早稲田大学ラグビー蹴球部に所属する2~4年生の選手・スタッフが相互インタビューで
理解を深める連載企画、第58回は木村晴(2年・CTB/WTB・函館ラ・サール)。
取材:池本大喜 構成:早稲田大学ラグビー蹴球部広報 写真:鳥越裕貴
鋭く駆け、声を響かせる。
生まれは大阪、育ちは横浜、そして中学時代を中国、北京で過ごした。そんな彼は日本に帰って高校を選ぶ時、様々な世界を見てきたからこそ、地元にとらわれず、さらに世界を広げるためひとり北海道の地、函館ラ・サールに進学した。
本格的に楕円球に触れたのは高校からだという。それと同時期にテレビでラグビーの試合を見始め、いつもアカクロのジャージを着た早稲田を目で追いかけた。そんなアカクロのジャージに憧れを抱き、いつか自分も袖を通したいと思うのは自然な流れだったのだろう。
また、ラ・サール出身の先輩がアカクロのジャージを着てプレーしているのを見たことが、実際に早稲田を目指す大きなきっかけのひとつとなった。高校時代は3年間花園を目指して日々練習をした。しかし、1年目で迎えた花園では、自
分自身がピッチに立ってプレーすることは叶わなかった。2年目はチームとして花園に行くことができず、最終学年となった3年目も花園予選決勝で敗れ、一度も花園でプレーすることなく、高校ラグビーを引退した。この最後の花園予選決勝で負けた瞬間が、彼のこれまでの人生で一番悔しかった瞬間だった。
しかし、これまでで一番悔しい思いをした数ヵ月後、早稲田大学に合格した。ラグビーでの大きな悔しさを勉強にぶつけ、自らの手で最高の喜びをつかんだ。そして、憧れのアカクロジャージを求めラグビー蹴球部の門を叩いた。
そんな彼の今年の目標はアカクロのジャージに袖を通すこと。そのために去年以上に貪欲にラグビーと向き合いたいと話す。彼のフィーチャーポイントはキレのある「ランニング」と、関西弁と標準語を起用に使い分けたプレー中の「声」だ。今はまだ苦手だというディフェンスを強みに変え、アカクロをつかみ取る。
今年の選手権決勝は、そんな木村晴が国立という舞台を鋭く駆け抜けるラン、そしてピッチ上に響かせる喜びの声に注目だ。