3週間にわたる夏合宿も終盤を迎え、翌日の菅平下山を前に最後の練習試合が行われた。前回、帝京大Bに惜敗を喫した早大Bは、流通経大Bと対戦。ディフェンスに課題を残しつつも、合計7トライを奪い、最終スコアは41-21。直前に行われたAチームの試合同様に、夏を勝利で締めくくった。
前半9分、自陣での相手ボールスクラムで優位に立った早大Bがマイボールスクラムを獲得すると、それを起点にフランカー池本翔一(スポ2=愛知・千種)が大幅にゲインし、最後はFB廣野晃紀(社4=東京・早実)が大外でパスを受け先制する。しかし、「ディフェンス自体が悪かった」と後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)が振り返るように、体の大きな選手相手にこの試合何度もディフェンスラインを突破される。18分には20メートルの独走トライを献上。コンバージョンキックも決められ、5-7と一時逆転を許す。その後は26分のモールトライから始まり、スクラムターンオーバーからのWTB中島翼(スポ1=千葉・流通経大柏)のトライ、さらに相手のハイパントキック処理でのミスにつけ込んだCTB金澤男(社4=千葉・市川)のトライと3連続得点で突き放し、22-7で折り返す。
後半からは大幅にメンバーを変え、ケガで春先から欠場が続いていたロック芦谷勇帆(スポ4=京都・伏見工)が約8か月ぶりに出場。開始後約30秒でいきなりビッグタックルを見せ、復活をアピールする。早大Bは、3分に相手WTBの個人技でトライを許すも、6分にはラインアウトからSH山岡篤樹(教2=東京・本郷)が自ら抜けだし、そのままインゴールを駆け抜ける。21分には再び流通経大Bのテンポの良い攻撃を止めることができずに中央での突破を許し、6点差まで詰められる。それでも、「アタックのバリエーションは増えた」(廣野)と語るように、早大Bも得点を重ねる。31分には、ラインアウトモールで10メートルほど前進し敵陣に攻め込むと、ディフェンスを左右に揺さぶり、SO浅見晋吾(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がインゴールに蹴り込んだところを廣野が沈める。さらに中島がトライを重ね、ノーサイド直前まで相手にチャンスを与えつつも、41-21と快勝した。
「夏の締めくくりと、秋のメンバー選考」(古賀)という意識を持って挑んだ今回の試合であったが、敵陣に入った際の得点力向上などに夏合宿の成果が表れている一方で、「まずきちんとセットされていないので、攻撃では統一が取れず、守備ではゲインされた後の戻りが遅くなってしまった」(芦谷)と課題も残った。レギュラーの固定がなされていないAチームを見ても、Bチームの選手が赤黒を獲得するチャンスは大いにある。2週間後に控えた関東大学対抗戦まで、壮絶なポジション争いが続く。
(早稲田スポーツ新聞会 田中絢)
◆コメント
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)
――合宿を通して好調を維持していたBチームの、最終戦の総括をお願いします
非常に不満足ですね。この3日間、帝京大戦の後に改善しようとA、Bチーム共にやってきた練習の内容が全く出せなかったですね。メンバーの中でケガ人がいて下から上がってきて埋めているということがあるにせよ、むしろそこを突かれて失トライにつながったので、上のチームに上がりたいのであれば猛省を促したいですね。
――改善しようとした点というのはどこだったのでしょうか
一言で言えばディフェンスのセットです。ディフェンス自体が悪かったんですけど、そもそもセットができないから良いタックルができない。良いタックルができないから体が大きな相手に立ったままボールをつながれて、ゲインされてしまう。その辺りをいつまでたっても同じことを繰り返してしまっています。
――後半からは久し振りに芦谷勇帆選手(スポ4=京都・伏見工)が出場しましたが印象はいかがでしたか
まるでチームに入れていないというのかな(笑)。なじんでいないといった感じで、もう少し時間がかかるんじゃないですかね。個人的には良いプレーが一つぐらいはあったと思いますけどね。
フランカー古賀壮一郎ゲームキャプテン(教4=福岡・筑紫)
――夏最後の試合でしたが、どのようなことを意識しましたか
夏の締めくくりと、秋のメンバー選考ということで、Bチームはあと一歩で赤黒というところなので、きょうの試合でどうにかということをずっと言っていたんですけど、今週は練習からあまり良くなくて、それが試合に出てしまったというところはありますね。
――具体的に良かったところ、悪かったところを教えてください
良かったのは勝ったところで、それはBKの個人で差があったからだと思います。悪かったところは、前半は動けていなかったところで、セットも全然できていなくて、そこは駄目でしたね。
――流通経大は外国人の選手もいましたが、フィジカル面での手応えはいかがでしたか
やはり帝京大の方が強かったですね。流通経大には余裕で勝てないと、帝京大相手には、特にAチームではできないと思います。
――夏合宿の感想をお願いします
最初は自分自身の調子も上がってきて帝京大戦ではAチームのリザーブに入れたりしたんですけど、最後の詰めが甘かったです。帝京大戦でのチャンスをものにできなかったというのは、自分として大きな課題というか、今シーズンの駄目だったところだと思います。チームとしては、もちろん帝京大に勝つことを目指していたので、もう少しいきたかったなというのはあります。
――今後に向けて意気込みをお願いします
昨年も粘って最後に赤黒を勝ち取ったので、今季もあきらめずに、最後は自分が赤黒を着るんだという気持ちを残しつつやりたいと思います。
FB廣野晃紀(社4=東京・早実)
――試合を振り返っていかがでしたか
最後勝利で終われたというのは良いことだったんですけど、取り切れないところがあったり、合宿で目指してきたものを出し切れなかったので、そこはやはり課題だなと感じましたね。
――先日の帝京大戦以降、意識して改善したのはどんなところですか
帝京大戦では僕が最後にノックオンしてしまって、そこから取られてしまったので、集中力を改善していこうと思ったんですけど、今日も後半の最後までは(集中力が)続かなかったと感じたので、そこはやはり反省点ですね。
――夏前に課題として挙げていたアタックやディフェンスの精度は夏合宿を通して向上しましたか
精度が上がったとは言い切れないんですけど、肯定的に考えるとアタックのバリエーションなどは増えたかなと感じています。
――夏合宿で一番成長したと感じる点はどこですか
難しいですね…。自分でもこれから見えてくると思います。
――改めて見つかった弱みはありますか
帝京大戦で露骨に現れたのはやはり集中力の面ですね。最後の最後まで集中して、しっかり規律を守ったプレーができるかというところが僕の個人的な課題だなと感じます。
――Aチーム復帰に向けて心がけていきたいことは何ですか
Aチームに復帰したいという思いはもちろんあるんですけど、とりあえずそういうことはあまり考えずに自分のやるべきことをやっていけばおのずと上がれると信じてやっていきます。
――関東大学対抗戦(対抗戦)への意気込みをお願いします
対抗戦に出場できたら僕の課題である『規律と集中力』という点を守れるように心がけてやっていきます。
ロック芦谷勇帆(スポ4=京都・伏見工)
――今日は待ちに待った復帰戦でしたが、どのような思いでグラウンドに立ちましたか
恐怖心とかすごくあったんですけど、普段通りにやろうと思っていました。
――後半からの出場となりました。どんな気持ちでピッチに入っていきましたか
前半は流れが良かったので、それを後半でも継続できるように、チームに貢献しようと思いました。
――後半開始早々に強烈なタックルを決めましたが、あのプレーに関してはいかがですか
試合前からすごく怖かったんですけど、あのようなタックルができて吹っ切れてというか、自分の中でいけるという気持ちになりました。
――久々の実戦でしたが、試合勘などはいかがでしたか
やっぱりゲームフィットネスがまだまだ足りていないですね。終盤は全然走れていなくて、ディフェンスラインにも立てなくて、駄目だと思いました。
――コンタクト練習を再開されたのはいつからですか
フルコンタクトの練習は、夏合宿が始まってからです。まだケガ前のようには体が動いていないと思います。
――今日の試合の反省点や課題を挙げてください
練習でやっていることが全然できていないですね。アタックでもディフェンスでも、まずきちんとセットされていない。セットされていないので、攻撃では統一が取れずにばらばらになってしまい、守備ではゲインされたあとの戻りが遅くなってしまいました。
――ロックは毎試合選手が入れ替わっていますが、赤黒を着るために必要だと思うことは何ですか
ロックとして一番ずば抜けていないといけないと思います。フィールドプレーとセットプレーの両方ができるのが理想のロックだと思います。
――関東大学対抗戦開幕までの2週間は、特に何を意識して練習に臨みたいですか
シーズンが始まれば1月まであっという間で、残された時間はあまりないと思うので、チームのために何ができるかというのを妥協せずにやっていきたいと思います。