早稲田スポーツ特集 “B”oost Up-Aチームに駆け上がるー
【第4回】安江順×高家崇徳×岩丸和弘
Bチーム特集第4回はプロップ安江順(社4=東京・早実)、フッカー高家崇徳(創理4=埼玉・早大本庄)、フランカー岩丸和弘(基理4=東京・本郷)の3人の4年生FWにお話を伺った。この春はAチームでのスタメン出場を果たすことができなかったものの、Bチームでは主力として活躍した3人。ラストイヤー、何が何でもレギュラー奪取を目指す3人にこの夏に懸ける思い、赤黒への思いを語っていただいた。
――春シーズンも終わりました。現在の調子はいかがですか
安江:7月13日までヤマハへ出稽古に行っていたのですが、いままでNTTコミュニケーションズとサントリーと行ってきて、一番社会人の強さというか、重さを感じられた練習でした。自分の未熟さをこの時期に知ることができて、いまはウエイトを頑張ろうと思っています。
高家:春シーズンは、4年間で一番パフォーマンス的に良かったのですが、まだAチームで一度も試合に出られていないというのもあって。2年、3年と春シーズンはAチームにも絡んでいたのですが、1回も絡めていないので悔しさが残りました。ただ、プレーの調子自体はすごく良い状態だと思います。
岩丸:パフォーマンスは最高ですね(笑)。自分のパフォーマンスが良いのかはわかりませんが、調子が悪い時でもなるべく、その日の中で一番良いパフォーマンスをしようと心掛けています。もちろん日によって浮き沈みはありますが、それでもその日の中で最高のパフォーマンスができるように、頑張っています。
――オフはどのように過ごされましたか
安江:僕は、普段はあまり飲めないお酒を飲んで、飲んで寝てってしていたら途中で体調を崩しました(笑)。でもかなりゆっくりできたオフでした。
高家:僕は後藤さん(禎和監督=平2社卒=東京・日比谷)からは体を休めろと言われていたのですが、富士山に。
岩丸:全然休んでないじゃん(笑)。
高家:同期の大伴(崇明、教4=埼玉・早大本庄)たちと一緒に行きました。
岩丸:僕は富士急ハイランドに行ったり、ディズニーシーに行ったり、遊びました。あと、普段飲まない人たちと飲んだり。いままでのオフは筋トレとかもしていたのですが、今回は気持ちを切り替えてみようかなと思って1週間のオフを過ごして、また1週間後に気持ちを切り替えられるような過ごし方をしました。
安江:なんか全体的にそうじゃなかった?3週間とかオフがあるとやらなきゃって感じで、なんだかんだ2日に1回はグラウンドに来ちゃうんですけど、1週間って決まっていたので僕は全く来なかったです。
――例年は2、3週間なのですか
岩丸:結構長いよね。
高家:この時期は2週間とかですかね。
安江:ことしは1週間で、この時期は日曜日、月曜日がオフです。
岩丸:3週間空いちゃうと、さすがにずっと休んでいられないので。
安江:1年のときは毎日のようにやってたよね。
――春シーズンは全てのチームが全勝しましたが、この好調を振り返っていかがですか
安江:ディフェンスで勝った感じだよね。ディフェンスでリズムをつくっている感じです。Bチームだけで言うと、FWのセットプレーで押せていました。
高家: 全チーム見ても、スクラムで押されている場面をほとんど見たことがないです。
安江:きょねんまでと比べると、練習でやっていることがちゃんと出ていたよね。スクラムもそうだし、ディフェンスもそうだし。
――ディフェンスとセットプレーが成長した要因は何でしょうか
安江:本当にこだわってやっていたからだと思います。
高家:やっぱり下積みをしっかりしていたので。
安江:スクラムだけで言うと、僕らフロントローは、僕が2年生の時から、プロップ上田(竜太郎主将、スポ4=東福岡)、フッカー伊藤(平一郎、スポ4=大分舞鶴)、プロップ垣永(真之介、スポ3=東福岡)と、僕、フッカー須藤(拓輝、スポ3=東京・国学院久我山)で3番が誰か、って変わっていないので。ずっと同じ相手で組んでいるというのと、単純にこだわって、同じことをずっとやり続けていたからだと思います。
――3選手は4年生ということで、どのような気持ちで春シーズンに臨みましたか
岩丸:そこまで4年目だから何かが特別に変わったということはありませんが、やはりいままでは自分のことしか気にできなかったというか。他の選手がミスしても厳しく言えなかったことがあったのですが、結果的に自分だけが良ければいいのかなと思ってしまうので、なるべく自分のことだけではなくて、チーム全体への視点をもってやっていこうと心掛けました。
高家:1年のときから今まで、周りを見てというのができず、自分のことで精一杯になってしまうので、岩丸みたいに自分だけじゃなくっていうよりは、自分は突っ走るだけだと思ってやっていました。ただやっぱり、圧倒的に感じたのは時間が残り少ないなということですね。あっという間に1日が過ぎて、1カ月が過ぎて、春シーズンが終わって、と感じていて。1試合、1試合を大事に過ごそうと心掛けています。
安江:4年生としてチームを引っ張らなくてはいけないという気持ちはみんなにあるんですけど、僕自身はキャプテンとかの役職がなかったので、結構気楽にやっていたらそれなりに結果がついてきました。だから自覚がないわけではないんですけど、ちょっとまだ…。
岩丸:ピンとこないよね。
安江:そう、ピンとこないんです。きょねんの4年生は「4年って大変だよ」って言っていたんですけど、そうでもないですね。自分のできることをやっていれば、皆がついてきてくれるという感じでした。そしたら結果もついてきて、すごく良い気分で春シーズンを終えることができました。
――現在のワセダのチームの雰囲気は良いですか
岩丸:良いと思います。
高家:自信に満ちあふれていますね。負ける気持ちでやっていないから。
安江:まあまあ、それはそうだよね(笑)。でも自信はあるんですけど、1試合1試合で相手を見て、いつも怖がっているよね、俺ら? 東海大やばいよ、とか言っているんですけど、それでも大差で勝てているので、緊張を切らさず持続していて、良い証拠だと思います。
岩丸:油断はしていないです。
――特にBチームは大勝が多かった印象がありますが
安江:なんでだろうね。
岩丸:BKが良いんじゃないですかね。
――高家選手もトライが多い印象があります
高家:僕はモールで後ろについて置くだけなので。安江とかプロップ大瀧(祐司、文3=神奈川・横浜緑ケ丘)とかが頑張って前で押してくれて、それが僕のトライになりました。
岩丸:勝敗はFWで、点差はBKだって言うよね。
高家:両WTBも決定力があります。
――春のコンディション面ではいかがでしたか
安江:僕自身ケガをしていないわけではなくて、ケガはしているんですけどやるっていうのを1年生の時から心掛けています。
高家:試合中に肩を脱臼しても、すぐはめて戻ってくるんですよ。
安江:そういう意味では戻れないくらいの大きなケガはありませんでした。みんなもないよね?
岩丸:ないです。
高家:僕も4年間ないです。
――ワセダ全体でケガをする選手が少なかったように思われます
安江:終盤にばーっとでたけどね。CTBとか。
岩丸:でも例年に比べれば、少なかったと思います。
安江:最初は後藤さんも気を遣ってやっていた感じでしたから。
――この春を戦って、現在のご自身の強みを教えてください
安江:(高家は)キャリアーだろ。
高家:そうですね、ボールを持ったときの激しさは誰にも負けたくないと思っていますし、どんな相手が来てもがむしゃらに頭から突っ込もうと思っています。
安江:僕はスクラムを押されちゃいけないというのがあるので、スクラムです。あとはディフェンスですかね。タックルで抜かれないようにしています。
岩丸:人が100回で飽きるところを1000回できるところですかね。…って冗談です。
一同:(笑)。
岩丸:タックルです。ビッグタックルも意識しているのですが、毎回あいついるなと言われるようになりたいです。
――春を振り返って最も印象的だった試合はありますか
安江:筑波大じゃない?
岩丸:うん、そうだね。相当ビビってたからね。
安江:WTB竹中(祥)とか、フランカー水上(彰太)も出ていて。
岩丸:向こうは完全に勝ちにきていました。
安江:キープレイヤーの竹中だったり水上だったりを走らせないくらいのディフェンスができたっていうのが良かったです。あいつが来たら2、3人でどんどんタックルに入って止めて。すごく良かったよね。負ける気がしなかったよね。あとは、東海大もスクラムが強くてびっくりしたんですけど、点差的にはかなり開いたんで良かったです。
――セットプレーについてはFWの自信になりましたか
安江:でも最後の最後でAチームが東海大にスクラムをちょっと崩されて、Bも押せなくて、まだまだだなと実感できたので逆に良かったと思います。押して押して慢心してしまんじゃないかというのがあったので。
高家:夏の帝京大戦に向けて身が引き締まりました。
――4年生になってお互いに入学当時の印象と変わったところはありますか
岩丸:安江はずっとスクラムに力入れてるんだなと思っていて…。
安江:タックルも、タックルも。
岩丸:安江のタックルについては全然わからないです(笑)。
一同:(笑)。
高家:安江って最初はスクラムだけ強くて上のチームにいる印象があったけど、いまはフィールドもできるプロップって感じがする。
岩丸:キャリアーにもなるよね。
高家:そう。ボールも持つし、タックルもするし。
安江:キャリアーはお前には勝てないよ。僕から見たら2人ともタックルキャラで、キャリアーキャラだったので、それにさらに磨きがかかったと思います。
岩丸:高家は最初フランカーだったからね。
安江:1年の秋からだっけ、フッカーになったのは?
高家:そう、1年の9月ごろ。
安江:高家は、Aチームのやつがみんな高家が一番強いって言っているくらい強いです。キャリアーで。
高家:幸せなことですね。
岩丸:そういうと1年の時から相当変わったよね。
高家:俺、実はフランカーのときはタックルキャラだったんだよ。
安江:全然覚えてないわ。
高家:フランカーだったのですが、WTBで試合に出されて(笑)。そのときのタックルで評価されたのかなと思います。
安江:岩丸は試合中に、「今のタックル誰だ?」、ってなったらだいたい岩丸なんですよ。
岩丸:それは言いすぎでしょ。
高家:いや、新人練のときから変わらないよ。
――上田竜太郎主将の印象はいかがですか
安江:キャプテンとしては、良い意味で無理に引っ張ろうとしていないし、あいつが何かしなくてもみんながついてきます。理想だよね。僕らの代は誰かが引っ張ろうと思っても引っ張れないので。
岩丸:逆にそこまで引っ張らないからみんなでやっていこうみたいな意志はあります。
高家:不思議とあいつはAチームの円陣のときにかっこいいこと言うんだよね。いまはパッと出てこないのですが、その時その時に応じてみんなをかきたてるようなことを言っています。
――現在のAチームの印象はいかがですか
安江:強いですね。もちろんBチームとは差があるけど、でもいろいろあるっていうか…。去年だったらチームアタックとかも圧倒されていたんですけど、Aチームがミス続きで僕らの調子がすごく良くて。あっちがノートライで僕らは結構トライできているみたいなこともあります。そういうときは、Bが強いのか、Aの調子が悪いのか、どっちかわからないのですが。
岩丸:それが理想だよね。
安江:Bチームが日本で2番目に強いチームになれば優勝できると思います。
岩丸:Aを焦らせないとさ。
安江:変わっているポジションは結構変わっていますね。
岩丸:後藤さんは平等にチャンスをくれています。
安江:入学してからいままでで一番AとBの選手が変わっている感じがありますね。
――赤黒への思いを聞かせていただけますか
高家:やっぱり赤黒を着られないのであれば、ここにいても仕方がない、ここで練習をやっても仕方がないと思います。4年生の最後に赤黒の2番っていうレギュラー番号を着て、『荒ぶる』を歌うというのが入部当初からの思いなので、何としてでも着たいです。
岩丸:まだ自分がフランカーの中で絶対に一番だと思えていない部分があって、そのように思えていない段階で赤黒を着る資格はないと思います。秋までには本気でワセダの部員の中で自分が一番赤黒を着るべきだと思っていたいです。そうなるまでにはたくさん練習しなければいけないのですが、いまAチームで出ている人たちと比べて、自分に何が足りないのかを考えて、秋では1本目で出られるように頑張ります。
安江:赤黒っていうジャージーにだけ言えば、春を通して回数は着ているんですけど、そのたびに後藤さんからジャージーの授与みたいなのがあって。1回1回緊張するし、ドキドキするし、うれしいし。それがあるからこそみんな切磋琢磨(せっさたくま)できるんじゃないかと思います。実際僕はリザーブナンバーが多いのですが、赤黒は絶対手放したくないし、そのうえで、1番でも3番でもしがみついて、ことしは最後絶対に着てやろうと思っています。
――夏合宿も目前ですが、夏合宿で強化したいことは何ですか
安江:東海大をスクラムで押せなかったので、夏最後の帝京大は押せるように。後藤さんはスクラムを組むと言っているので、僕らも「よっしゃいくぞ」ってやる気出して組んで、帝京大を押します。スクラムで強くなります。
岩丸:夏合宿ではほとんどの選手の体重が減ってしまうのですが、僕は増やしたいです。去年は夏合宿で4キロ太りました。いままで通じて、重い相手に対してだとどうしても相手を仰向けにすると、そこでぐしゃっとなってしまって一緒に倒れてしまうことが多かったので、流れを変えるビックタックルを出せるように、体を大きくします。
高家:一番の課題は安定したスローイングです。技術も足りないのですが、メンタルの部分もあって。スローに限らず、スクラムもフィールドもそうなんですけど、試合に出たら常に自分の実力の100パーセント以上を出せるように、夏から秋に向けて、集中力だったり、メンタルだったりを強化していきたいです。
――夏合宿で一番印象に残っている思い出はありますか
安江:僕は、2年生の時にワセダのBチームとその次の年に(全国大学選手権で)準優勝した天理大のAチームと試合をして負けてしまったときの絞り練習ですかね。後藤さんがまだ監督ではなくFWコーチだったんですが、あれはもう…。走りながら、これ死ぬんだなって思いました(笑)。後藤さんの絞り練習はそのとき初めてだったのですが、夏合宿というのもあって、両足がつって、靴ずれして、ってすごかったです。
高家: 1年の時、僕がフランカーだったんですけど、羽生さん(憲久、平15基理卒=東京・早実)が当時のフランカーのコーチで、朝からグラウンドにいて午後も練習してって、ただでさえ夏合宿は練習がきついじゃないですか。その朝、グラウンドにちょっと早く出た時に、羽生さんにつかまってしまって。朝の練習前の朝練みたいなのがあって、ありえないと思いました(笑)。フランカーの1年生みんなでやりました。1年生なので緊張して早めにグラウンドに出るようにして、ストレッチとかしていたら「君たち何しているんですか? なんで練習しないんですか?」って言われました。
岩丸:僕は飯ですね。 ウエイトコーチにお世話になりました。練習よりもつらかったです。残したらおにぎりを作られました。
高家:時間制限があって、8時までには食べなきゃいけないんですね。それなのに7時55分くらいでもご飯が山盛り残っていて。
岩丸:おかずがアジフライとかなんですよ。結構きつかったです。本当にびっくりしますよ。
――どのくらいの量を食べましたか
安江:どんぶり、大盛り3杯くらいですかね。
高家:4、5杯以上は食べた気がする。
安江:家庭のお茶碗5杯分くらいだと思います。
岩丸:しかも、(コーチが)隣に座っているんですよ。コーチの方にご飯を盛って、反対側は削っておいてもばれるんですね(笑)。
――最後に関東大学対抗戦に向けて、今後の目標を教えてください
安江:赤黒を着て、22人の中にいることです。でもそれではいまと変わらないので、1ケタのジャージーを着てピッチに立つことが目標です。
高家:僕も同じになってしまうんですけど、変わらず上にいる2人を抜いて2番をつけることを常に考えています。チームとしては、いま全勝しているので良い感じで夏合宿、秋の対抗戦シーズンも全勝でいきたいと思います。僕自身は本当に2番をつけて試合に出ないと楽しくないので、それが一番です。
岩丸:赤黒を着るというのはもちろんですが、いまAチームにいる人はそこまで僕のことを意識していないと思うので、うかうかしていたらやられるぞっていうのも、もう少し出せないと、赤黒なんてまだまだだと思うので、もう時間もないですし、夏合宿でしっかり練習して、対抗戦ではスタメンで出られるように頑張ります。
――ありがとうございました! (早稲田スポーツ新聞会 千歩まゆあ、中川隆盛、和田真朱乃)