高校ラグビーの聖地・近鉄花園ラグビー場(大阪)で行われた全国大学選手権セカンドステージ第3戦。この試合に勝てば準決勝進出が決まる一戦。相手は大學選手権では3年連続の対戦となった大体大。試合は前半開始早々トライを決めた早大がその後も立て続けにトライを量産。後半に入って、得点は伸び悩み相手に攻め込まれる場面もあったが、粘り強く守りきり61-8で快勝した。
試合開始直後、まだ相手選手に硬さがある中いきなり早大の猛攻が始まる。2分にラインアウトをクイックスタートで出すと、ボールを受けたFB原田季郎(教4=福岡・筑紫)がステップでディフェンスをかわしていき先制トライを沈める。しかし、直後に相手の重量FWの前に押し込まれペナルティゴールを献上し失点。さらにキックオフボールが外に出るなどらしくないミスも飛び出す。相手の気迫に押されそうになったが、悪い流れを断ち切ったのはWTB中鶴隆彰(スポ4=福岡・西南学院)だった。原田からパスを受けるとそのまま大外を抜け出し、インゴールまで持っていき加点。その後もノーホイッスルトライを決めるなど前半だけでハットトリックの活躍を見せ、好調ぶりを伺わせた。早大は前半に6トライ5ゴールを奪い、40-3と大きくリードし折り返す。
後半に入っても開始1分で、この日初めて先発に起用されたSH平野航輝(スポ2=長崎南山)がラックから相手の一瞬の隙をつきトライを決める。前半に勝利を決定づけた早大は徐々に主力を温存し始める。直後にもSO小倉順平(スポ2=神奈川・桐蔭学園)の個人技からの独走トライが決まるなどトライラッシュを思わせたが、またしても後半の弱さが出てしまう。約20分間得点を奪えず自陣で相手のスクラムやモールに押し込まれる場面が続く。それでも関東大学対抗戦の猛者との対戦で鍛えられてきた早大もそう簡単に得点を許さない。徐々にラインを押し戻していくと21分には途中から入ったSH岡田一平(スポ1=大阪・常勝学園)がラックから抜け出しトライを決める。最後に1トライこそ献上するも前後半合わせて9トライ奪って61-8でノーサイド。セカンドステージプールB1位となり準決勝進出が決定した。
勝ち点で他大学より不利な状態でのスタートとなったセカンドステージだったが、3戦すべてで4トライ以上決めボーナスポイントも獲得し相手を圧倒した。「前半の早い段階で先制して先手必勝できたことは良かった」(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)と前半は強さを見せてきた。しかし、課題の後半、特にラスト15分あたりからのペースダウンに関してはまだまだ修正すべきことが多い。またケガ人が相次いでおりなかなかベストメンバーで戦えない状態が続いているのも不安材料の1つだ。年が明けるといよいよ準決勝、決勝と本当の意味での戦いが始まる。4年ぶりの『荒ぶる』奪回へ――早大の真価が問われる。
(早稲田スポーツ新聞会 岩本剛志)
◆コメント
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)
――きょうの感想をお願いします
大体大はFWにすごく自信を持っているチームだったので真っ向勝負で受けました。あとは、坂田監督が最後だったので大体大の選手も普段以上の気迫で100%の力で向かってこられた印象をうけました。前半は比較的に順調に行きました。ある程度点差が開いたところでケガから復帰してきた選手を試したかったので早い段階から試せたのですが、想定外のケガ人が出てしまってバタバタしてしまいました。いつも言われている試合の終盤に関してはきょうは良かったのじゃないかなって思います。ペナルティが重なってしまったのはあとでチェックしてみないと分からないですけど、最後まで粘り強く守れたと思うのでそこは正月の準決勝にむけての自信に繋がったと思います。
――後藤監督が現役時代にも対戦した坂田先生との対戦に関してなにか特別な思いはありますか
僕が4年生の時で、大体大とは結構な頻度で当たってるんですけどその中でも1番苦戦したゲームだったと思います。今年のチームはあの時のチームに非常に似た大きなFWにこだわったチームでした。坂田監督自身もワセダに思い入れを持ってくださっているらしくてものすごい巡り合わせを感じていました。そういった意味でも、学生たちには絶対に手を抜かず徹底的に叩きのめそうって言いました。前半はうまくいきましたが、やはり後半は相手の気迫や情熱に押し込まれてトライを許しましたが全体的に良い内容だったのかなって思います。
――準決勝に向けて手応えを感じた部分と課題は
3試合とも前半の早い時間帯で先制してそこからいい形で積み重ねていって、シーズン当初から言っていた先手必勝が出来たのは非常に手応えを感じた部分になると思います。ですが、きょうも2人戻ってきた選手もいればまた去っていく選手も出て、ちょっとケガ人が毎試合出るのは…仕方ないことなんですけど、じっくり調整してチーム力が落ちないようにしていかないといけない部分だとおもいます。
プロップ上田竜太郎主将(スポ4=東福岡)
――きょうの試合を振り返って
大体大は大きなFWがいるということで、そこを崩すことを意識して一週間練習してきました。入りはよかったのですが、相手のFWフェーズに対して受ける場面もあったので、帝京大とかもっと大きなFWに対抗できるようにしっかり修正していきます。
――具体的なゲームプランはありましたか
試したいことはなくて、春からこれまでやってきたことをしっかり出して、僕たちがやってきた『走り勝つ』ってことを完成させようと思って臨みました。
――残り2試合ですが、出来はいかがですが
できてるところもあるのですが、できていないところもあって。もっともっと上げればもっともっといいラグビーができると思います。
――その他修正点はありますか
ここ3試合でしっかり先制して前半は圧倒できたのですが、最後の最後でトライ取られてます。最後の最後の詰め、そこを修正していきたいと思います。
――準決勝への意気込みをお願いします
どの相手がきても自分たちが春からやってきことをしっかり出して、勝ちきるだけです。絶対優勝します。
フッカー須藤拓輝(スポ3=東京・国学院久我山)
――きょうの試合の目標は
まずはFW勝負ってところですね。FWが大きくて強いのでそこで勝ち切って行こうと言っていました。
――きょうは立ち上がりがあまり良くなったですが
まぁでも、意図していたことは出来たには出来たので収穫はあったと思います。
――反則も目立ちましたが
レフリーとのコミニュケーションの問題があったのですが、途中で修正できなかったのが課題ですね。直せないとどんどんああいった展開になってしまうので。
――次は国立での準決勝。ラインアウトの投げにくさはありますか
そうですね。距離感が掴みにくいっていうのはあるんですが、早明戦であまり取れなかったのはサインチョイスの影響も大きかったので、そこを修正して。きょうはラインアウト良かったんで、次につなげたいと思います。
――準決勝への抱負を
相手はまだわからないですが、ここまできたら内容うんぬんより勝ちだけを求めてやって行きたいと思います。
プロップ垣永真之介(スポ3=東福岡)
――試合を振り返って感想をお願いします
とりあえずファイナルに行けてよかったです。
――前回までの課題として後半20分を挙げられていましたが、きょうの試合はいかがでしたか
きょうも後半、攻め込まれる場面が多かったので、修正しなければならないと思います。
――先手必勝のゲームプランがうまくいってるように思いますが、いかがですか
結果的に最初のスコアで決めているので、そのへんはうまくいっています。
――ファイナルステージの顔ぶれを見ていかがですか
どこも強いです。
――対戦したいチームはありますか
帝京大と対戦したいです 。
――ファイナルステージに向けての抱負をお願いします
決勝に必ず行くためにも、全力で戦うのみです 。
ロック近藤貴敬(社3=宮城・仙台育英)
――きょうの試合について
大体大の強いFWを相手に80分間気を抜かず完封勝利しようという目標があったんですけど、やはりラスト20分や後半はずっと敵陣にいたイメージしかないので、課題の後半のところはまだまだ修正が必要だなと思います。
――後半については、どのように課題を克服しようと意識していますか
やはり気を抜かないと言うか、80分間自分たちのラグビーをしきるということを目標としてやっています。
――全国大学選手権はファーストステージが終わりましたが、ここまでを振り返っていかがですか
4位通過ということで、大学選手権は全部そうなんですが一つも落とせない試合なので、次に進むために一個一個大事に戦ってきた気がします。
――準決勝以降は一度負けている相手との試合になる可能性が高いですが
格上の相手に挑むチャレンジャーの気持ちでいきたいなと思います。
他の選手のコメントは早稲田スポーツへ
http://www.wasedasports.com/rugby/121223.php