5月5日 関東大学春季大会 対流通経大 秩父宮ラグビー場
「前半と後半で全く別のチームになってしまいました」(プロップ千葉太一、教3=東京・早実)。後半は、前半とは打って変わって苦しい時間が続く。早大にフィジカルで勝る相手に対し接点で押し込まれ、ペナルティーから失点を重ねてしまう。攻撃もかみ合わない。ディフェンスシステムを切り替え、出足の鋭いタックルを見せる相手に対応できず追加点を奪うことは許されなかった。最後まで流通経大の猛攻にさらされながら、試合終了のホイッスル。1点差で勝利をつかんだものの、トライ数では相手を下回る結果に終わった。
ゲームキャプテンを務めたNO・8佐藤穣司副将(スポ4=山梨・日川)は「反省点が多かった」と振り返った。確かに、相手ディフェンスへの判断力や体の大きい相手に対する受け身のディフェンスなど、きょうの試合は課題を残すものとなったかもしれない。しかし同時に、良いアタックを続けた前半は自信にもなったはずである。また早大はいま、チームを挙げて体作りに取り組んでいる。まだ途中段階ではあるが、ロック桑野詠真(スポ3=福岡・筑紫)は「ブレイクダウンで体を当てるのは前よりも楽」と語り、早くもその効果は表れ始めているようだ。全ては日本一のために――。成長を続ける赤黒戦士から目が離せない。
(早稲田スポーツ新聞会 稲満美也)
――開幕戦へ向けてどのような準備をされてきましたか
1番メインにやっていたのはストレングスの部分で、体を大きくしていこうというところをメインにトレーニングだったり、食事だったりを意識してやってきました。
――チームではどういった意気込みで臨まれましたか
この試合に関してはボールを継続したいということで継続の部分と、今季初めての試合でもあったので1人1人が強いボールキャリアーとして、ボールを出すまでしっかりと責任を持ってやろうとしました。オフェンスに関して言えば早くフォーメーションをセットして自分たちの良いアタックをするといったところと、ディフェンスは良いセットをして相手の強い選手に対し1人目はローで、2人目がダブルでしっかり止めるというところを意識して臨みました。ですがそこがうまく機能せずに圧力を受けてペナルティーをたくさん犯してしまったので、後半は思うようなゲームにならなかったというのがありました。
――前半はBK陣の活躍も見られましたが、全体を通して振り返っての印象を聞かせてください
全体を通して言うと、フィジカルの部分を強化してきたのですがそこの部分でもっとチャレンジすれば良かったという部分がありました。またペナルティーが多くボールを継続しきれないところと、ディフェンスでも我慢しできずにペナルティーを犯すというワセダの良くないところが出てしまったのかなという印象です。
――ペナルティーの多さの要因としてどのような原因が挙げられますか
犯していたペナルティーに関して言えば1人1人の意識で解決できる問題だと思うので、その理解度が低いというところと、僕の伝える能力やまとめる能力の低さだと思います。
――岡田一平主将(スポ4=大阪・常翔学園)がケガをされているなかでゲームキャプテンとして出場されましたが、特に意識したことはありますか
僕が常に先陣に立つということや、(岡田)一平も慶和(藤田慶和副将、スポ4=東福岡)もいないなかでどのようにチームをまとめていくか、とても良い経験になったかなと思います。
――相手にトライを連取されていた時はどういった声掛けをされていたか教えてください
しっかり肩をぶつけるということを伝えました。ディフェンスで受けてしまう時間帯があって、強い外国人選手などに対してワセダは数で勝つというふうにやっているのですが、そこの部分がやり切れていませんでした。また最初に挙げた早いセット、ポジショニングのところもできていませんでしたし、少し後手後手に回ったかなというような印象が強かったので、まず早いセットをしてしっかり止めようと話ました。
――ついにラストイヤーが始まりましたが春季の目標を教えてください
フォーメーションをしっかり完成させるためにも、そしてボールを継続するためにしなければいけないことは明確になってきているのでそこのレベルを高めることと、あとはディフェンスの徹底です。
――今季初戦を終えた感想を聞かせてください
前半と後半で全く別のチームになってしまいました。後半が現在の早大の力なのかと思いました。
――後半は相手ディフェンスの出足が鋭くなりましたが、そこへの対応はいかがですか
ディフェンスシステムを変えてきたことに対してのコミュニケーションがチームとしてできなかったので、コミュニケーション能力の低さを感じました。
――ブレイクダウンの手応えを聞かせてください
外国人選手に対して受けてしまったので、一つ一つのプレーで自分たちが受けるのではなく、前に出る意識を持って普段からやらないといけないです。
――プレーのなかで外国人選手とマッチアップされることもありましたがいかがですか
パワーが半端なくありました。ですが、そこに勝たないと帝京大の外国人選手には勝てないので、きちんとやっていきたいです。
――3番として出場されましたが、この試合のスクラムについてどう思いますか
今季は3番を1年間着続ける意識でいるなかで、スクラムに関しては押せると思っても押せず、チームとしてもまとまりがありませんでした。
――チーム全体として経験が浅い選手が多いなか、昨季の経験があることで引っ張る意識はあるのでしょうか
そうですね。普段の練習から声を出してチームを引っ張ろうという意識はあります。
――ここから続く春シーズンをどのようなものにしたいですか
まずは6月7日の帝京大戦に向けて、チームの底上げを図っていきたいと思います。フロントローを引っ張る存在に自分はなりたいので、今後も努力を積み重ねていきたいです。
――この試合を振り返ってみていかがでしたか
前半はアタックの部分で自分たちの形が出せていたと思うのですけれど、後半に入ってアタックもディフェンスも自分たちの思い通りにできなくて、流通経大のやりたいラグビーをさせてしまったのが良くなかったです。
――前半は自陣深くからもキックは使っていませんでしたね
そうですね、試合前から決めていたことなので。
――後半に入って思い通りのラグビーができなかった要因はなんだったのでしょうか
ブレイクダウンの部分で、ボールキャリアーが前に出られなかったり、不用意にペナルティーをしてしまったり、ディフェンスでも一対一の部分で引いてしまったりしてしまったところですかね。そういう良くなかった場面が重なってああいう結果になってしまったのだと思います。
――冬は体作りに取り組んできたということを伺ったのですが、その成果は実際に体を当ててみてどう感じられていますか
ブレイクダウンで体を当てるのは前よりも楽になっているのですが、やっぱりスキルやメンタルの部分でもう少しうまくやれたのではないかと思います。
――桑野選手自身も体重の増加はあったのでしょうか
そうですね。昨季が102キロくらいで、現在は109キロくらいになりました。
――セットプレーについてはいかがでしたか
ラインアウトに関しては普段やっている練習のようなプレーはできませんでした。普段はもう少しうまくいくのですが。スクラムに関しては、現在は形を作っている段階なので、もっとスクラムを組んで、ミーティングを重ねていきたいです。
――昨季は主に5番として出場されていましたが、この試合は4番でスクラムを組んでみていかがでしたか
沢登(直也、法3=神奈川・鎌倉学園)が5番しか組めなくて、自分はどちらでもできるので。そんなに4番と5番で変わりはないので問題なくという感じですね。
――冬から春にかけてはチームとしてどういったことに取り組んできたのでしょうか
まず冬にみんな体を作って、ラグビーの基礎の部分、例えばスキルとかを磨くようにしてきました。
――その成果はこの試合で実感できたのでしょうか
出ているところもあるのですけど、試合になるとできないという部分もあったので、もっとゲームにフィットさせていきたいですね。
――春シーズンの目標などはあるのでしょうか
まずはけがをしないで戦い抜くということと、帝京大や明大、慶大、筑波大といった強い相手に対してどれだけ自分たちの力が発揮できるかというところですかね。
――昨季もスタメンとして試合に出られていましたが、それを踏まえて今季の試合で意識していることなどはありますか
昨季のメンバーが多く抜けてしまって、精神的にも技術的にも劣るなかで、自分とか(佐藤)穣司さんが引っ張っていかなければいけなかったのですけど、この試合に関してはそれができなかったですね。
――次の試合に向けた反省点などはありますか
まずはセットプレーを安定させるということを次の試合の目標にしていきたいと思います。
――Aチームで初めての出場となりましたがいかがでしたか
もっと体を張りたかったのですが、タックルで前に出られなかったことに後悔が残っています。
――僅差の試合でしたが全体として試合を振り返っていかがでしたか
ディフェンスでコミュニケーションが取れていなくて、相手FWに前進を許したことがBKに申し訳なかったです。
――ご自身が得意とするプレーは何ですか
ボールを前に運ぶことと、FWの近場のディフェンスで前に出ることが得意でしたが、この試合ではできなかったですね。
――今後どのような点でアピールしていきたいですか
ボールを前に運ぶというところでアピールできたらなと思います。
――試合に際して後藤禎和監督(平2社卒=東京・日比谷)から言われたことはありますか
3月、4月とウエイトトレーニングをやってきたので、当たるところで引くなと言われたのですが、それができたかというと、できなかったですね。
――ウエイトトレーニングではどのくらい体重が増えましたか
5、6キログラムぐらい増えました。
――今後の意気込みをお願いします
ロックは今けが人がいるのですが、戻ってきてもAチームに残れるように頑張りたいと思います。
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
前半はやってきたことができて良かったのですが、後半は用意してきたことができなかったので、今後はそこを修正していきたいです。
――具体的にどのようなことを用意されていたのでしょうか
ポッドラグビーをやってきていました。前半はうまくはまって、スコアにも出てきたと思います。ですが後半は相手のディフェンスが変わって、そこがうまくいかなかったと思います。
――15人制の試合で、スタメン初出場となりましたがいかがでしたか
キャプテン(岡田主将)がけがをしていたこともあって出場機会を得られたのですが、キャプテンの代わりに頑張ろうという気持ちでした。
――今回の試合での球さばきはどのように自己評価されていますか
もっと早くパスを出したいところで出せなかったので、そこは改善していきたいです。
――ブレイクダウンで劣勢な部分もありましたが、どのように対処されましたか
そこで早く(パスを)出せるのが良いハーフかなと思うので、もっと早く出せるようにしたいです。
――今季の目標を教えてください
キャプテンが同じポジションなのですが、それでもレギュラーを獲れるように頑張りたいです。
――本日の試合を振り返って感想をお願いします
前半は良かったのですが、後半ブレイクダウンの部分で守りに入ってしまったのが良くなかったかなと思います。
――後半は相手ディフェンスが前に出てきてプレッシャーもあったかと思いますが、対応としてはいかがでしたか
その外を攻めたくて、そこがうまく通れば逆にチャンスだったのですが、うまく通せなかったので修正していきたいです。
――前半を振り返って、試合の中で生かせたのはどのような部分でしたか
フォーメーションのアタックがリンクして良かったので、そのイメージを持って後半に臨んだのですが、うまく修正できませんでした。イメージは良かったと思います。
――本日の試合で見えた課題をどのように修正されていきますか
ディフェンスの面で1人目がしっかり相手を倒すということ、相手側には外国人選手がいたのでそれを倒すというのを課題にしていきたいと思います。
――35ー34という僅差での勝利となりましたが、点差に関してはいかがですか
全く駄目ですね。
――キックの精度はいかがでしたか
前日は調子が悪くて不安だったのですが、全部入って良かったです。波はありますが試合で決められて良かったですね。
――新チームの雰囲気はいかがですか
雰囲気は良いのですが、やるときとやらないときの差があるので、やるときはやるというオンとオフをしっかりつけてやっていきたいです。
――今季は『Innovation』というスローガンを掲げていらっしゃいますが、チームとしていかがですか
できている部分もあるのですが、まだまだできていないところもあるので、そこを詰めていきたいです。
――今季の個人としての目標を教えてください
レギュラーに定着してチームに貢献していきたいです。
――本日の試合の感想をお願いします
最初のトライの流れは早大のやりたいかたちで、WTBとFBで取り切ることができたので良かったと思います。それ以降はそれほどボールを外でいいかたちでもらうことができなかったので、やりたいプレーができなかったですね。
――15人制初の公式戦でした。どのような気持ちで臨みましたか
早大として初の公式戦でしたが、個人としてもWTBに転向して初めての80分間でした。勝たなければいけないとは思っていました。結果としては勝ちましたが良い内容ではなかったので、思い残すことはありますね。
――アタックに関してはいかがでしたか
最初は良かったのですが途中から外にボールを回せなくなって、相手がディフェンスのかたちを変えてきて、詰まっていいかたちでボールをもらえなくなりました。そこは修正していきたいです。
――後半はノートライに抑えられました。原因をどのように考えていますか
ペナルティーが重なったことと、ブレイクダウンの部分でキャリアーの一人一人が立てなかったこと、スイープがうまく離せていなかったことですね。
――修正したい課題について教えてください
相手が途中から詰めてくるディフェンスに変わったのですが、それにうまく対応できませんでした。そこを変えてアタックにも繋げられたらと思います。
――WTBとしてのフォーメーションやコミュニケーションについてはいかがでしたか
試合後にコーチの方と話してみて、まだちょっとFBと連携がうまく取れていないと分かりました。ディフェンスの面で修正していくことがあるので、今後やっていきたいです。
CTB矢野健人(商3=東京・早実)
――この試合を振り返ってみて感想をお願いします
前半は自分たちのしたいラグビーができたのですが、後半は相手のディフェンスが変わってきてやりたいことができなくなってしまいました。
――Aチームとして15人制の試合は初出場でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか
緊張はしましたが自分らしいプレーを一つ一つして、体を張っていこうという感じでした。
――セブンズでは今春に多く出場されていましたが、その経験は生かされていますか
全くセブンズとは違いますが、ディフェンス面がセブンズの引く感じが残ってしまったので、来週の試合は前へ出て体を張っていこうと思います。
――ご自身のアピールポイントは何だとお考えですか
突破した後のオフロードパスとか、一対一で抜き切るところです。
――今戦でチームとして良かった点、悪かった点はそれぞれ何ですか
良かった点は、前半で自分たちのやろうとしていたプレーが一つ一つできたところです。悪かった点は、相手のディフェンススタイルが変わったときの切り替えができなかったのでそこをしっかり直していきたいです。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
この試合の悪いところをしっかり直して、もっと活躍できるように頑張ろうと思います。
――15人制の初戦としてどのような意気込みで臨みましたか
初レギュラーだったので、赤黒を着ている以上は負けられないという共通意識があって、それを先週のオール早慶明の際にOBの方から言われていましたし、絶対に負けられないということだけ意識していました。
――流通経大のラグビーはどのようなイメージがありましたか
個々がすごく強くて、フィジカルも強いという感じです。あとは強くてうまい外国人選手もいますし、U20日本代表やセブンズ日本代表でいない選手もいたのですけど、個々ですごい選手がいるなと思います。
――試合を振り返っていかがですか
前半は僕たちのやりたいラグビーができていたのですけど、後半は相手に(ディフェンスで)詰められて、プレッシャーをかけられたためにやりたいラグビーができなかったので、そこを修正しなくてはいけないと思います。
――主将を欠く中での戦いとなりましたね
練習中から(佐藤)穣司に頼りきるのではなくて、4年生で引っ張っていこうという話をしていて。4年生を中心にみんなで盛り上げていこうということを意識していました。
――前半は良いアタックができていたように思われましたが、手応えを聞かせてください
(浅見)晋吾とか矢野が良いボールをくれて、自分がボールをもらった時には前が空いていたりスペースがあったりしたので、そこで勝負しようと思いました。
――ご自身も独走トライを決められていましたが、振り返ってみていかがでしょうか
あんまり足が速くないので(トライを)取りきることが中々ないのですけど、この試合では取りきれてすごく良かったです。
――強風はプレーに影響がありましたか
心配していたほど、そこまで風は気になりませんでした。
――後半、相手に攻め込まれた要因は何ですか
一人一人が体を当てられなかったのが大きくて、アタックも強くいけず、タックルに入られた後のブレイクダウンも良くなかったです。やっぱり体を当てられなかったということが理由ですかね。
――体の大きい相手と当たってみてどうでしたか
みんな強いなと感じましたし、特に外国人選手はすごく強かったです。やっぱりまだまだウエイトトレーニングを頑張らないといけないと思いました。
――ワセダのきょうの戦いに点数を付けるとしたらいくつくらいでしょうか
60点くらいです。
――それはなぜですか
後半が全然だめで、修正ができなかったってということが理由ですね。
――門田選手にとってラストイヤーとなりますが、どんな年にしたいですか
ここで試合に出られなかったら一生後悔が続くとOBの方からも聞いているので、後悔をしないように毎日出し切っていきたいです。
フランカー宮里侑樹(スポ1=沖縄・名護商工)
――初めて赤黒を着てプレーした感想を教えてください
緊張して、なにもできなかったです。
――どのようなプレーを意識されましたか
100パーセントのプレーを心がけて、とにかく低くタックルや接点に入ろうと思ったのですが、全然だめでした。
――出場にあたり、後藤監督から言われたことはありますか
体を当てて100パーセントのプレーを常に心がけろと言われました。ブレイクダウンが今季の目標なので意識しましたが、できなかったです。
――相手の外国人選手とマッチアップされることもありましたが、戦ってみた感想を聞かせてください
とにかくデカくて、受けてタックルをしてしまいました。
――スタメン定着のために、どのようなプレーをしていきたいですか
もっと自信を持って前に出ていきたいです。あと、この試合は緊張でできなかった部分もあるので、もっとリラックスをして、ミスのない確実な選手になりたいです。