1月12日 全国大学選手権ファイナルステージ決勝 国立競技場
無情にもノーサイドを告げるホイッスル。その瞬間、赤黒戦士は頭を抱え崩れ落ちた。「これで終わりか…」(プロップ垣永真之介主将、スポ4=東福岡)。この1年、いや4年間のすべての思いを懸けて臨んだ全国大学選手権決勝。しかし、国立競技場に勝利の謳歌(おうか)・『荒ぶる』を響かせることは叶わなかった。
前人未到の5連覇を狙う王者・帝京大と、5年ぶりの覇権奪回を目指す早大の頂上決戦は、キックオフと同時に試合が動く。フランカー布巻峻介(スポ3=東福岡)がタテに突っ込み一度倒れるも、再び起き上がってブレイク。サポートに付いたWTB荻野岳志(先理3=神奈川・柏陽)がボールを受け、一気に加速しゴールまで駆け抜け、先制トライを奪う。しかし直後、この試合のカギを握るとされたスクラムでいきなりターンオーバーを許すと、ここからは帝京大ペース。ブレイクダウンで「想像以上にプレッシャーを受け」(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)、ミスやペナルティーが相次ぎ自陣深くに追い込まれる。「(帝京大に)上手くマネジメントされて、回されてしまったのですごいプレッシャーを受けた」(フッカー須藤拓輝、スポ4=東京・国学院久我山)と、マイボールスクラムもクリーンに出すことができず、攻撃権を得ることができない。そして12分、23分に近場をこじ開けられ、逆転を許す。その後は粘りのディフェンスで帝京大の攻撃を凌ぎ、42分にPG成功。10-12で前半を折り返す。
「後半の最初の20分間そこをもう一度集中して凌ぎきって、最後の20分で走り勝って勝利をつかむイメージを持って後半に臨んだ」(後藤監督)早大だったが、「守りにいってしまった」(ロック黒木東星(スポ4=東福岡)と厳しさを欠き受けに回ってしまう。ノーホイッスルトライを皮切りに、3トライ・1PGを許し、16分には10-34。瞬く間に差が開いてしまった。だが、「あんなにトライを取られても全く負ける気はなく、心の中でまだまだいける、余裕だと思っていた」(垣永主将)と全員で気持ちを共有。すると一転、早大がリズミカルな連続攻撃でアグレッシブに攻め、帝京大に襲い掛かる。荻野が反撃ののろしを上げるトライを取ると、一気に早大ペースに。19分にCTB坪郷勇輝(商4=東京・早実)が、27分に再び荻野が得点を挙げ、一時24点あった点差はわずか5点差に。早大が猛反撃を見せる。しかしこれに動じないのが王者・帝京大の強さ。31分に早大のミスにつけこみ、一気に前進すると、最後はFWが強引にインゴールにねじ伏せた。再び引き離された早大は、敵陣で猛攻を仕掛けるも、時間は刻一刻と過ぎていく。そして鳴り響く無情のホーン。最後に意地のトライを奪うも、あと一歩及ばず無念の敗戦となった。
「後半の最初に帝京大さんの素晴らしい集中力でチャンスをものにされた」ことを敗因に挙げた垣永主将。終盤の追い上げを考えると、序盤の失点が悔やまれる。だが、点差を離されながらも「自分たちのラグビーを貫いた」(垣永主将)赤黒戦士の精神力、そして勇敢な姿は、多くのラグビーファンに感動を与えたに違いない。来季こそ『荒ぶる』を――。「絶対にこの悔しさを忘れずに、リベンジしてほしい」(垣永主将)。「今回負けた悔しさを忘れないようにして、絶対この場所に戻ってくる」(NO・8佐藤穣司、スポ2=山梨・日川)。4年生の思いは、確かに後輩たちに引き継がれた。
(早稲田スポーツ新聞会 坂田謙一)
コメント
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)
――試合を振り返って感想をお願いします
まずは1年間ありがとうございました。こういう結果に終わって非常に残念です。帝京大と対戦するにあたって、失点を20点前後に抑えてロースコアに持ち込めなければ勝てないというイメージで臨んだんですが、結果としてこれだけの点数を取られては勝てるはずはないと思います。後半の最初の20分間そこをもう一度集中して凌ぎきって、最後の20分で走り勝って勝利をつかもうとイメージを持って後半に臨んだのですが、そこでの集中力が帝京大の方が上回りました。具体的なプレーで言えば、ブレイクダウンで想像以上にプレッシャーを受けて、ターンオーバーあるいはミスにつけこまれて失点を重ねてしまった印象です。こういった課題を真摯に受け止めて、あしたからまたこの課題の克服に取り組まないと、この差は埋まらないのかなと感じています。
――きょうの試合の焦点であったスクラムについてどのような感想をお持ちですか
前半の最初のところでプレッシャーを受けているというわけではないんですが、うしろのボールコントロールで乱れてしまったのが、少しもったいなかったなと思います。後半数が少なかったのもありますが、もっともっと組みたかったというのはありますね。
――後半の終盤にトライを重ねたシーンは素晴らしかったと思いますが、スコアが競っている状況からアグレッシブにボールを動かして攻撃を継続させるようなプレーをしていればよかったなという思いはありますか
前半に関しては、攻撃に転じる起点のなるプレーはあったはずなんですけど、それがマイボールでのスクラムなんですが、結果的に自陣に閉じ込められてディフェンスのシーンが圧倒的に長かったので、致し方ないのかなと思います。マイボールのスクラムをもっとコントロールしていれば、そういうシーンも増えたと思います。
プロップ垣永真之介主将(スポ4=東福岡)
――試合を振り返って感想をお願いします
前半いい形で乗り切って後半に入ったんですけど、後半の最初に帝京大さんの素晴らしい集中力でチャンスをものにされた結果がこうなったと思います。最後素晴らしいラグビーができましたが、やはり後半の最初にそういう厳しさが失われたことが敗因の原因だと思います。
――連続トライを取られた後、円陣の中でかけた言葉を教えてください
僕個人としては、あんなにトライを取られても全く負ける気はなく、心の中でまだまだいける、余裕だと思っていたので、その気持ちをみんなに共有しました。あそこまで取られて戦意喪失することなく、自分たちのラグビーを貫けたのは評価に値するんじゃないかと思います。
――スクラムに関してはいかがでしたか
僕的には優勢に組めたと思います。僕ららしいスクラムを組むことができました。
――ノーサイドの瞬間、何を思いましたか
これで終わりか…それだけです。
――1年間この日のために努力してきたと思いますが、どんな気持ちで臨みましたか
結果だけにこだわって臨みました。それだけに非常に残念です。
――ハーフタイムはどんなことを話しましたか
自分たちのラグビーをしようと言って出ていったんですけど、出だしが良くなかったですね。
――後半の最初に連続トライを奪われたのはブレイクダウンの圧力が大きかったからでしょうか
ブレイクダウンというよりはタックルだと思います。1枚目のタックラーが甘かったのかなと思います。
――一時は24点差ついたんですが、そこから3連続トライの猛攻は素晴らしかったと思いますが、いかがですか
あの攻撃はすごく良かったです。評価に値すると思います。
――1年間を振り返ってみて、どんな1年間でしたか
最高の1年でした。
――『垣永組』はどんなチームでしたか
本当に素晴らしいチームだと思います。
――後輩に言いたいことはありますか
人間というものは時間が経てば悔しさを忘れるので、絶対にこの悔しさを忘れずに、リベンジしてほしいと思います。
――ファンの方へ一言お願いします
早明戦から本当にたくさんのファンの方に支えてもらって、感謝しています。その恩返しを優勝という形で返したかったんですけど、それができなくて非常に残念です。最後まで応援ありがとうございました。
フランカー金正奎副将(教4=大阪・常翔啓光学園)
――率直な思いを教えてください
やっぱり悔しいですし、本当にこのチームで優勝したかったという思いが強いです。
――勝てた試合でしたか
そうですね、全然勝てる相手だったと思います。でも勝つか負けるかの勝負なので。負けたのがワセダだったということですね。
――41―34というスコアに関してはどうお考えですか
それが全てだと思います。
――ノーホイッスルトライを決めました。チームの雰囲気はいかがでしたか
それで緩むこともなく逆に引き締まったので、そこは良かったんじゃないかなと思います。
――序盤、FW戦で劣勢でした。帝京大の圧力はいかがでしたか
相手のやりたいことをやらせてしまったというか、自分たちのペナルティーでそうなってしまったのが反省だと思います。
――後半、驚異の追い上げを見せました。いけるという感覚はありましたか
もちろんありました。ワセダは後半にフォーカスを置いてましたし、そこがぶれることはなかったです。
――ラストワンプレーで取って終わりましたがいかがですか
まあでも負けたら一緒なので。
――今戦で一区切りがつきました。この1年を振り返って一言お願いします
もう本当に最高の1年でしたし、努力し続けた1年間だと思います。
――日本選手権に向け、今後はどういった時間をすごしていきますか
とりあえず体を休めて、しっかりとモチベーションをつくりながら日本選手権を迎えることができればなと思います。
プロップ大瀧祐司(文4=神奈川・横浜緑ヶ丘)
――きょうの試合を振り返って、いまの率直な感想をお願いします
負けてしまって悔しいです。
――この試合に向けて、どういった準備を行ってきたのでしょうか
普段とそんなに変わらない日程でした。特別なことはしていなくて、自分たちのプレーを出そうという感じで練習していました。
――決勝の大舞台、緊張などはありましたか
緊張はあまりしませんでした。ワクワクしていましたね。
――試合が始まっていきなりのトライ、最高のスタートだったと思います
もう一回0ー0だと考えてプレーしよう、と話をしていました。ラッキーなかたちでのトライだと受けとめました。
――前半を終えてのスコアは10―12でしたが、点差以上に内容面では差があったように見えました
近場の部分でプレッシャーを受けてペナルティーをしてしまって…。プレッシャーが強かったです。
――前半は反則も目立っていた印象がありました
レフェリーと合わないところがあったのかもしれないんですけど、大事な試合で反則が多くなってしまったのはまだまだ甘い部分があったのかな、という感じです。
――最初に組み合ったスクラムではどのような印象を受けましたか
対抗戦(関東大学対抗戦)の時よりは少し重たく感じたんですけど、特に問題はなかったです。自分たちのスクラムができるか、ということだったのであまり相手を気にはしていなかったです。
――ハーフタイムではどのような確認をしましたか
ペナルティーとスクラムについて少し修正をしました。
――後半は開始から立て続けに失点してしまいましたが、チーム内ではどのような話し合いをしましたか
連続で失点してしまったんですけど、雰囲気が悪くなることはなかったです。「勝てる」と信じる、信じ切ることができていたと思います。
――そんななかで迎えた終盤、BKを中心とした攻めで連続トライを取りました
きょうは本当にBKに助けられた試合だったと思います。個人的にもですし、FWがタックルミスをしてしまって…。(BKに)申し訳ない部分がありました。
――ですが、最終的には追いつくことはできませんでした。帝京大との差はどういったところに感じましたか
チャンスやピンチの時の集中力でしたり、勝ち方を知っているというか…。4連覇してきて自信があるというか、選手全員が勝ち方を知っているのかなという風に感じています。
――負けはしましたが、終盤に見せた追い上げは昨年のチームからの大きな成長だと感じました。どういう風に感じていますか
終盤にやられることの多かったのが課題で、そのなかで規律や集中力、フィットネスのところをずっとやってきたので、その成果が出たのかなという感じです。
――試合終了間際に見せたラインアウトのセットプレーは前から準備していたのですか
サインプレーではなくて前が空いていたので、呼んでボールをもらいました。事前にサインは決まっていたんですけど、僕と須藤(拓輝、スポ4=東京・国学院久我山)で話し合って決めました。
――ことしのチームを振り返って、どのようなチームだったと感じていますか
垣永(真之介、スポ4=東福岡)と(金)正奎(教4=大阪・常翔啓光学園)を中心に本当に良いチームができたと思いますけど、それでも勝てなかったので、まだまだ足りない部分があったのかなと思います。
フッカー須藤拓輝(スポ4=東京・国学院久我山)
――準優勝となりました。率直なお気持ちをお願いします
優勝したかった、というのしか無いですね。
――試合全体を振り返っていかがでしたか
スクラムでかなかなかいい形にできなかったのが、敗因の一つかな、と思います。
――どのような意気込みで試合に臨みましたか
ずっと帝京大をターゲットにしてきていたので、優勝するだけ、勝つだけ、という思いでした。
――ペナルティーの量に関してはどうお考えですか
最初はレフェリーのマネジメントに上手く対応できなくて劣勢が続いたのですが、後半の10分から20分が1番よくなかったかな、と思っています。
――ラインアウトの精度に関してはいかがでしたか
基本的にはよかったと思うのですが、ところどころでミスがあったのがよくなかったと思います。
――スクラムではどのような印象を持ちましたか
正直あんまりプレッシャーを受けてるという気はなかったですけど、(帝京大に)上手くマネジメントされてしまって、回されてしまったのですごいプレッシャーを受けてしまいました。レフェリーとの兼ね合いも最初の何本かでできればよかったのですが、結局上手くいかなかったので、そこが今回スクラムがよくなかった原因だと思います。
――ハーフタイムにはどのようなお話をされましたか
帝京大に対応するのではなくて、自分たちのいいスクラムを組もう、ということですね。
――後半、連続トライをあげることができましたが、要因は何だと思いますか
少し点差が開いたことで、帝京大に余裕ができたということと、僕らはもう失うものは何もないということで、連続トライをすることができたのですが、結果には繋がらなかったです。
――ラストシーズンとなった今季を振り返って一言お願いします
本当に周りに支えてもらった1年間だったので、色々に人に感謝をしたいと思います。
ロック黒木東星(スポ4=東福岡)
――『荒ぶる』へ向けて、試合前どのような気持ちでしたか
自分たちはこの日のためにやってきたので、自分たちが最後に勝つ姿を信じて、絶対に何があっても折れないという意気込みでした。
――前半開始直後に先制しましたが、いかがでしたか
あれは勢いというか、嬉しかったですけど、相手との接点もまだ無かったですし、いまのは忘れてゼロからスタートしようという感じでしたね。
――その後は強みであったスクラムやラインアウトで苦しみ、押し込まれる時間が続きました。いかがでしたか
接点で向こうが強い部分があったんですけど、自分たちとしてはそんなに悪いという感じはしなくて。ちょっとした反応だったり、向こうの集中力が高いというところで勢いが向こうにいっちゃったのかなというのがありました。
――後半の序盤、立て続けにトライを奪われてしまいました。その時のチームの雰囲気などはいかがでしたか
いや、どれだけ取られても自分たちには落ち込んでいる暇は無いので。こっちのアタックの時もイケイケの状態も作れましたし、負ける気もしてなくて、次のキックオフはどういこうというような話をして、仕切り直していました。
――その後は逆に猛攻を仕掛け、3トライを奪いました。チームとしての強さが出たと思いますが、いかがでしたか
あれがワセダの、自分たちの1番得意である時間帯だったし、ああいうラグビーが出来たのは本当に良かったです。
――最後まで粘りましたが、敗戦となりました。終了の瞬間はどのような気持ちでしたか
終盤はいままでで1番早く過ぎだ20分間でした。トライ取ってもう1本と思った時にブザーが鳴っていて。負けがすぐには信じられなかったですね。
――最終的に34ー41という結果でしたが、この7点差の原因とは何だと思いますか
前半は良かったとして、後半の最初にどんどんとやられた場面で、あそこまで守りにいってしまったら、得点を取ることは出来ないのかなと。守るにしても相手にいかせないというか、帝京大が集中している中で、それ以上の集中をしなければいけなかったなと思います。
――前回の試合後、「自分たちのラグビーを100パーセントする」とおっしゃっていましたが、きょうの試合で後悔などはありませんか
後半最初の20分で隙を与えた以外は良いアタックも出来ましたし、そんなに悔いは残っていないですね。
――黒木選手自身は「どんな状況でも笑顔で」という意気込みがあったと思いますが、いかがでしたか
もうちょっとボールを貰いたかったですけど、相手が帝京大ということもあって、めちゃめちゃ楽しくラグビーできたのかなと思います。
――これで一区切りとなります。いまのお気持ちはいかがですか
ここをゴールとして定めてやってきたので…。まだ終わったという実感は無いですけど、最後に相応しい試合ができたと思います。
ロック芦谷勇帆(スポ4=京都・伏見工)
――いまのお気持ちをお願いします
負けてしまって…夢が果たせなくて、悔しいです。悔しいというか、無力感しかないです。
――帝京大をターゲットに1年間やってきました。全力で当たってみていかがでしたか
やはり強いというか、自分たちの集中力よりも向こうの集中力の方が上回っていたのかなと思います。
――スコア的には1トライ差くらいにまで詰めました
最後の一歩が届きませんでした。
――自陣でターンオーバーされるシーンもありました
相手の圧力を受けて、ブレイクダウンでめくられてそこでターンオーバー食らってしまったのが多かったです。
――ラインアウトは、帝京大の寄せに苦戦していたように思いました
なかなかクリーンタッチさせてもらえず、すごいプレッシャーがあってクリーンな球はださせてもらえなかったですね。
――FWはワセダの自信があるところでした。当たってみていかがでしたか
負けたと思います。FW戦で負けたから、きょうこのような結果に…。
――後半立て続けにトライを取られた後は、逆にワセダの時間になりましたね
あそこで誰一人あきらめてなかったです。すごい集中力だったと思います。
――今季は、ケガから始まり芦谷選手にとってはつらいこともあったと思います。振り返ってみていかがですか
これまでのラグビー人生で一番幸せな1年間だったと思います。こんな気持ちでラグビーできることは、これまでもこれからもあるのかなって考えたときに、本当にこの1年は自分にとって幸せでした。
――日本選手権に向けて意気込みをお願いします
あまり考えられないのですが、まだこのチームでプレーできることを楽しみたいです。
フランカー布巻峻介(スポ3=東福岡)
――試合開始直後のトライは布巻選手の突破からでした
攻めようと言っていて、僕がもらうのは決まっていたので、たまたま抜けただけです。
――全体を通してどのようなことを感じましたか
敵陣に入れればトライは取れたので、いかに相手を自陣に入れないか、いかに前で戦うのが大事かということを教えられた試合でした。
――相手がキープできてしまった理由は
一本のミスからラインブレイクされて一気にボールが自陣にいったり、相手のキックやそれに対しての良いキャッチからうまくエリアを取られましたし、そういう細かいところですけど、相手の方が一枚上手でした。
――ブレイクダウンはどのような印象でしたか
いくらか対抗できたかなとは思うんですけど、最悪想定したイメージにはならなかったですね。でもプレッシャーは受けました。何もさせないという状況を作らないと、ああいう結果になってしまいますね。
――一番の帝京大との差は何だと思いますか
体が強かったですね。一番はそこを感じました。でもそこで戦うというよりは、僕たちはそこをさせないという方にフォーカスした方がいいと思います。
――自陣でターンオーバーされる場面もありました。帝京大の早いディフェンスには苦しみましたか
圧力はありましたし、良いディフェンスをしてきました。
――後半の立ち上がりに3トライを許しました
立ち上がりからもっと厳しく行こうと言っていたんですけど、相手の方が集中力も高くて、そこで負けてしまったと思います。
――点差が話された時のチームの雰囲気は
僕自身はやばいなと思いましたけど、どこかでチャンスは来るだろうと、後半20分までは我慢だと思ってやっていました。
――その後ワセダに流れがきましたね
そうですね、フィットネスの部分であったり、フィジカル的にも強くなってきたので、あの時間になっても戦えるし、あとメンタルの部分もみんなが強くなったと思います。
――この結果についてはどのように受け止めていますか
負けは負けという感じです。でも来年に生かせるというか、明日につながる要素が何個もあって、負けましたけど、そういう面では収穫の多かった試合だと思います。
――具体的にどのような部分ですか
たくさんありますけど、やはり後半の最初の時間帯にもっと厳しく行くことであったり、80分間どれだけ高いレベルでできるかというのが一番大事だと思います。
――当然また勝ちに行きますがどのようにやっていきたいですか
まだ整理はついていないのですが、やはりエリアマネジメントの部分、ボールポゼッションの部分にはこだわっていかないといけないのかなと思いました。
NO・8佐藤穣司(スポ2=山梨・日川)
――試合を振り返って感想をお願いします
悔しいです。
――34ー41というスコアはどのように捉えていますか
前半のペースのまま、後半最後の20分を迎えられれば、絶対に勝てると言われていました。後半の入り10分が大切なので集中して行こうと言っていたんですが、帝京大の方が集中力で上回っていて、逆に連続失点してしまいました。そこが一番大きな敗因です。
――帝京大の攻撃はいかがでしたか
普段と変わらずにFWで前に来て、BKで展開するという感じです。後半の入り10分、キックオフからのタックルが僕を含めて甘くなった感じがありました。そこで、一人、もしくはダブルでもいいので、しっかり止め切っていたら流れがもっと早く来ていたと思います。
――スクラムを組んだ感触はいかがでしたか
そんなに負けている感じはしなかったです。ボールをしっかり出すことだけを考えていました。前半、ボールを上手くコントロールできずに、相手から奪われる場面があったので、すぐに出そうと心掛けました。
――マイボールのラインアウトでボールを奪われる苦しい場面もありましたが、いかがでしたか
帝京大がワセダのラインアウトを見て対応してきていて、上手くつかれた感じでしたね。でも、すぐに落ち着いて対処できたのでそこは良かったです。
――垣永真之介主将(スポ4=東福岡)はどのような方でしたか
本当に『キャプテン』という感じで、頼れる方でした。最後、申し訳ないなという気持ちが強いです。
――今季を振り返っていかがですか
昨季は1年生ということもあり、ガチガチで自分の持ち味を出せずにプレーをしていたんですが、今年は本当に雰囲気がよく、とてもやりやすかったです。たとえミスをしたとしても、その後はフォローしてくれる、そんなすごく愛のあるチーム、4年生達でしたね。
――来季はどのようなシーズンにしたいですか
今回負けた悔しさを忘れないようにしたいです。垣永主将もおっしゃってたんですが、365日この悔しさを忘れずに精進していけるか、努力していけるかが、来年またこの場に戻ってきて勝てるかにつながると思います。自分に足りなかったところを改めて、絶対に戻って来ます。
SH岡田一平(スポ2=大阪・常翔学園)
――試合を終えたいまの気持ちを教えてください
個人的には悔いしか残っていません。80分間出れなかったことや自分の仕事を全うできなかったこと、色々振り返ればあるんですけど、いまは悔しいの一言です
――この1年、帝京大をターゲットにしてきましたが、試合前はどんな気持ちでしたか
春・夏・対抗戦と、帝京大と試合をやってきて、自分たちよりも力は上でした。個々では負けていても、数で勝つということを目標に、FWでもBKでも立ってるプレーヤーつまりプレーオンのプレーヤーを増やして、自分がリードしていきたいなと思って挑みました。
――帝京大は、BKかFWかどちらで攻めてくると考えていましたか
最初はやはりFWのタテだと。予想通りタテで強くきてからBKに展開してきました。予想通りの展開だったんですけど、フィジカルの部分で劣っていた自分たちが数で勝てなかったですね。
――苦戦していた接点についてはいかがですか
春から、フィジカルの部分ではどんどん帝京大に近づいていたと思います。あとは自分たちが、一人に対して二人・三人タックルし続けれるかというのが重要でした。接点については反省点の一つだと思います。
――FWについてはどのように見えましたか
よく体を張って頑張ってくれていたと思うんですけど、少し反省点といえば、やっぱり立ってプレーできる時間が少なかったなと思います。帝京大相手には個で負けている分、人数で勝つしかないです。FWも、タックルしたらすぐ起き上がってディフェンスラインに戻って、大人数のディフェンスで襲いかかっていきたいと思います。これから頑張ります。
――岡田選手自身、だいぶプレッシャーをだいぶかけられていましたね
そうですね。パスさばきが少し遅いというのが自分の弱点だと思うので、そこでプレッシャーをかけられたのかなと。
――前半自陣でのプレーが続きました
前半と後半の最初で我慢をし続けられないのはワセダの弱点だと思います。きょうの経験はプラスに考えて、来季のターゲットはまた帝京大で、反省点を改善して1年後リベンジしたいと思います。
――帝京大のディフェンスは速かったですが、パスについてはいかがですか
さばきにくい状況で止まっていたと思うんですけど、どんな場面でもさばききるというのがワセダのSHだと思うので、そういうことで自分の仕事を全うできなかったと思って反省しています。
――このチームの1年間を振り返っていま何を思いますか
80分終わった瞬間、本当に悔しい気持ちでした。こんなに悔しい気持ちになれるのも(スタメンの)4年生のがんばりや、スタンドで見ている4年生の気持ちが強いからですね。試合前にも色々声かけたりしてくれて。本当にワセダにいてよかったなと思います。
――来季に向けて一言お願いします
きょうはずっと悔しい悔しいって言ってるんですけど、ずっとそういうことを言っていても意味ないのです。プラス思考で、来季は絶対帝京大を倒したいと思います。
WTB深津健吾(スポ3=東京・国学院久我山)
――惜しくも準優勝に終わりましたが、率直な気持ちを教えてください
4年生を勝たせてあげられなかったのが非常に悔いが残っています。後悔しか残らないような試合でした。課題がたくさん出たので、またあしたから1年後の決勝に向けてしっかり取り組んでいこうと思いました。
――試合を振り返っていかがですか
前半はよく集中できていたんですけど、後半の入り20分くらいは僕たち以上に帝京さんが集中していて、そこで受けに回ってしまった部分があったのでもったいなかったと思います。
――後半立て続けに3トライを取って一時は流れを奪いましたね
あれはドラマを起こすぞという感じで、みんながいけいけで攻撃に勢いがあったし、自分たちの中でも勢いを感じていたので絶対いけると思ってやっていました。
――帝京大との差を感じたのはどの点ですか
やっぱりここ一番の集中力だと思います。
――帝京大のフィジカルやタックルの強さを体感していかがでしたか
確実に差は縮まっていると思うんですけど、まだ縮め切れていない部分は僕らに足りないところなので、しっかり1年体をつくり直して、引けを取らないような体づくりをしていきたいです。
――FW勝負と言われていましたが、BKはどのようなプレーを心掛けていましたか
FWを楽に前に行かせられるように、しっかりタテを意識して軽いプレーをしないようにマイボールを絶対にキープしようということでやっていました。
――この試合で引退する4年生に対しての思いを教えてください
本当に出られない4年生もたくさんいたし、リザーブにも4年生がいたし。そういう人たちが優勝できなかったのは僕らが力を出せなかったわけなので、そういうところで申し訳なさを感じています。
――深津選手自身、今季全体を振り返っていかがですか
シーズン途中でポジションが変わったりして激動の1年だったんですけど、ある程度WTBもかたちになってきていると思うので、来年はもっとWTBのプレーに磨きをかけて毎試合トライを取れるようになりたいと思います。
――来季への具体的な課題や、どのようなラストイヤーにしたいかなどの理想はありますか
ラストイヤーっていうのもあるんですけど、やっぱりワセダは負けちゃいけないし、『荒ぶる』を目指すその一心で、しっかり体づくりやフィットネスに取り組んでいきたいと思います。
CTB坪郷勇輝(商4=東京・早実)
――帝京大戦を振り返っていかがでしたか
勝ちたかったので、やはり悔しいです。後半の最初に立て続けに取られたという所が負けた原因かなと。集中力は向こうの方が高くて、うちの集中力に勝ってたなというのが正直な気持ちです。
――対抗戦からは点差が縮まりましたが、どのように思われますか
まぁ、負けは負けなので。負けたという事実しか残らないので。本当に強かったですね。
――2点差に抑えて前半を折り返すことができました
そこまではゲームプラン通りで、後半20分になるまで競った試合をしていこう、そこから突き放したり逆転したりしていこうというプランだったので、前半はよく戦えていたのかなと思います。
――後半に入り連続トライを許した後は、どのように流れを変えましたか
誰も諦めてなかったので、最後の1分まで、笛が鳴るまで戦い抜こうと勝利を信じてやっていました。信じていたという部分で流れを引き寄せられたのかなと思います。
――後半に2トライを挙げました
周りがつなげてくれたトライなのでうれしいですね。本当に周りには感謝しています。ただ、勝利につなげられなかったというのが悔しいですね。
――後半18分に早大がトライした後、掛け声が聞こえてきました。そこではどのような声掛けがありましたか
まだ行けるぞ、と。キャプテン中心に、勝つとしか思えないと。僕も周りの部員に、まだできるよ、まだ逆転できるよ、これから流れに乗っていくぞと、盛り上げるために声は掛けました。
――試合が終わった時のお気持ちを聞かせてください
正直、きょう勝つために1年間やってきたので…悔しくて涙が出てきてしまいました。
――大学選手権を振り返ってみていかがでしたか
予選リーグは練習をハードにして、その疲れで結構きつい試合も続いていたのですが、そこで精神力が養われて準決勝の筑波大戦や、きょう帝京大に突き放されても諦めないという気持ちにつながったのかなと思います。
CTB飯野恭史(商3=東京・早実)
――決勝に向けて試合前はどのようなお気持ちでしたか
持っている力を全部出そうと思いました。
――帝京大に攻められる場面も見られましたが、試合前半を振り返ってみていかがですか
ことし1年ペナルティーを意識していて、ノーペナルティーでいこうと話していたのですが、今回は前半で何個も何個もペナルティーをしてしまって、それで自陣釘付けになって、そうしたら取られるのも当たり前なので、そういった部分で規律を守ることができなかったのが課題だと思っています。
――後半中盤には追い上げを見せましたがいかがでしたか
試合をやる前からワセダはあの時間になったら点を取ることができると自信を持ってやっていたので、その前に引き離されすぎたのが敗因だと思います。
――最後は帝京大に一歩及びませんでしたが、試合全体を振り返ってみていかがですか
やはり取られすぎという印象というのを見ていてもそう受けたと思いますが、何本も何本ももったいないトライを許して、絶対に取られないようにしようしていたところで取られてしまったので、それはもう帝京大の実力が想像より強かったということもありますが、少し取られすぎたかなと思います。
――対抗戦の時と比べて力の差はどう感じましたか
縮まっていると思いました。やっていても全然負けるイメージが全然なかったので、成長はしていたと思います。
――飯野選手自身にとって決勝はどのような試合でしたか
悔しかったです。4年生にも申し訳なかったです。自分の力不足で負けてしまった試合なので、成長します。
――4年生にどのような思いがありますか
仲がいい学年でことしずっと仲良くさせてもらっていて、いろいろなことをさせてもらっていまして、お互い成長しあってという1年にできたと思うのですが、最後の最後に本当に申し訳ないという気持ちがあります。
WTB荻野岳志(先理3=神奈川・柏陽)
――試合をどのような気持ちで臨みましたか
4年生とやれる最後の試合で、勝ったら優勝だったので思い切りやれることはやろうと臨みました。
――3トライを奪いました。個人の活躍についてはどうでしょうか
でも勝てなかったので悔しいです。勝ちたかったです。それに後の2トライは誰でもとれたトライだと思います。ハイパン処理だったり、ディフェンスの部分で相手にうまくやられてしまったのでそこは課題ですね。
――戦ってみて帝京大の印象はどうでしたか
強かったです。もしかしたら点差以上に実力差はあったかもしれません。でも最後まで諦めないのがワセダなので、勝ちたかったです。
――後半帝京大に連続でトライを許し、気持ちは切れませんでしたか
あの場面で垣永さん(真之介主将、スポ4=東福岡)が「ワセダはここからだぞ」と引き締めてくれて。その言葉でチームが一つになってあそこまで追い詰めることができたと思います。あそこで追いあげたのは垣永さんのリーダーシップだったと思いますね。
――勝利には何が足りなかったと思いますか
ディフェンスですね。40点も取られてしまったので。あと1トライ届かなかったら…というよりは、あと1トライ取られなかったら…という感じです。後藤さん(禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)には勝つにはロースコアだと言われていたので。あれだけトライを取られてしまったら勝てないです。後半最初にトライを取られてしまったのはダメでした。
――でもそこから持ち直したのはすごいですよね
そうですね。昨年はあのまま引き離されていたのですが。ことし、そこで点差を縮められたことはことしのチームの色が出たと思います。
――今期の早大はどのようなチームでしたか
4年生、特に垣永さん(真之介主将、スポ4=東福岡)と(金)正奎(教4=大阪・常翔啓光学園)さんが中心になって引っ張ってくれました。すごく仲の良いチームでした。4年生がいなくなるのは寂しいです。
――今後の個人的な目標を教えてください
良くなかったハイパン処理の部分だったり、ディフェンスですね。あとは走れる程度に体を大きくします。80キロはいかないといけないなと。フィジカルの差を感じたので。
FB藤田慶和(スポ2=東福岡)
――帝京大の印象はいかがでしたか
本当に紙一重の差だったと思います。強かったですけど戦える相手だと思います。負け惜しみみたいになりますけど、全然戦えるとは思うので帝京大という名前に負けないで欲しいです。
――前半の振り返りをお願いします
前半はボールが持てなかったですね。でもすごい良い導入ができました。守る時間が長くてボールを触ることができなかったんですけど、前半の最後でペナルティーをもらえるプレーにからめたのは良かったと思います。
――ボールを持ってもマークがきつくて前に出られていないように思えましたがいかがですか
相手のWTBも僕に詰めてディフェンスしてきていたので難しかったです。でもマークされているからという理由で止められているのは言い訳になるので、そこを突破できるようになったら一流になると思うのでそこを打破できるように試行錯誤していきたいと思います。
――トライに繋がるオフロードパスをした場面を振り返っていただけますか
外が空いていたので早めにパスを放ってくれということを言っていました。帝京大の戻りが早かったんですけど、内にいた坪郷さん(商4=東京・早実)がきてくれて、サポートの分厚さを感じました。
――ボールを触る機会が少なかったことはどう考えていますか
自分がやるだけじゃないので、仲間を信頼してやっています。一人で15人相手をすることは無理なので。自分の役割とかもやりつつだったんですけど、やっぱりボールタッチ増やさないといけないと思います。悔いが残るところです。
――ブレイクダウンはいかがでしたか
強かったです。強かったですけど、決して対応できないことはないので、他の大学相手にももっとチャレンジしたほうがいいと思います。
――相手選手と1対1になったとき振り切られてしまう場面がありました
そうですね。しっかり止められるようにならないといけないです。
――試合後のお気持ちを教えてください
ものすごく悔しかったです。4年生がものすごく泣いていて、僕も優勝したいとは思っていたんですけど、それ以上の思いが上級生にはあって、僕ももっと力になれればと思っていました。
――大学に合流して一つの大きな大会を終えましたがいかがですか
やっていてすごい楽しかったです。結果は出なかったですけど、そこまでを楽しめたので良かったと思います。仲間の大切さだったり、きょうも試合前に上井草を出るときに旗を振ってくれた商店街の人がいました。そこに愛を感じましたし、感謝してプレーしなきゃいけないと思います。