無念の早慶戦敗戦から3日、新人早慶戦が早大上井草グラウンドで行われた。勝利を手にし、先輩の雪辱を果たしたい早大であったが、慶大の低いタックルと力強い突破に手を焼く。一方で自らは攻撃に決め手を欠き、7-39で敗れ、またも慶大に力の差を見せつけられることとなった。
慶大のキックオフから始まった前半、早大はいきなり慶大にその伝統の低いタックルを浴びせられることとなる。その後慶大がボール、地域ともに支配し早大は自陣に釘付けとなるがこちらも気迫のこもったタックルで応戦する。たとえ前進を許してもゴールライン際で2度相手のノットリリースザボールのペナルティを誘い、前半20分を終えても慶大にゴールラインを割らせず0-0が続いた。しかし前半21分、慶大が技ありのキックパスを成功させて5点を先制。ここで怯んだか、慶大のターンオーバーを容易に許しディフェンスラインを乱した早大は、23分、26分に立て続けにトライを許してしまう。これで0-17。しかしここから早大がボールを支配する。なかなか前進できない時間が続くが、前半ロスタイムに相手ペナルティからクイックスタート。プロップ千葉太一(教1=東京・早実)らの突進で相手ディフェンスを徐々に押し下げ、最後はCTB橋嶺佑(スポ1=大阪・早稲田摂陵)がインゴールへ飛び込んだ。やっとのことで最後にトライを取り切った早大は7-17で前半を折り返す。
後半、なんとか逆転への糸口をつかみたい早大であったが、早慶双方にミスが連発する中、早大のスクラムペナルティから慶大が速攻、最後は相手のプロップに押し込まれ後半9分にトライを許す。その後早大は何度も攻撃機会を得たが、決定的な攻め手を欠き低いタックルにも阻まれ、さらにはミスを連発して前進できない。すると逆に慶大に完全に主導権を握られ、モールを押し込まれて後半22分に失点、さらに後半26分にもトライを奪われ、終了間際にトライを追加された。後半は零封され、最終的なスコアは7-39の完敗であった。
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)が「余裕が無い」と語るようにアタックでのちぐはぐさが目立ち、ターンオーバーからトライを許す脆さを露呈した一方で、随所で好タックルやジャッカルを連発し、粘り強いディフェンスを披露するなど好材料もある。そして、今春卒業した代が1年次に慶大1年に5-36で敗れながらも、3年後の関東大学対抗戦で慶大に31-10で快勝したことからもうかがえるように、何よりも本当に大切なことはこの試合の結果ではなく、この先どう成長していくかなのだ。彼らの4年間はここから始まる。
(早稲田スポーツ新聞会 鈴木泰介)
◆コメント
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)
――この試合をどうご覧になりましたか
ディフェンスはそこそこ頑張っていたんですけども、厳しいメンバー構成の中で、ミスをしていたら絶対に勝てないということで、ボールを取り返してもあっさり自分たちがミスをしてボールを奪われて自陣に釘付けになってしまう状態だったので、その辺はちょっと残念でした。
――ミスが重なってしまったオフェンスへの評価はいかがですか
基本的にはAチームが負けたのと同じなんですけど、普段のゲームコントロールというか、指示出しだったり、ポジショニングやプレーの判断というところがまだまだお粗末だったり、余裕が無いというところですね。
――スクラムで押し返してターンオーバーをする場面を見せたことについてはいかがですか
ここもケガ人がいて、本当ならもっとプレッシャーをかけたかったです。
――新人戦を通して1年生に感じてもらいたいことはありますか
毎年言っているのはどうして慶大と明大相手だけにこういった試合をするのか、その意義を考えて欲しいということと、1年早慶明というのは一生に一度だけの試合というのを胸に刻んで欲しいと思います。
ロック桑野詠真ゲームゲームキャプテン(スポ1=福岡・筑紫)
――厳しい試合となりました。試合を振り返って感想をお願いします。
試合前から、アタックだったらタテに繋ぎ、ディフェンスだったら前に出るというシンプルなことをやろうと思ってたんですけど、そこができずに、逆にケイオーさんにやられてしまって、シンプルなことをやりきれなかったことが反省点です。
――メンバーの中で唯一赤黒に定着していて、今回はゲームキャプテンも務めました。自分がどうにかしてやろうという気持ちが強かったんではないでしょうか
垣永さん(垣永真之介主将、スポ4=東福岡)の一声であったり、正奎さん(金正奎副将、教4=大阪・常翔啓光学園)のワンプレーであったり、そのような一声やワンプレーで流れを変えることができると思いますが、この試合ではそれができなかったのです。キャプテンとしてみんなに申し訳ないと思っています。
――前半はいい場面も見受けられましたが、後半は自陣に釘付けで、いい場面が少なかったように思えます。何が原因だと思いますか
走れていないのと、慶應さんはフィジカルが強くて後半の後半にそのような差が出たと思います。
――再来週には明大戦が控えています。それに向けてどこを修正していきますか
フィジカルが強くても数で勝てば、勝てると思うので、日ごろの練習からそこをもっと意識して取り組みたいです。いま再認識するのも遅いんですけど、自分が甘かったです。この悔しさを忘れず、練習に励みます。
――新人総代として次の早明新人戦に向けてひと言お願いします
個人個人がまだまだ甘いので、日ごろの練習から先輩を超える意識でやっていかないと、いまのワセダの状況を打開できないと思います。下から突き上げていけばチームは強くなると思いますが、1年生はまだ足を引っ張っている状態なので、意識を高くもって底上げしていきたいと思います。