題を克服できていないなという感じです。モールで取られたところは…、コミュニケーションが取れてなくて、各自が勘違いしたところに入っていたのが要因です。途中からはコミュニケーションを取って、お互いの意思疎通もできたんですけど…。明治戦までの一番の課題です。またFW戦になるでしょうし、対抗戦の借りを返そうと来るでしょうから。そこを受けずに戦えるか。そこが焦点になると思います。モール以外の面でも、FWは寄りがちょっと遅かったです。BKのタテに寄りきれず、SHにプレッシャーが懸かってしまう場面が多かった。FWとしては課題の多く出た試合です。キックオフに関しては、相手がうまかったです。無回転でしたし、狙ってきているなと。ワセダとしてもこのままではいけないので、また国立まで毎日練習していきます。もう対抗戦とは違い、負けたら終わりの戦い。相手も相当な圧力で来ると思うので、それに屈せず、全力で戦えるように。早明戦はFW戦。意思疎通をしっかり取れるように準備します」
<この日も勤勉さでチームを支えたCTB村田大志>
「きっちりと次のステージに進むことができたので、なるべく後ろは見ず、次への準備を始めたいと思います。前半に関しては、関西学院さんが懸けてきているなと感じましたし、なかなかうまく攻められないところがありました。タテに強いプレーを入れられるようになってから、リズムも変わって、いいアタックができたと思います。自分のなかで、今日のプレーにいいイメージというものは特になかったんですけど、次に向けてのたくさんの課題、こうしなくては~というものを試合中に感じることができたので、修正していきたいです。次に向けてもやることは変わりません。1回戦、2回戦より質を上げなくてはいけないことは間違ないです。チームも自分も、練習から質の高さを意識してやっていきます」
<FWの不出来に危機感を口にするフランカー山下昂大>
「やっぱり2本取られてしまったところですね。FWとしては絶対にダメです。そこは大きな反省が残りました。モールディフェンスに関しては、一番最初の入りが弱くて…、そこでもっと戦わないといけませんでした。その点も含め、FWは全体的に押されていたので、このままではよくないです。FWとしてはまったくダメな試合でした。ブレイクダウンも圧倒できてないですし、中途半端なプレーでのミスも多いですし。こういうゲームをしていたら負けに繋がるので、1週間しっかり修正したいと思います。ディフェンスについては…、セット自体は悪くはなかったですけど、人数の掛け方が正しくないところも多かったので、そこはFWがもっと前を見て、陣形を見て、やっていかなくてはいけないなと。そこはフランカーの仕事なので、自分がしっかりできるかです。もうミスしたら負けると分かっていますし、とにかくそこに厳しさを持つこと。あとはやることを徹底しきること。1:1で絶対に負けない。次に向けては、そういった意識だと思います」
<早明再戦へチームの更なる結束を誓う辻監督>
「今日はありがとうございました。昨年ここで負けたこともあったので、練習からこの一戦が大事だと言ってやってきました。結果、しっかりと点数も取れましたし、ファーストプレーが大切だと言ってきたところでもしっかりタックルして、いい試合だったと思います。次の早明戦に向けて、また全力でやっていきます。モールで取られたところについては…、しょうがないですね。モールはある意味止めようがないので。あとは気合いで明治を止めます。早明戦に向けては、いつもどおり。ワセダはワセダのラグビーをしっかりやろうと。(榎本の交代に関する問いに)ちょっと調子が悪かったので、今日は早め早めに代えました。ありがとうございました。皆様、よいお年を(笑)<以上、記者会見> ディフェンスから組み立てたいと言ってきて、今日は今週やってきたことが出せたと思います。1月2日に向けては…、チームでひとつになりたい。もう一度ここで全員でひとつになりたい。早明戦、楽しみです。早明戦は最高の舞台。それが年明けにできるなんて最高です」