招待試合 対明大 5月18日 佐賀県総合運動陸上競技場
昨冬の『最後の国立』での熱闘が記憶に新しい早明戦。今春は佐賀を舞台に行われた。必勝を期した早大であったが、後半に引き離されて26-41の敗戦。「したいことがさせてもらえなかった」(フランカー布巻峻介副将、スポ4=東福岡)と明大に差を見せつけられ、力不足である現状が明らかになった。
滑り出しは順調だった。試合開始当初からうまくエリアを獲得し敵陣でプレーし続ける。すると前半6分、ラインアウトからCTB飯野恭史(商4=東京・早実)が鋭くタテに切り込み、続いてフランカー小谷田祐紀(文構4=東京・早実)がディフェンスを切り裂きインゴールへ。先制に成功する。しかしここから明大のペースに。徐々に前進を許すと16分に失点。さらに21分には敵陣でのマイボールスクラムを奪われそこから一気にトライを許して7-14とされた。だが早大も負けてはいない。27分、敵陣ゴール前のスクラムでペナルティーを得るとNO・8佐藤穣司(スポ3=山梨・日川)が迷わず速攻し飛び込んで同点。さらに30分、飯野、布巻、WTB荻野岳志(先理4=神奈川・柏陽)が次々にゲインを重ねると最後はSO小倉順平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が個人技でフィニッシュして19-14と勝ち越した。このままペースを握るかと思われたが、明大はそう甘くは無い。35分にラインアウトモールでインゴールになだれ込まれると前半終了間際にはDGを決められ、19-24と再逆転されて前半を終えた。
それでもなお勝利の可能性を残す早大であったが、後半が進むにつれ勢いはしぼんでいくことになる。後半開始から敵陣に攻め込むも相手に次々とターンオーバーを許し、ミスも重ねた。すると試合の主導権は明大へ。19分に相手の自慢とするスクラムからのトライを許してしまう。29分、相手スクラムのターンオーバーを起点にロック大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)がトライを奪うも流れは戻らなかった。ラスト10分で1トライ1ゴール1PGを決められ万事休す。26-41。スコア以上の完敗だった。
これまで大差で勝利する試合が多かった今季の早大。「簡潔に言えば地力負け」(後藤禎和監督、平2社卒=東京・日比谷)と、この敗戦によって現状を痛感しただろう。早大は『打倒・帝京大』を目指しているが、明大をはじめとしたライバル校は『打倒・早大』も目指しているはず。ここで立ち止まっている訳にはいかない。「チーム一丸でやり直していく」(大峯)という決意を胸に戦うこれからの赤黒軍団に期待したい。
(記事 鈴木泰介、写真 森健悟)
コメント
後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)
――試合を振り返っていかがでしたか
簡潔に言えば地力負けです。
――きょうはどのようなことをテーマとしていましたか
先週の高麗大戦で出来が良かったのですが、その中で思わぬところで失点につながったシーン、隙の部分とかがあったので時間は無かったのですがそういったところを詰めてステップアップしていこうとしました。
――フランカー布巻峻介副将(スポ4=東福岡)を普段の7番でなく6番で起用した意図はありますか
あんまりないですね。
――前半はスコアの上では互角でしたが振り返っていかがでしたか
いや先ほど言った隙の部分でやらずもがなの失トライがありました。ああいった隙を無くして後半に移っていかないと、いままでの相手はどうにかなっても明大には通用しないので。
――前半の戦い方が後半にも影響したということですか
点数的に劣勢な中で向こうは逆に勢い付いていますし、逆境を盛り返すほどの地力は無い。向こうのディフェンスが勢いづいてどんどん前に出てくることを盛り返すだけの地力が個人にしろチームにしろ無かったです。
――次戦に向けて意識する課題を教えてください
来週は流通経大戦で強くて大きい相手なので、また地道に積み上げていきたいと思います。
ロック大峯功三主将(スポ4=福岡・東筑)
――試合の振り返りをお願いします
やはり接点のところで少しずつ食い込まれて相手のアタックをさせてしまいました。早大の良いところもありましたが、負けてしまったということでしっかり反省したいと思います。
――接点で受けてしまった要因はどこにありますか
タックルで一人目はしっかり下に入っていますけど、二人目がしっかり入れていなくてゲインされてしまっていると思います。ディフェンスの面が非常に大きい要因になっていると思います。相手のやりたいようなアタックをさせてしまいました。
――攻めの部分でも相手のタックルに負けてしまうような場面が目立ちましたね
そうですね。明大が良いディフェンスをしていました。でもそこに相手がいるからゲインができないのではなくて、いてもゲインはしないといけないので、フィジカルの面とかの根本的な部分を詰めていかないといけないです。
――最後のPG選択は勝負に出たということですか
やっぱり勝たないと反省もできないと思いましたし、勝ちにこだわりたかったのでPGを選びました。
――前半の入りは早大のペースでいけたと思いますがいかがでしたか
やっぱりそれでも隙がありました。その後にやられてしまったので気を抜いている部分もあったのではないかと思います。
――その前半の後半から徐々押されていった印象ですがいかがですか
早大のアタックを続けていけばトライを取れると思ったのですが、後半にあれだけ明大のディフェンスに受けてしまったので、早大のテンポでできなくなってしまいました。そこが反省です。一個一個のポイントでしっかりゲインができれば、僕たちらしいアタックができると思いました。
――勝負どころでスクラムターンオーバーをしましたが、セットプレーはいかがでしたか
やはりそこも反省点が多いですね。それまでにもあった勝負どころでミスをしたり、トライを取った後のキックオフだったりがまだまだです。
――後半明大にやられている中での雰囲気はいかがでしたか
きついときに周りをみられていない選手が多かったと思うので、そこは僕を中心にやっていかないといけないと思います。
――試合後にチームとして話したことはありますか
ちょうどこの試合が春の折り返しなので、また後半に向けてチーム一丸になってやり直していこうということですね。いままで練習でやってきた根本的なところをより高いレベルにしていって帝京大に通じるものにしていきます。
――流通経大戦に向けて一言お願いします
敵どうこうではなくて、自分たちがやってきたことを出せるように頑張ります。
フランカー布巻峻介副将(スポ4=東福岡)
――この試合、明大に及ばなかった要因は何なのでしょうか
接点で受けたのが一番ポイントになりました。
――今季初めて明大と戦いました。相手の印象はどのようなものでしょうか
したいことがさせてもらえもらえなかった。やっぱり強かったですね。
――後半はベンチに下がって試合を見ておられましたが、感じたことはありますか
形になりつつあるものができていないという感じです。やっぱり基本の部分、ブレイクダウンやセットプレーなどを疎かにしてしまうとああいう展開になってしまうので。一個一個地道なところからやっていかないといけないのかなと思いました。
――地元の九州での試合でした。友人や家族は観戦に来られていたのですか
ばあちゃんとかが観に来ていましたね。
――地元で応援して頂いている方の前でプレーできたということを、どのように感じていますか
今年最後かもしれないので、やっぱりうれしかったです。いつもと変わらず気負わずやろうとは思っていましたけど、それでもやっぱりうれしかったです。
――今季当たった中で一番力のある相手だったと思います。その中で、何かつかんだものはありましたか
負けたことで自分たちのレベルを知れたというのが一番大きなところですね。
――次週は流通経大戦ですがどのように挑みたいと思っていますか
流通経大戦もそうですけど、いまは自分たちに目を向けて、セットプレーだったりブレイクダウンだったり基本の部分をしっかりやっていけたらいいと思っています。
――では、本日結果が出なかったことについてはさほどマイナスにとらえていないということでしょうか
それでもやっぱり勝たないといけないので難しいですけど、そこは上手く両方やっていきたいと思います。
SO小倉順平副将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
――一つのヤマ場となる試合でしたが、どのような部分を意識して臨みましたか
いつも通りやっていることを変えるというのはなかったですが、攻撃を受けてしまったら防戦一方になってしまうので、しっかりディフェンスを上げていこうということ、アタックを立ってやろうということを意識しましたが、防戦一方になってしまいました。あと相手のキックが上手でした。うまいのは知っていましたが、全部うまかったですね。
――試合全体を振り返っていかがでしょうか
自分たちがいまやっていることが上手く浸透しきっていない状況ですね。前に出ることができていないなど、コーチと話をして課題が多いなと感じています。
――前半についてはいかがでしょうか
前半の最初というのはどことやっても離れないので、どこのチームとやっても後半が勝負所になっていきます。後半負けたというのが、課題になってくるのかなと思います。
――後半はボールを落としてしまったり、ターンオーバーされたり、ペナルティーも目立ちましたが、そこについてはいかがでしょうか
ボールを落としてしまうことに関しては、意図せず起こってしまうといいますか、本当は放りたくないのに放ることになってしまうというのがすごく多くて、駄目でしたね。
――ご自身のエリアマネジメントに関してはいかがですか
フィールドキックはいつも通りでしたが、しょうがなく蹴った部分が何回かあって、そこを無くしていきたいです。
――明大のディフェンスはいかがでしたか
そんなに強いイメージはないですが、継続して立ってよく動くなという印象です。
――良かった点はどこでしょうか
あんまりパッとでてこないですね。全部が悪かったわけではないと思うのですが。
――次の流通経大戦に向けて修正したい点をお願いいたします
いまチームの戦術として主軸でやっていることを完成系に近づけて臨みたいと思います。